熊本空港民営化:ANA、JALがコンソーシャムに参加

当分析はCAPAが2019年5月16日に発表した 

 

Kumamoto Airport privatisation: ANA, JAL in the consortium

 

 

をJAMRが全文翻訳したものです。

 

2019年6月19日

 

熊本空港民営化:ANA、JALがコンソーシャムに参加

 

16-May-2019 

 

進行する日本の空港民営化の一部として、日本の商業界と航空業界が交差して構成する共同組織(コンソーシャム)が、熊本空港のコンセッション下での民間運営を目指して合意書に正に署名した。

 

この共同組織には、日本の2大エアラインが含まれて居る。JALとANAホールディングスは、この共同組織が、日本の国交省(MLITT)と33年間のコンセッション契約の条件で、基本合意に達した事を発表した。

 

ブラジルの様に、然し、殆どの場合日本の空港は、塊では民営化されては居ないが、多くの小規模な空港が市場に現れて来た。表面上は、投資家達には大した対価を与える様には見えないかも知れないが、少なくとも日本の企業は、熱心にこの話に乗ろうとして居る。 

 

 

概要Summary

 

      熊本空港は三井不動産が率いるコンソーシアムに賃貸契約される。

 

      主として日本企業が加わって居る。

 

      空港は2016年4月の大地震以来、政府の管理下にある。

 

      全体として、数値的指標は、投資家たちにとって魅力的だが、もっとLCCが必要だ。 

 

 

MSJA-熊本コンソーシアム、日本の国土交通省と契約を締結 

 

JALとANAホールディングスは、MSJA-熊本コンソーシアムが、33年間賃貸の条件で、熊本空港の民間運営を行うと言う、日本の国交省(MLITT)との基本契約に署名したと発表した。JALとANAは、2020年4月1日までに、同空港を運営する特別組織を創設する計画のコンソーシアムの、11社の参加企業のうちの2社である。

 

参加企業全社のリストは以下の通り:

 

コンソーシアムリーダー:三井不動産(株)

 

参加企業:九州電力㈱、九州産業交通ホールディングス㈱、㈱テレビ熊本、㈱再春館製薬所、九州産交運輸㈱、双日株式会社、日本空港ビルデング㈱、㈱サンケイビル、ANAホールディングス㈱、日本航空㈱

 

コンソーシアム加盟社で空港経営経験者は一握り

 

コンソーシアム参加全社が日本企業で、双日の様に、数社が、具体的経験は外国でではあるが、この分野の経験を持って居る。

 

日本では、別の業種の企業が、特に電力とユーティリティ分野から、空港民営化の段階で小規模の資本参加をする事が珍しくない。

 

これに加えて、今回の例では、地元の放送会社、テレビ熊本が入って居る。

 

グループの中で最も経験のあるのは、日本空港ビルデングである。東証一部上場企業で、羽田空港の運営会社である。

 

グループに外国の投資会社は居ない

 

国交省内には、若干の失望が有るかも知れないが、この中に外国企業は入って居ない。しばらく前から、運営会社と言うより投資家として、外国社を惹き入れるのが、国交省の意思である。国交省には、幾つかの成功例はあるが、空港民営化の過程全体で、外国企業の参入は、未だに遅々としたものだ。

 

ANAとJALと言う航空2社が含まれて居る事は、少しも驚く事では無いだろう。

 

両社とも予てより、民営化の進行に関心を表明して居た。

 

ANAの場合、以前2014年から、日本空港ビルデングなど、他の3社と共にコンソーシアムを組み、仙台空港民営化に応札して居る。次いで、2017年、ANAホールディングスとJALは、民営化された際に、福岡空港を運営する新会社への共同出資プログラムに参画したと報じられて居る。

 

CAPA世界空港投資家データベースは、世界中で空港への投資家である、嘗てした経験のある、或は願望を持って居る、ルフトハンザの様な企業など、40社程のエアラインをリストアップして居る。

 

地震で被害を受けた空港の長期にわたるコンセッション

 

熊本は、これまでコンセッションが提案された日本の空港として、最大でも無ければ、決して最も魅力的と言うわけでも無い。2016年4月の大地震でターミナルビルに被害を受けた後、政府の管理下に置かれて居た。

 

興味ある運営企業候補は、48年間(33年間契約と15年の延長可能性)のコンセッションと予測不能の自然災害の場合、更に10年間の延長可能の選択肢(通常では無いが、コンセッションの宣伝の為にはよく有る方法)を持つ契約を結ぶ機会がある。

 

旅客サービスを向上させ、LCCを惹き寄せる為に、2016年の地震で傷んだターミナルビルを3年以内に取り壊し、再建築する事がコンセッション契約の必須要件になって居る。それでも2017年8月の最初の説明会には、入札に興味を持つ120近くの組織が参加した。

 

この事業が求めるのは、引き続き同地域の2016年の熊本地震からの復旧を目指す一方、安全で、信頼出来る空港運営を最優先するとして居る。

 

このコンソーシアムは、熊本を通じた旅客需要を増加させ、他の東アジア諸国への近さと、阿蘇や天草地区など同県にはふんだんに観光資源があると言った、熊本空港の地理的特性を活用して、空港と共に周辺地域を活性化させたいと考えて居る。

 

空港の特徴:コンソーシャムはどんな種類の空港を目指すのか

 

熊本市と空港は、日本の最も南西の端に位置する九州と呼ばれる島にある。近隣に他にも空港があるものの、民営化済み(福岡)だったり、既に民営化リストに上がって居り(長崎)、またこの地域は、現在、民営化の動きの活発な七空港のある最も北東の端、北海道と言う島からはこの国の逆の端に位置する。

 

日本地図上の熊本の位置

Source: Google Maps.

 

この両島とも地図上の大阪、横浜、新潟及び仙台で区切られる地域、「中央日本」の様な人口は無い。

 

それでも、九州と言う島は、2018年9月現在、ほぼ1,300万人の人口で、ベルギーより多く、熊本県は人口182万人である。

 

この都市は、県境を挟んで隣接するものの、福岡北九州都市圏から独立して居る。

 

同県は、九州の中央に位置し、永きにわたり施政上、経済上のハブで、精力的に産業への投資を誘致して居る。現在では、半導体や自動車産業など、数多くの開発、製造の施設を擁して居る。また、魅力ある観光スポットも多いのだが、不幸な事に、その一つは、最大マグニチュード7.3に達した、2016年の地震に間接的に関与したカルデラなのである。

 

旅客需要は、その年に劇的に大きく下落したが、2010年以来、2011年を除き、目覚ましいとは言えないが、着実な成長を示して居る。 

 

熊本空港利用旅客数 2010年〜2019年(年初から現在)

Source: CAPA - Centre for Aviation and Japan MLITT. 

 

貨物輸送量は、2015年から2017年の3年間、減少したが、2018年には9.2%伸びて居る。

 

5%の国際線供給量は、改善を待って居る

 

熊本の座席供給量の殆どは、国内路線であるが、5%は国際線市場であり、コンセッション企業はこの比率を改善するよう求められる事になる。また、当初の説明では、低コストエアライン(LCC)を惹きつける事も期待されて居る。

 

その意味では、これは問題となる可能性がある。2019年4月22日からの一週間を見ると、目下の状況は、LCCの供給量は僅か11.4%である。これは国全体の平均値、国内線LCCの座席数で17.4%、そして日本国内及び日本発着で飛ぶ各エアラインの平均値27.2%より遥かに低い。 

 

ビジネスモデル別、熊本空港の座席供給量、2019年4月22日の週

Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG    

 

事態は嘗てほどは悪く無い。日本への入国観光客市場は、ずっと沸きに沸いて居り、LCC市場はこれに従ってその地歩を確実に固めて来て居る。

 

同時に、国交省は、日本の社会を、特に幾つかの空港が立地する地方都市で因習的な考え方に捕らわれた社会を、経験豊かな、世界的運営企業や投資家を招く価値を納得させる方法がまだあるのを認めて居る。これらの地域の、多くの人々には、空から襲い掛かって来て、潰れたホテルなどを買い漁り、数年後には不毛なままにして去って行くハゲタカ投資家と、この地域の成長の潜在能力を解き放つのを助ける投資家・運営企業の見分けがつかないのだ。 

 

年間旅客数が400万人未満の地方の空港にしては、熊本は各エアライン・アライアンスが立派な存在感を示して居る。スカイチームの存在感は殆ど無いけれど、スターアライアンスは全供給比で38.2%、ワンワールドは31.1%を、それぞれ占めて居る。

 

一方で、空港の稼働率は深夜零時から朝7時までの空港閉鎖のため、頭打ちになって居る。

 

MSJA熊本コンソーシャムはこれからこのプロジェクトのためのSPC(特定目的会社)を立ち上げる準備を始め、2020年4月1日に予定されて居るプロジェクトの開始の前に、基本合意に基づく、プロジェクト合意書を纏める計画である。

 

以上

 

Kumamoto Airport privatisation: ANA, JAL in the consortium

 

 

 

海外事情

 

今週号では、「7. アゴダの多角化戦略」、「8. ブッキング、民泊の新戦略」、「13.ブッキング、法人旅行テックプロバイダー買収」、「15. ブッキング、配車アプリのグラブと提携促進」と、BKNGの関連ニュースが4つもあった。BKNGの「Connected Travel」戦略の遂行が進んでいる。BKNGの場合は、Internet of Things (IoT)が、Internet of Travel (IoT)と読み替えているように感じられる? 

 

それよりも、3つの記事が印象深い。「10. 本当のディスラプション」、「22. ソーシャルメディアと旅行」、「24. 東南アジア市場の2つの問題、OYOとインスタ」の3つだ。

 

10. 本当のディスラプション」では、ディスラプティブのプロダクトは、必ずしも既存企業よりも良いわけではなく、今まで既存企業が不経済なために手を出さなかったサービスのニーズに取り組んだか、以前は特定できなかったニーズのいずれかであると説いている。そして、ディスラプティブを起こしているのは、テクノロジーでなくて、創造性を発揮したクリエイティブなモデルであることを再確認させてくれた。

 

22. ソーシャルメディアと旅行」は、旅行とソーシャルメディアの相性が抜群に良く、旅行業界がソーシャルメディアを誰よりもうまく使っていると言っている。ソーシャルメディは、人と人の繋がりをインターネットで補完するコミュニーケーションサービスなのだから、顧客とのエンゲージメントに優れているのは当たり前だ。これを上手に使っていないとすれば問題だ。

24. 東南アジアの2つの問題、OYOとインスタ」は、この地区における観光公害の実態を報告している。オンライン旅行ガイドTravelfishStuart McDonaldが、過去15年間で悪化している観光公害の実態を、歯に衣着せずのタッチで断罪している。(編集人)

海外事情12月9日号 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)