ボーイング737MAXの運航再開:よくある質問集

当分析はCAPAが2019年7月19日に発表した  

 

 

Flying Boeing's 737 MAX: FAQs

 

をJAMRが全文翻訳したものです。

                   2019年11月14日

 

 ー再録ー

 

ボーイング737MAXの運航再開:よくある質問集 

19-Jul-2019 

 

ボーイングの新しい旗艦航空機である737MAXが運航を再開することに関する疑問は、日に日により複雑になって行く様だ。

 

もっと複雑なそして議論を呼ぶこの機材を取り巻く局面について、今回の短いCAPAの要約は、少なくとも、737MAXのFAQの中で、共通して尋ねられる幾つかの疑問について説明しようとするものだ。

 

 

737MAXの現在の状況は?

 

全ての737MAX型機は全世界で運航停止となって居る。

 

2019年3月に運航停止となった時点で、計384機の同型機が、47社のエアラインで就航中か、既に納入されて居た。これに加え、およそ175機の737MAX機が生産され、運航停止以来、ボーイング社の製造施設に保留されて居る。この機材は、関係管理当局が耐空性ありと判断するまで、地上に止め置かれる予定だ。 

 

 

737MAXは何故運航停止となったか?

 

国際航空界の管理当局は、2019年3月11日から13日の間に順次737MAXの運航の休止を名命じて居る。この決断は、2019年3月10日のエチオピア航空302便の墜落からのデータに基づいて居る。この事故は2018年10月29日のラインエア610便に続いて起こったものだ。

 

この機材は、航空当局が、エチオピア航空のフライトデータレコーダーが、誤った角度のアタックセンサーの入力がなされて居て、これが、ライオンエア610便の飛行中に起きたのと同様に、飛行中にマニューバー・キャラクタリスティックス・オーグメンテーション・システム(MCAS)機能を始動させた事を示して居るのを発見した後に運航停止とされたのだ。 

 

 

何が問題なのか?

 

簡単な答えは無いし、簡単な解決策も無い。予備的な事項調査ではこの事故を航空機のマニューバー・キャラクタリスティックス・オーグメンテーション・システム(MCAS)機能を始動させる、アタックセンサーに誤った角度を入力した事に結び付けて居る。

 

MCASは、737MAXに導入されたフライトコントロールシステムの一部である。これは、737NGと737MAXの間のハンドリングの差異を最少化し、航空機のハンドリングの特徴を改善し、高い角度でのアタックの際の、ピッチアップの傾向を減少させようと意図したものである。

 

 

ボーイングは、この機材の復帰の為に何をして居るか?

 

ボーイングは、MCASのソフトウエアのアップデートを開発して来て居り、そしてそれに伴う737MAXの包括的なパイロット訓練と補完的な教育プログラムの提供を計画して居る。ボーイングは現在、解決策のシミュレーターと飛行試験を実施して居る。

 

承認を与える手続きの中で、FAAは、ボーイングがソフトウエアの最新化を通して示そうとして居る、具体的な飛行状況とシナリオを検討し、追加的に必要となる要求項目を見出だして居る。 

 

 

各国航空当局は何をして居るのか?

 

世界各国の航空当局はボーイング社と共に737MAXが無事、運航再開出来るよう、作業を進めて居る。

 

米国のFAAは、ライオンエアとエチオピア航空の墜落事故に対するインドネシアとエチオピアの調査に参加して居る。FAAはまた、ボーイングにMCASソフトウエアを最新化して、同機の保護システムの追加的な階層を提供できるよう開発する事を命じて居る。

 

ボーイングはまた、ボーイング737のパイロットに改善された訓練体制を開発するよう義務付けられて居る。

 

737MAXのMCASソフトウエアの改善とパイロット訓練の変更は、米国FAAにまだ認可を得ては居ない。承認の手続きの過程で、ボーイング社が改善されたソフトウエアを最新化し、具体的な飛行条件とシナリオを見直す過程で、FAAはシミュレーターの段階での、追加的な要求項目を見出した。

 

 

米国FAAは、同機の自動飛行制御システムの包括的な見直しを行うため、「ボーイング737MAX技術点検のための航空当局連合(JATR)」を組織して居る。他に、豪州、ブラジル、カナダ、中国、EU、日本、インドネシア、シンガポールそしてアラブ首長国連邦の、9つの国の航空当局がこのJATRに参加して居る。

 

 

米国のFAAはまた、世界33か国の航空当局と、同機を復帰させる為に必要な手続きを決定するために、国際サミット会議を開催した。

 

航空業界を代表する会議体であるIATAは、ボーイング737MAX機の安全な運航再開を協議するために、2回の国際会議を開催して居る。この為にIATAは各航空当局に、有効性のための要求項目と日程について、互いに足並みを揃えるよう求めて居る。IATAは、また、追加的なボーイング737MAX運航乗務員の訓練の要求項目を統一する事が必要であると繰り返し言って来た。 

 

 

米国以外の国の航空当局は、FAAの737MAXの運航再開への条件を受け容れるのだろうか?

 

737MAXの事例は、先ず第一に過ちが起きた事からだけでなく、米国が2度目の墜落の後も同機の運航停止に消極的だったという事から、米国以外の国の航空当局がこれまで持って居たFAA(そしてボーイング)に対する敬意の水準を引きずり降ろす事になったのは疑いようがない。トランプ大統領が個人的に介入して、米国に運航停止を命じたと言う事実も、このシステムに良い影響を与えては居ない。

 

各国航空当局の間で足並みを揃える事を、確実にするための熱心な努力がなされて居る事から見ると、少なくとも主要な政府が条件項目を受け容れない限り、FAAがどんな事があっても、先制して全面認可を言い渡す事はなさそうだ。

 

エアラインの国際線の運航では、各国に於いて、この機材の登記の為には、運航を認可する事が必要であるだけでは無い。この機材が領空に飛来するどの国も足並みを揃える必要があるのだ。 

 

 

政治的なフットボールのゲームになる/なって居るーだろうか?

 

米国が始めた中国との貿易論争に照らして考えると、特に中国は、737MAXを運航停止した最初の国だった事から、この可能性がある事は間違いない。民間の立場からは、然し、復帰が遅れることは、現有のこの機材の運航を停止し、更に多くの発注済み機材を持つ、その国のエアラインには不都合を齎す。政治的なゴールと民間の優先順位が対峙する場合、政治が勝つ傾向にある。

 

エアラインの段階では、ある社はこの機会を利用して、機材の受領を遅らせたり、(暫定的な)発注を取り消したりして居る。幾つかのエアラインは、賠償協議の一部として交渉がなされて居ると報じられて居る。この遅延は、エアラインが、機材の受領を延期したり、まるまるキャンセルするために、今回の納期通りに納入出来ない事態を利用する可能性があると言う、問題を惹き起こす事も確かだが、これは主に具体的な販売/購入契約の詳細部分にかかって居るのだろう。

 

 

航空旅行業界は、供給席数の不足を埋め合わせるために何をして居るのだろう?

 

737MAXを運航して居る、全てのエアラインは、この機材を地上に止め置いて居り、新機材の受領を停止して居る。多くのエアラインは、不足を補う追加的な供給を、代替航空機をリースしたり、古い機材の使用期限を伸ばしたり、または既に倉庫入りした機材を復活させたりして手当して居る。737の先代のモデルのリース料は高騰して居る。 

 

 

どのエアラインが最も影響を被るか?

 

CAPA保有機群データベースによれば次のエアラインが運航停止前の時点で、737MAXの最大規模の運航会社である。

 

      サウスウエスト航空:31 

      エアカナダ:24 

      アメリカン航空:24 

      ノルウエーエアシャトル:18 

      中国国際航空:16 

      中国南方航空:16 

      TUIグループ:15 

      中国東方航空:14 

      フライドバイ:14 

      ライオンエア:14 

      ユナイテッド航空:14 

      ウエストジェット:13 

      トルコ航空:12

 

これに加えて、次のリース会社が保有機群の中に737MAXを所有して居る:

 

      GECAS:25 

      エアリースCorp:15 

      アボロン:9 

      BOACアビエーション:8

 

運航停止はどのくらい続くのだろうか?

 

ボーイング社は737MAXの運航再開の米国及びその他の地区での航空当局の認可は、2019年第4四半期の遅くに始まると推定して居る。この推定は同社の最善の見込みであるが、実際の復帰の時期はこれとは異なる可能性がある。

 

幾つかの737MAXの運航会社は、自社の発表したスケジュールから、この機材の運航休止を延長するものも出て来た。これらの運休延長は以下の通り:

 

      ウエストジェット:2019年8月29日

 

      アイスランドエア:2019年10月31日

 

      サウスウエスト航空:2019年11月前半

 

      ユナイテッド航空:2019年11月3日

 

ボーイングへの財政的な影響はどうなるのだろうか?

 

ボーイング社は737MAXの生産を月間57機から42機に減らし、生産した機材を在庫して居る。ボーイングは、2019年第1四半期に89機そして2018年第2四半期には137機だったのに比べ、2019年第2四半期には737系列の機材納入は24機だった。ボーイングの2020年の見通しによれば、737の生産を徐々に増やし、月間42機を57機に徐々に戻して行くとして居る。

 

ボーイングはまた、ライオンエア610とエチオピア航空302便の事故の被災者遺族とコミュニティーに向けた、1億米ドルの基金を発表して居る。そのうち、5千万米ドルは、犠牲者の遺族の近時点の資金援助に宛てる為に使われる。この金額の上に更に非常に大きな民事上の求償が間違いなくあるだろう。

 

ボーイングは2019年第2四半期の収益に対し、737MAX運航停止とそれに連動する納入遅れに関連する障害について、顧客への潜在的な値引きとその他の配慮の見積もりに関連して、税引き後49億米ドルの負担をするだろう(一株当たり8.74米ドル)。この負担は結局、2019年第2四半期の収入と税引き前収益に対する56億米ドルの減少を齎すだろう。

 

これに加え、ボーイングの737系列機を生産するための、会計上のコストの見積は、主に生産率の低下が、予測より長引いたことによりコストが上昇したため、2019年第2四半期には、17億米ドル上昇して居る。上昇した737プログラムのコストは2019年第2四半期と今後の各四半期の737プログラムの利益率を引き下げる事になるだろう。

 

ボーイングの株価は2019年2月遅くには、史上最高値の440米ドルに達した;2019年7月17日現在では370米ドルを記録して居る。これに比べ、2019年2月の末のダウジョーンズ指標は26,000で、7月15日には史上最高の27,360に達して居る。

 

 

ボーイングは737MAXの名称を変えるのだろうか?

 

名前を変えるなと言う、男らしい考え方と言う要素があるかも知れない。マーケティングの(議論の分かれる)選択肢として、変更すべきだと言うものもあるだろう。トランプ大統領は懐疑的だった。然し、737neoと変更する事はなさそうだ。

 

 

運航再開した場合、旅行者がこの機材で飛ぶのを拒否することは有り得るか?

 

間違いなくあるだろう。何人くらい、どのくらいの期間かは、ひとつにはこの機材が改称されるかにかかって居るだろう。

 

旅行者はこの種の問題では極めて記憶が短期的で、的確な商品戦略キャンペーン、小規模な値引きや利便性の提供が、旅客の意思決定に極めて大きな影響を与える。

 

理解できることだが、ずっと、より意味深長な理由から、エチオピア航空がこの航空機を再び飛ばすのは極めて遅くなることだろう。

 

 

AnalysisFlying Boeing's 737 MAX: FAQs

 

 

 

海外事情

 

今週号では、「7. アゴダの多角化戦略」、「8. ブッキング、民泊の新戦略」、「13.ブッキング、法人旅行テックプロバイダー買収」、「15. ブッキング、配車アプリのグラブと提携促進」と、BKNGの関連ニュースが4つもあった。BKNGの「Connected Travel」戦略の遂行が進んでいる。BKNGの場合は、Internet of Things (IoT)が、Internet of Travel (IoT)と読み替えているように感じられる? 

 

それよりも、3つの記事が印象深い。「10. 本当のディスラプション」、「22. ソーシャルメディアと旅行」、「24. 東南アジア市場の2つの問題、OYOとインスタ」の3つだ。

 

10. 本当のディスラプション」では、ディスラプティブのプロダクトは、必ずしも既存企業よりも良いわけではなく、今まで既存企業が不経済なために手を出さなかったサービスのニーズに取り組んだか、以前は特定できなかったニーズのいずれかであると説いている。そして、ディスラプティブを起こしているのは、テクノロジーでなくて、創造性を発揮したクリエイティブなモデルであることを再確認させてくれた。

 

22. ソーシャルメディアと旅行」は、旅行とソーシャルメディアの相性が抜群に良く、旅行業界がソーシャルメディアを誰よりもうまく使っていると言っている。ソーシャルメディは、人と人の繋がりをインターネットで補完するコミュニーケーションサービスなのだから、顧客とのエンゲージメントに優れているのは当たり前だ。これを上手に使っていないとすれば問題だ。

24. 東南アジアの2つの問題、OYOとインスタ」は、この地区における観光公害の実態を報告している。オンライン旅行ガイドTravelfishStuart McDonaldが、過去15年間で悪化している観光公害の実態を、歯に衣着せずのタッチで断罪している。(編集人)

海外事情12月9日号 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)