北米航空業界の見通し:2019年(初頭)は楽観論が支配

当分析はCAPAが2018年12月22日に発表した  

  

North American aviation outlook: optimism prevails for (early) 2019 

 

をJAMRが全文翻訳したものです。

 2019年1月6日 

 

 

北米航空業界の見通し:2019年(初頭)は楽観論が支配 

22-Dec-2018 

 

北米のエアラインは、貿易そして燃油の不確実な状態が尾を引きずって居り、2020年には景気後退と言う予告がより勢いを得て居るにも拘わらず、2019年に相当前向きな見通しを持って居る。

 

燃油価格は2018年が終ろうとする中で、激しく変動して居て、殆どのエアラインは2019年の間中、供給拡大は合理的にすると誓って居り、この約束に忠実であるべきだろう。

 

当面の間は、北米最大級の国際線運航会社の殆どは、2019年の国際線市場の業績については、数か所の弱い地域を除いては、楽観的である。これらのエアラインはまた、株式市場では激しい値動きに悩まされて居るにも拘わらず、2019年に向かって、業務需要の力強い傾向を証言して居る。 

 

概要 

l  長引く貿易問題の不確実性にも関わらず、北米のエアライン各社は需要に関し、2019年に向って肯定的な見方を維持して居る。

 

l  北米の大手エアラインの幾つかは、2019年には供給の伸びは減速すると約束して居り、燃油価格が乱高下する事から供給に合理性が生まれる筈だとして居る。

 

l  カナダのウエストジェットは2019年には同社の収入と収益状況に於いて失地の幾らかを回復しようと狙って居る。 

 

デルタとユナイテッドは未だ、貿易の諍いから否定的な影響を見出だして居ない

 

米国と中国が2018年12月の間に彼らの貿易論争に90日間の休戦協定を交わすに至ったとしても、妥当な時間内に恒久的な解決策に到達できるものか疑いは増すばかりである。

 

2018年の殆どを通じて、各社は「売り言葉に買い言葉」で関税を課税するやり方は、消費者物価の値上がりやサプライチェーンの阻害に繋がるだろうと警告して来た。それにも拘わらず、2018年には、米国の消費者の自信はかなり堅固であった。

 

「全米産業審議会(Conference Board)」に依れば、2018年11月、自信の水準は僅かに落ち、また、ビジネス環境と個人収入予測に楽観的な見方が消費者の期待はいくらか弱まったと結論して居る。然し、全体として、審議会は米国の消費者は、2019年も堅固な経済成長は続くものと考えて居ると結論付けて居る。

 

米国のエアラインもまた、堅固な需要は、特に企業顧客の間で、2019年の始めまでこのまま強い状況が続くだろうと考えて居る。2018年第3四半期の終わりには、デルタ航空の経営者の結論は、同社が2014年以来、計上して来た、企業向け運賃の下落分のほぼ40%を回復したと言うものだ。2018年第3四半期の終了から間もなく、デルタの経営陣は、同社の企業顧客への意向調査は90%の業務渡航マネージャーが、2019年の支出は、維持または増加すると予測して居ると述べて居る。

 

ごく最近、デルタ航空のグレン・ホーエンスタイン社長は、同社は貿易政策の変化から何か意味のある影響をまだ認識して居ないと述べて居る。

 

「我々の太平洋に依拠した収入、そして取り分け中国は、特に最近開設したアトランタ=上海線で市場に投入した追加供給が、我々の期待通りに順調である事から、2018年第3四半期には実に上手く行って居る。従って、今のところ(悪影響)は感じて居ない。」とホーエンスタイン氏は語って居る。

 

ユナイテッドも、業務渡航の予約は明らかにもっと日にちが迫って、大体5週間前くらいからになる事に注意が必要だが、堅固な企業需要とプレミアム予約が2019年まで続いて居ると述べて居る。2018年第3四半期の終わりに、同社の経営陣は、貿易問題の結果として、将来に向かって中国へのビジネスクラスの販売の落ち込みはこれと言って起きて居ないとの結論に至って居る。

 

アメリカンについては、2018年第3四半期には国内線の企業収入が対前年10%増加して居り、業務需要は堅調を維持して居る。

 

 

北米の大手エアラインの幾つかは、供給を絞る約束を守る

 

燃油価格は、2018年、対前年で40%も高騰したが、年も終わろうとする今、転がり落ちて、投資家達の間では供給が近い将来増大するのでは、と言ういら立ちが起こって居る。

 

サウスウエスト航空は以前宣言した2019年には2018年に比べ5%の供給増という予測を変更して居ないし、デルタとアメリカン双方ともより低い供給増率を公約して居る。

 

結局、現在の北米全体としての2019年の供給席数予測は、僅かな上昇を示して居る。然しOPECが2019年には、産油量削減を仄めかして居る事から燃油コストは正確に言い当てる事が出来ず、それは北米のエアラインが供給増に関して慎重なままとなりそうである事を意味する。  

 

北米全体のASKの伸び率 2015年から2019年5月半ば

Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG. 

 

2019年初頭北米のエアラインの国際線需要は引き続き強固

 

結局、北米の最大手エアライン各社は、国内線、国際線ともに需要については2019年に向かって、依然として強気のままである。

 

ユナイテッドは2018年遅くの国内線そして欧州、アジアへの国際線便の需要について、かなり強気な見解を述べて居る。2018年第3四半期の大西洋横断路線については、殆どの北米エアラインにとって、飛び抜けた実績を出して居る。

 

ブラジルとアルゼンチンについては、この2つの国が長引く通貨の圧力に直面して居て、ある時点でアルゼンチンの通貨は2018年中に40%も価値を下げた、然し現在のところ、これらの市場での国際路線の状況は、更に悪くなる様子はない。

 

カナダ最大のエアラインであるエア・カナダの経営陣は、最近、同国の経済成長はずっと強固だったし、米国、カナダとメキシコの通商取引はかなりの水準で不確実性を取り除いて居ると述べた。全体として:「我々は、基本的に、強固な需要が継続するのを目にして居る。」と、同社CEOのカリン・ロビネスクが最近語って居る。「明らかなのは、我々は2019年に何が一体起こるのかを言い当てる、完璧な水晶玉を持って居るわけでは無いのだが、今のところは上手く行って居る。」2019年、カナダのGDP成長率は2%辺りに落ち着きそうである。 

 

カナダのウエストジェットは、2019年中に経営の立て直しを狙って居る

 

2018年中のカナダの国内線市場での供給の圧力は、この国第2のエアラインであるウエストジェットにとっては、2018年第4四半期の供給拡大を6ポイント削る結果となり、2019年の供給拡大計画の6.5%から8.5%と言うのは高いままだが、国内線の予想は1%から3%である。ボーイング787保有機群の拡大及びウエストジェットの超LCC子会社スウープの保有機群拡大が、目覚ましい供給増を牽引して居るのだ。スウープは、2019年末までに、保有機群を6機から10機へと増やそうとして居る。 

 

ウエストジェットの保有機群概要:201812月初旬現在

Source: CAPA Fleet Database.

 

2018年、ウエストジェットは、2018年第2四半期に13年間で初めての損失を計上し、発表した年度の目標をはるかに下回るROIC(投下資本利益率)の実績を記録し、次第に強まる痛みを感じて居る。同社の20189月末の12か月の実績ROIC5.5%で、公表して居る目標の13%から16%を、かなり下回って居る。

 

ウエストジェットは、2019年に2%から4%の単位収入増加を誓約して居り、歴史的に堅固な収益実績での失地を回復しようと努めて居る。2018年半ばに新たな超LCCスウープを立ち上げたのに加えて、ウエストジェットは、CEOの交代、パイロットとの労働争議も経験して来た。

 

LCCのジェットラインズが長年温めて来たデビューを狙って居る事、そして超LCCフレアが拡大を続ける中で、ウエストジェットとエアカナダの両社は、2019年、更なる国内線での競争に直面する。

 

ジェットラインズ、フレアの保有機群予測に依ると、してカナダの超LCC各社は、向こう数年間で、20機近くの航空機を追加する予定だ。 

 

北米の自信は当面、強いままである

 

交易論争が続きある程度の不確実性が北米のエアラインに重くのしかかって居るものの、彼らは2019年初頭の需要に関してはプラスの見解を維持して居る。

 

米国と中国の間の90日間の心もとない貿易休戦が終わり次第、そして企業は売り言葉に買い言葉の関税の問題を取りまとめ始めるに従って、この貿易紛争の中期的な意味合いについて、ある程度明らかになって来るかも知れない。次第に多くの経済学者が2019年の半ばから後半に、世界経済の減速を予言し始めて居る 

 

North American aviation outlook: optimism prevails for (early) 2019 

海外事情

海外事情12月9日号

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

5. (TJ) オヨ、15億ドル追加調達」と「14. スタートアップに200億ドル注入」の2つの記事から、今までOYOは累計で20億ドルほどの資金を調達し、その規模は過去10年間の世界の旅行領域スタートアップ総投資額200億ドル(約22兆円)のほとんど10%を構成していることが分かる。この多額の資金調達を支えている主要投資家には、ソフトバンクのビジョンファンドが含まれる。ソフトバンクは、最近、上場延期を余儀無くされた米WeWorkに(支援策として)50億ドルを出資することを決定した。(ビジョンファンドは、すでに累計100億ドル=約1.1兆円)をWeWorkに投資している。)出資しているUberの株価も上場時より25%も下がっている。まさかOYOWeWorkの二の舞なんてことには・・・? ビジョンファンドの主要投資先には、旅行関連では、OYO, Uberに加えライドシェアのGrab(シンガポール)と滴滴出行(中国)がある。 

 

15. トーマスクックと中小旅行会社」と「16. トーマスクック倒産の教訓:流通ミックス重要」は、トーマスクック(TCG)の倒産原因が、アイデンティティー(企業の独自性)・リダーシップチーム・市場のトレンド・テクノロジー戦略、の5つに重大な問題(瑕疵)が存在したためだと解説している。そして、近代のトラベルテックが進化した市場では、API、オープンシステム、提携(後述再掲)の方法によって、中小旅行会社と雖もTCGと変わらない在庫にアクセスすることが可能であると説いている。むしろ中小旅行会社の方が、小回りがきいて、経営環境の変化に迅速に対応し、社内のコミュニケーションにも優れていると書いている。また、大手ツアオペに送客をべったり依存するのではなくて、複数のデジタルチャネルを利用するチャネル管理が極めて重要だと教えている。 

 

10. テクノロジー・コンバージェンス」は、スタンドアローンの複数のシステムを繋げば(コンバージェンス/融合すれば)、より優れたアウトプットが生まれると言っている。恥ずかしながら、この言葉を初めて聞く者には即ピンと来ないが、その一例として記されている、Disney+ABS+Pixar+MarvelViacom+Paramount Studio+CBSM&Aによる企業の混ぜ合わせを見ると少しは理解が進む。要すれば何から何までの自前主義は(あるいは個別システムの独立させたままの寄せ集めでは)もはや通用しないので、これからはテクノロジー・コンバージェンスをよく理解して、自分に相応しいパートナーとの提携戦略(あるいは個別システムの繋ぎ合わせ)が必要だと言っていると解釈した。DisneyViacomの場合はM&Aによりそれを実現している訳であるが、M&Aだって提携の究極的な形である。トラベル・エコシステムの発展も、ここ辺りにそのレゾンデートルがあるのかもしれない。観光MaaSだって企業間提携をベースにしている。そう言えば、TCG倒産ニュースでも提携について触れている。また「1. (TJ)ブッキング、航空便予約開始」で、Booking Holdings CEOConnected Tripと言っている。コンバージェンス、コネクテッド、融合、繋ぐが重要なキーワードとなりつつあるようだ。インターネット社会のIoTが進んでいる訳だ。(編集人)