2019年CAPA航空業界見通し:流通の進化(革命)が加速

当分析はCAPAが2019年2月4日に発表した 

 

 

CAPA Aviation Outlook 2019: The distribution (r)evolution accelerates

 

をJAMRが全文翻訳したものです。

 2019年2月19日

 

2019CAPA航空業界見通し:流通の進化(革命)が加速 

04-Feb-2019 

 

燃油価格が短期的な救いを与えて居るが、需要はこの猪年に於ける大きな未知の分野である。 

トランプ大統領の登場から、差し迫ったBrexitに対する英国の愚行、欧州ポピュリズム政治の台頭、そして膨れ上がる負債の課題まで、この年は、予測困難性に特徴づけられるだろうと言う事が、ほぼ自明の理となって居る。 

荒れ模様の2018年終盤の株式市場での乱高下は、投資家たちの不安のもう一つの表れだった。 

これらの要素は、業界の将来計画立案の助けにならなかっただけでなく、消費者の信頼感を力づけるものでもなかった。 

 

燃油価格と為替レートが短期的な利益を引っ張るだろう 

航空業界にとっては、然し、追加的で、そして、燃油価格と為替レートが互いに絡み合った問題が、依然として、短期的利益の最先端の牽引車となり続けるだろう。これがある事の重要性は、2018年の上半期に、急激な価格の値上がりが、ヘッジをして居ない多くのエアラインの利益を急速にひきづり下したことでも明確に示されて居る。 

そして、2019年には、航空券はどの様に売られるかに関する水面下の革命が、業界の形に、影響を及ぼし始めるだろう。 

新たな流通の氷山の一角がまさに現れようとして居り、間もなく販売の工程を根本的に変えてしまい、最終的にはエアラインがどの様に事業を運営して行くかにさえ影響するだろう。この地殻構造の変化を完全に理解して居るのは、ほんの一握りのフルサービスエアラインだけである;彼らは主に、最大手の部類であり、多分、自らの優越性を取り戻すために、新たな口火を切って居る。LCCはこれまで、しばしば自らのより柔軟な体質を享受して来たが、ハイブリッド化するに連れ、彼らもまた、挑戦を受ける事になるだろう。 

 

低燃油価格が救いのひとときを与えてくれる 

新しい年が始まり、予期したより低い燃油価格が、重要なボーナスを与えてくれるだろう。以前の2019年の予測、6080米ドル以上に対して、現在の水準のブレント原油で5060米ドルと言うのは、2か月前にそれを望んで居たエアラインのCFOは数少ない様な、ボーナスを与えて呉れる。

 誰しも、本当に原油価格がどこへ向かうのかという糸口を見つけて居ないが、目ざとい事業主にとっては、2018年第3四半期に価格水準が突然下落した時に、来年以降のヘッジを積み増す好機があった。(最近の、より高くなると言う予測に反した突然の価格下落はまた、潮目が変わって、値洗いのコールがかかり、過度のヘッジをした者に対しては不快な驚きを呼んだかも知れない。) 

プラスの側面では、少し前の、原油価格が非常に高い一時期が、エアラインの経営者にこの様な極端な外部要因の逆風の中で、より良い継続可能性を守るのを助けたという感覚が幅広く生まれた。にも拘わらず、エアラインの燃油費は相変わらず、経営を左右する変動要素として残って居る。 

エアラインの株価はその他の多くの要素に影響を受けるけれども、原油価格が変動する中で、将来見通しの市場の見方を鮮明に示して居る。 

以下のグラフは、更なる燃油価格の上昇と言う予想が和らぎ、水準が80米ドル前半から50米ドルへ下落した中で、市場の感じた「救い」を示して居る。201811月から先、その他の衝撃が調和を壊してしまったが、エアラインとその市場の評価は常に恐るべき範囲で外的要因に支配されているのだ。 

 

業界の株価と原油コストの反比例する関係 

 

Source: CAPA - Centre for Aviation and yahoo Finance 

XAL:ニューヨーク証券取引所(NYSE)の業種別株価指数で「航空」 

Brent Crude:ブレント原油

  

需要:拡大は依然強固だが鈍化するかも知れない。アジアが躍動の場ーだが収益性ではない 

数年間の緩やかな世界的経済状況の後、2019年の需要は和らぎそうだ。 

政治や世界の経済的要素が、今動いて居るので、帳簿のこの側面が最も予想の難しい所だ。 

アジアは最速で拡大し、最も革新的な(そして最もリスキーな)市場である。然し、2018年遅くに出た世界銀行のレポートによれば、世界で2番目に大きな経済の経済成長率は中国経済への懸念が、次の幾つかの四半期に更に明確化するのに引きずられて、この年の終わりの6.5%から翌年は6.2%へと鈍化しようとして居る。 

これまで、如何なる航空旅行への衝撃や航空業界の規制も取り立てて意味のある事態にはなって居ないけれども、貿易摩擦や貿易戦争は、全く信頼を改善するものではない。 

これらが、需要に対して何をするかはまた別の問題である。 

 

CEOの自信度は揺らいで居る 

その他の指標の中でも、201812月、全米産業審議会はCEOの自信度は再び低下し、僅かにより多くのCEOが否定的でなく、肯定的な見通しを持つ様になったものの、2年間で最低となって居ると発表した。 

そして同審議会に依れば、依然として健全な感覚にも拘らず、消費者の信頼指標は201812月に前月の下落に続いて、僅かながら落ちて居る。消費者の職とビジネス環境への期待もまた落ちて居る。これらの現実から同審議会は、「(米国の)消費者は強固な基調で、2018年を終えようとして居る一方で、裏腹に期待感の減速は、2019年上期には経済成長のペースが緩やかになりつつあると言う懸念が拡大して居るのを反映したものだ。」と結論付けて居る。 

然し一方、11-12月期の米国の消費者の支出額は前年の5%以上の増となり、6年間で最高を示して居る。英国はまた話が別で、Brexitの影響かどうか、この期間の支出額は対前年でマイナスの領域に入って居る。(例外はロンドンで、値下がりした英国ポンドが、海峡を超えて買い物客を惹きつけたと報じられて居る。) 

 

景気後退は「来るのか」ではなく「いつ来るのか」 の問題である 

「トレンド」が変化して居るだけで無く、これらの「トレンドの解釈」も変化しつつある。幾つかの指標が、最近、極めて悲観的になって居る。デューク大学の四半期ごとのCFOに対する調査に関し、2018年遅く発表されたメリルリンチによる分析によれば、「金融市場とCFOたちは、世界の経済は、本当のトラブルの中にあると考えて居る。」この見方は異常値かも知れないが、メリルリンチはまた、「世界の財政基盤は、201912月までに4.6%収縮しそうである。これは37年間前例の無い事だ。」と予測して居る。 

デューク大学の調査では、調査対象の米国のCFO48.6%が、米国は2019年末までに景気後退に入って行くと考えて居る。より印象的なのは、調査の結果が、景気後退は来るかどうかの問題では無く、いつ来るかの問題だと示唆して居る事だ;82%CFO達が、景気後退は2020年末までには始まって居るだろうと考えて居る。 

アジアでは、経済的不確実性が最大の懸念と言う結果になって居る。この地区CFO達の自信は2018年第3四半期に8ポイント落ちて52となり、2008年の低さに近付いて居る。 

一方IATAは、201812月のエアライン業界経済実績レポートで、「エアラインのCFO達や貨物分野のトップ達は、航空旅行の将来の成長についてより前向きでなくなり、貨物に関してもより上向きでなくなって居る。この事実は世界的にビジネスの中で経済的見通しへの懸念が増大して居る事を反映して居る。」と指摘して居る。 

そんな変動する、警戒的な予測がある事自体が、2019年は2018年に比べずっと難しい年になる傾向ありと言う一致点とともに、将来、動揺する時期が来る事を示して居る。 

 

2017年と2018年の高い需要成長率が、より価格に敏感な消費者像を創り出した 

過去2年間の異常に高い需要成長率は、主に慎ましく良好な世界経済の空模様と燃油価格の低い事の結果で、これらが、競争の激しい市場で、エアラインの攻撃的な運賃設定を許して居たのだ。結果としては、昨年私たちが、2018年の展望で示した通り、益々価格に敏感になる消費者像を形作ったのだ。 

この意味するところは、運賃を上げようとする如何なる試みも、既に幾つかのアジアの市場で目撃されて居る様に、抵抗と需要の鈍化に直面する事になるだろうと言う事だ。

  

事実を使って未来を予測する:発注と納入 

これ程多くの変動要素のある産業に於いては、未来を査定する事は、例えたった一年先を見ようとする事でさえ、多くの課題にひき裂かれざるを得ない。然し、結果を予測するために、他に比べてより正確な指標がある。 

より信頼性の高い指標の一つが、航空機の発注である。これは来るべき一年の許容能力(供給側)の状況を示して居る。 

確かに、納入時期は変更可能だし、発注は変えたり取り消したりする事が出来る。また、保有機群の更新に対する純増を認識する事も大切である。 

然し、これらの注意事項の下でさえも、発注と納入の規模を単に対照することでも物量を語ってくれる。 

アジア太平洋の現役保有機群の水準が急速に北米の次元に近づきつつある中で、この地区では、2019年には2倍を下らない発注と納入が計画されて居る事実は、世界の航空業界についてと共に、アジア太平洋の対応能力の水準の双方について、物量を物語って居る。純粋な効果の明暗は、北米ではしばしば機齢の高い保有機群で更新が集中する事から、現実にはより大きなものだ。 

 

米国エアラインに対する航空機の納入時期、2019年以降

Source: CAPA - Fleet Database 

アジア太平洋の航空機発注は2019年に供給過剰を示唆して居る 

 

既存のアジア太平洋の9,700機の保有機群に対して、2019年には約800機の納入が計画されて居て、その80%近くは4つの大手LCCグループに向けられたものである。これは既に混雑し、競争の激しい、2018年には既に収益性が問題になろうとして居た市場に起ころうとして居る事である。 

この地区の多くのエアラインが急速に伸びて居る事から、キャッシュフローを確保するために、売却・リースバックが多発して居り、また過剰な機体のはけ口として設計されたエアライン向けリース会社が創設されて居る。

 当然ながら、ここは長く確立された地区に比べ、遥かに秩序立って居ない市場で、各エアラインは、近い将来、充分な市場占有率を確保出来る事を追求する立場にあるため、可なり大きな戦略的な拡大の要素が生じて居る。 

米国のエアラインの発注台帳との相違は際立って居て、米国の保有機群の機齢が高い(拡大より多くの更新機材が必要なことを意味する)ために更に大きくなって居る。 

2019年、米国では、既存の保有機8,600機に対し、350機よりほんの少し多いに過ぎない機材の納入が計画されて居る。 

 

アジア太平洋のエアラインに対する航空機納入時期、2019年以降

 Source: CAPA - Fleet Database 

 

地区間の相違は歴然として居る 

同様に歴然として居るのは、対照的な地区間のそれぞれの成長率と収益性である。IATAは、2019年、米国のエアラインの収益は166億米ドル、即ち旅客一人当たり16.77米ドルの収益で損益分岐搭乗率は、たったの57%と予測して居る。 

然し、アジア太平洋地区では、IATAに依れば旅客一人当たりの収益は僅か6.15米ドルであり、損益分岐搭乗率は11%高い、67.7%である(然しながら、米国の寡占的な市場の、比較的に標準化された収益性と違って、アジア太平洋の実績は国ごとに異なる)。 

フルサービスエアラインとその子会社とより大きく強力なLCCとの間で大激闘が繰り広げられて居る欧州では、2019年の損益分岐搭乗率は、更に高く70.1%と予測されて居る。欧州とアジア太平洋の双方にとって幸運な事に、搭乗率実績は、それぞれ凡そ4%高い傾向にあると記録されて居る。 

 

アジアのLCCの卓越性は更に増進して居る 

発注台帳はまた、この地区の価格特性を強調して居て、次いで長距離路線では外国社には、特に北太平洋では、対抗できない消費者体験を創出して居り、アジア太平洋のLCCの卓越性を物語って居る。 

世界のLCCの発注機数のほぼ半数は、アジア太平洋地区からである。

  

長距離低コストー狭胴機の台頭に次ぐ台頭 

長距離低コスト運航は、今や充分に自らの立場を固め、低コストの概念を保ちつつ、着々とハイブリッドモデルを展開して居る。新たなより大きな狭胴機の出現まで、それは例外なく広胴機、特にA330787の運航に限られて居た。 

然し、過去2年間に、新世代の航空機と、エンジンの科学技術の力により、幾つかのLCCは長距離路線に狭胴機を用い始めて居る。欧州の幾つかのLCCはエンジンを換装した狭胴機を長距離路線、特に大西洋横断に使用する先兵となって居る。 

より小さなタイプの航空機の登場は、路線を計画する人々に新たな道を開き、より小さなゲートウエイや都市組み合わせが営業ベースに乗り、乗継可能性がぐんと向上拡大する可能性が出て来た。 

ノルウェーエアがそのパイオニアのひとつで、2017年夏に新たな737MAX8の保有機を使って、幾つかの新しい大西洋横断路線を開設した。ノルウェーエアはまた、2019年夏から更に大西洋横断路線を拡大するのに使用するA321neoLR30機購入した。 このタイプの便の共通の飛行時間は7時間以上である。 WOWエアは、今やインディゴパートナーズの仲間に迎え入れられたが、もう一つの長距離狭胴機LCCのパイオニアで、20186月に欧州で最初のA321neoの運航会社になって居り、北大西洋にも飛んで居る。 

新型機が魅力的なのは、LCCだけでは無い。かつてLCCだったウエストジェットも、幾つかのLCCが今後数年間で追従すると見られるが、2017年遅く、最初の737MAX8を購入し、ハリファックスからロンドン、パリに、それぞれ20184月後半と5月後半に便を開設し、狭胴機で大西洋横断を運航して居る。 

アジア太平洋では、常時定期便として運航されて居るLCC路線としては、インドネシアのライオンエアが、現在737MAX8で中国の幾つかのチャーター路線を7時間ほどで飛んで居るけれども、概ね6時間に限られて居る。そしてカンタスのLCC子会社ジェットスターが18機のA321neoLRを、今後数年間で受領する予定である。 

これら全ての展開は、殆ど1990年代に超長距離広胴機路線で市場に登場して、湾岸のエアラインがなし得たと同様に、中長距離市場の路線計画を変貌させる可能性を秘めて居る。 

 

エアライン業界の目に見えない含有物:全ては変わる! 

然し、エアラインの極めて競争の激しい市場に起こって居る、運営上の混乱をもってしても、ひどく軽視され、めったに人々の目に触れる事のない分野がある。それはエアラインの商品の流通、即ち航空券が如何に売られて居るのかである。 

この分野の変化はエアラインビジネスを頭からひっくり返そうとして居る。そしてそれは今から2年間のうちに起ころうとして居る。科学技術が可能にしたものだが、殆どの技術開発と同様に、そう簡単な問題では無い。 

エアラインの経営者や企業構造は、通常、何が起きようとして居るのか、もっと重要な事には、どの様に扱ったら良いのか理解する準備が出来て居ないのだ。(そして、多分同じくらい重要な事に、根源的な戦略の変化について考えるより、複雑なモデルの輸送実績や財政のデータを駆使する事の方にまさった、航空市場のアナリスト達も同様に理解して居ないだろう。) 

 

航空券を売るシステムは野蛮にも破壊されようとして居る 

ちょっとした背景:お偉方たちの玩具にとらわれた、そしていつも投資に対する充分な見返りを創出できない事を嘆いて居る業界にとって、殆どのエアラインは金を稼ぐ仕事が下手な事では悪名高い。 

それは、彼らの商品を売る事である。 

これには沢山の理由があって、中にはエアラインの能力を超えたものもある。まず、彼らの所有者の制限から始まる。一国で所有されなければならず、他の国には創立できないと言う事は、世界ブランドを立ち上げるなどと言う事は不可能である。 

この同じ規制は、どこにでも立ち上げられ、ほぼ全てのエアラインの航空券も売れる、仲介業者には適用されない。 

 

エアラインはただ飛行機を飛ばすだけ=仲介業者の天国 

この環境の下で、仲介業者が繁栄する。インターネットの出現は単に他の集団がエアラインの売り歩く(大抵は似た様な飛行機の似た様な座席を似た様な価格で)商品の露出を支配する可能性を増幅しただけである。 

この事は容易に、そして予言された通り、エアライン商品のコモディティ化へと導いて居る。エアラインブランドの宣伝やFFPが、少しは顧客の志向性を取り戻した事はあるが、今日の消費者行動を支配するのは、依然として価格設定である。 

スケジュール、空席状況そして価格を、異なるソースから持ってきて、結びつけ、即時に旅行代理店に提供する、世界流通システム(GDS)の役割は全能のものになって来た。エアラインは、実質的に、現在の、また潜在的な彼らの顧客との繋がりを放棄してしまった。 

これらGDSは(エアラインが独自のコンピューター予約システムを持つ様に)数10年前に登場し、数多くのアップグレードを繰り返したものの、その科学技術では、旅行代理店に提供できる情報の柔軟性には限りがあった。インターネットにより、更に透明性の高い価格設定、そして価格を基準とする競争を可能にした、オンライン旅行代理店が、もっと最近出現した。 

 

そしてエアラインが目覚めた 

科学技術が更に無作法にエアラインのシステムに侵入し、幾つかの事が起こった:エアラインが、ただの交通手段の供給者以上のものになる必要があったのだと言う事実に目覚め始めたのだ。現在、彼らはデータを使って顧客のプロフィール作りをしたり、潜在的な可能性を開拓する事;即ち「リッチコンテンツ」(ただの運賃情報でなく)を販売段階で届ける事ができるのだ。 

然し、彼らが何十年もの怠慢の結果、欲求不満は堆積し、新たな科学技術を活用する事への障害となり、考えを変える事を拒んで居るのだ。この科学技術は今や手の届くところにあるにも関わらず、既存の利害関係がそれをさせようとして居ない。もしエアラインが末端消費者を支配する力を取り戻したいなら、何かを諦めねばならない。 

暫くは、より新しく起業したLCC各社がやり始めた様に、「エアライン.COM」と言うウエブサイトから、顧客に直接、エアラインが自から全ての商品を、オンラインで流通させる事が出来ると言う希望があった。然し、この方法では、特に長距離路線を飛ぶエアラインは、名前が売れて居ない外国では販売可能な量には天井があった。これは、結局正解とはなりそうになかった。 

 

NDCの登場、そしてそれが導く所は 

IATAは嘗て、多くが代理店を喜ばせる為のものだったが、解除権の無い契約に縛り付ける事や、その高い料金などについて、各GDSを攻撃する事に懸命だった。幾つかのエアラインは脱退する動きを見せたが、これはリスキーで高くつき、長期に亘る本当の問題解決策にはならなかった。

 そして遂に、エアラインが流通の新世界に移行するのを助けるために、業界標準を確立すべく、IATAは「新流通機能NDC(New Distribution Capability)」を考え出した。 

これは、自ら解決策を提供するものでは無いが、少なくとも2つの目的に役立つ。 

まず第1に、これはエアラインと仲介業者の集合地点を提供して居て、新たな流通環境へと進化を模索する中で、しばしば業界が直面する問題の奥深さを照らし出すものだ。 

 

The IATA Promotion IATAの宣伝 

ともにエアラインの小売りを構築しよう 

NDC(新流通機能NewDistributionCapability)は、業界の現在の流通の限界:即ち、商品の差別化、市場に届く時間、充分で豊かな航空情報へのアクセス、そして最後に透明性の高い購入体験などに焦点を当て、航空商品が企業、レジャーそしてビジネス旅行客に小売りされる方法を、旅行業界が変更出来るようにするものである。

 

 

多くのコミュニケーションを伴って、直結する事がゴール 

現実問題、NDCは、現在はAPI(Application Programming Interface)を使って可能となる直結する能力を用いて、共通のインターフェイスへの道を目指して居る。基本的にAPIは2つの異るシステムが互いに話し合う事を可能にする、言い換えれば、高価な仲介者を必としないと言う事である。 

よって、例えば、一つのAPIを通じて、一つのエアラインは自分の持つ全てのデータ(スケジュール、空席状況、運賃等、そして重要なのは、全ての追加的な『リッチ』コンテンツ)を、直接、自分のシステムから末端ユーザー、或は少なくとも代理店のシステムに対して提供する事が出来る。 

然し、これの問題は、このAPIを基礎とする方法は基本的に二者間のものである;即ち、11の取引を意味し、そのためには全てのアウトレットが大小を問わず、この直結インターフェイスを、そのデータの塊とともに、使いこなす技術的な能力を持って居なければならないのだ。 

 

航空券を売る事は、正に容易ではない

このデータは単に運賃やスケジュールだけでは無い。その中には、セールスの基盤(支払い)、中間オフィスシステム、顧客への報告システム、そしてバックオフィスシステム、即ち、払い戻しや旅程変更など、販売の過程に関わるあらゆる種類の一連の動きなど、あらゆる領域の同時発生的、或は、継続する手続きが含まれて居る。

 業界をめぐる、技術的な活動の多様性から言って、例えば支払いの単純化を助ける事など、特別な「解決策」は複数ある。規模の小さい代理店(或はエアライン)にとっては、これら全てを、新しい主流のモデルとインターフェイス出来る様な方法で抱え込むのは、どうしても抜け出せない迷路の様なものだ。 

更に深く技術的な詳細に踏み込んで行かない限り、エアラインは単なる交通手段以上のものであるべきだと言う理解に未だに至らない人々にとっては、この全てが、まるで繁忙時間帯に主滑走路の再舗装をするのに似て、根本的には以前のシステムをやり直すことを意味することは明らかな筈だ。 

IATAの最初のNDCのゴール、それは手が届きそうに見えるが、「20-20-20」即ち2020年までに20社のエアラインに売り上げの20%を創り出させると言うものだ。NDCの「リーダーボード(上位者掲示版)」はその目標に向かって経過良好の様に見える。然し実際には、この業界の参画者にとって、これは複雑で混乱した数年間の、ただの始まりに過ぎないのだ。 

 

そして今や障害へ... 

この緩慢な動きの流通と言う動物は非常に長い尻尾を持ち、極めて複雑な生理機能を持って居る。尻尾に従う全員が自分たちの行動を、協調して順応させるまでに、恐ろしく長い時間がかかる。 

多くの人々が結局順応できないだろう;確かに多くは、今生じて居る変化がとても奥深くまで及んで居て、絶滅は差し迫って居ることをまだ理解もして居ない。その中の誰かがエアラインである事でさえあるかも知れない。 

今のところ、順応に必要な概念的な、技術的な、そして営業的な決断をするのに最も装備が出来て居るのが、明らかに最大手のフルサービスエアラインだろう。 

この事だけでも、業界の力の均衡を変化させるだろう。 

然し、その他にも、今後数年間に、業界の裏表で、大きな変化に遭遇する、とても多くの参画者たちが居る。 

多くの(新アプリ、新システムの)「よそ者たち」にとっては、これが好機を招くのだ;即ち、多くの部内者たちには、魅力的な将来ではないだろう。 

旅行代理店、旅行管理会社、GDSOTAは、エアラインと共に、その新しい世界の巨大さを理解しない限り、皆一斉に矢面に立たされて居るのだ。 

然し、またそれをしっかりと理解して居る者たちにとっても、新たな驚きの世界がある。

 

                                          以上

CAPA Aviation Outlook 2019: The distribution (r)evolution accelerates

海外事情

 

84~16日の主要ニュース19本のうち、いつもはPhocusWire Dailyにはほとんど表れない法人旅行に関する記事が7本(目次の下線箇所)もあった。取扱高ベースで米国市場のおよそ3割が法人旅行市場にあたり、そしてそれに加えておよそ2割程度のunmanaged business 旅行市場が存在すると言われている。つまり米旅行市場のほぼ半分あるいはそれ以上が、法人旅行で構成されていることになる。それだけ大きな市場にもかかわらず、業界ニュースが少ないのに驚かされる。(尤もこれにはPhocuswrightの親会社であるNorthstar Travel Mediaが、法人旅行市場専門誌であるBTN=Business Travel Newsを編集していることも影響している。)

 

7本の記事を読むと、この市場のセルフ予約ツールの使い勝手が極めて劣悪で、法人旅行管理会社(TMC)のサービスに対しても出張者の不満が多く、その上企業の出張規定のかなり厳しい遵守の要求のために、出張者のモラルと生産性の低下が発生している可能性がある、という何やら暗い話が連続する。要するに観光旅行市場の方が法人旅行市場よりも、旅行の計画や手配のプロセスで、テックを含めてずーっと先進洗練先行しているというのだ。

 

しかし、最近になって、この遅れた法人旅行市場に目をつけた新規参入者たちが参入しつつある。そして彼らは、企業のコスト削減最優先に変えて出張者ファースト、出張者セントリックの戦略を敷いている・・・というようなことが、これらの記事に書かれている。観光旅行のベストプラクティスを法人旅行が真似ようとしている。これはFSCLCCを真似て、FSCLCCの境界線がぼやけ始めている話と似ている。出張先で仕事の前後に休暇旅行までしてしまうブレイジャーの拡大も、法人旅行のセルフインベンションの一つのきっかけとなっているのだろうか。

 

11. OTA4つの神話」は、“高い手数料をふんだくっている悪者OTA”の評判(風評?)に対するOTA の恨み節が書いてあって面白い。(編集人)

 

 

海外事情 916日号B 

 

81923日のニュースに加え、法人旅行に関する特集シリーズ3部作の第1部を掲載する。(お盆休みのために、1週間のニュース配信となります。)

 

前々号の楽天キャピタルの都市エクスペリエンスプラットフォームFever(ロンドンとマドリッドベース)出資に引き続き、「3. 楽天、東南アジアのバジェットホテルに投資」した。

 

2. 電子IDと旅行」は、プライバシーの問題について何も触れていない。生体情報は、整形手術をしない限り究極的個人情報なのでプライバシー保護には細心の、最善の、最大限の注意が必要だ。

 

6. 米司法省、セーバーのフェアロジックス買収を否認」は、この買収が実現しない場合は、SabreNDC開発に遅れが生じる可能性がある。これは、FarelogixGDS代替システムの能力に、DOJが“お墨付き”を与えたということか。(編集人)