2018年航空業界の展望:2017年は航空業界にとって史上最高の年だった=原油価格がパーティを台無しにするかも知れない

当分析はCAPAが2017年12月28日に発表した  

 

2018 Aviation Outlook. 2017 was aviation’s sweetest spot ever. Oil prices could spoil the party

  

をJAMRが全文翻訳したものです。

 

2018年航空業界の展望:2017年は航空業界にとって史上最高の年だった=原油価格がパーティを台無しにするかも知れない

 

28-Dec-2017 

 

エアライン業界には波乱の過去がある。管理不可能な外部からのコストにもまれ、絶え間ない輸送需要からの攻撃に会って、ささやかな利益を上げることさえ稀だった。収益性の事になると、それは、通常、保護主義的規制で抑制され、輸送量の拡大を犠牲にする事になる。 

 

然し過去2、3年を見ると、業界のほぼ全ての局面が、これを克服して居る。利益は、記録的な水準にあり、搭乗率は高いのだが、輸送量の拡大はレーダーから外れてしまった。2017年は、全エアラインを併せた利益と輸送量の拡大については、 これまで経験した中では恐らく、最高の年だったのではないだろうか。 

 

世界的な、控え目に言ったとしても、歴史的に低い燃油価格と金利、同時発生的な経済成長の恩恵に浴して、エアラインは運賃を下げたが、その過程で、輸送旅客数の拡大を更に刺激した。

 

今、この現象は将来に向かって、その中心となる要因が危うくなって居るかも知れない。原油の値上がりは運賃の値下がりの勢を失速させ、今や、極度に価格に敏感になって居る市場の需要を鈍化させるだろう。そして、金利もまた上昇し始めて居る。 

 

政治の不安定性が増して居るにも拘らず、もし世界経済が現在の軌道を進み続ければ、この比類の無い良好な状況からの転落が和らげられるかも知れない。多くの事が、どのくらい原油価格が上がるかにかかって居る。 

 

概要

 

l    最近の高水準の輸送旅客数の伸びは一部、供給主導型だった

 

l    燃油価格の低いことがエアラインを刺激して、低運賃と言う形で内部留保を吐き出させた

 

l    結果としての極めて大きな旅客数拡大は、価格に高度に敏感な要素が含まれて居る

 

l    燃油価格は、既にIATAの2018年の予測平均値を10%も上回って居る

 

l    更なる燃油コストの増加は、運賃の上昇を余儀なくさせ、拡大、そして/或は利益を諦めねばならなくなるだろう 

 

原油価格上昇の陰に隠されたメッセージ 

 

2017年12月26日、ブレント原油の価格が初めて、過去2年以上の期間で最高のバレル当たり67ドルに上がった。直接の原因はリビヤでのパイプラインの爆発であるが、多分過去10年のどの時期よりも、不安定と思われる中東に付きまとうリスクの可能性を示唆して居る。エアライン業界にとって重要で、そして制御不能な投入コストとして、世界中で注目される展開になるだろう。

 

IATAの2017年12月7日付、2018年の予測では、2018年はブレント原油の平均価格を60ドルとして居る(実際のジェット燃料は約14ドルそれより高い)。 

 

価格が、その水準より既に10%も高く、2017年はもう数日しか残って居ないのだから、調整が必要だろう。上昇の傾向が継続的なものなのか、価格の最高値を示すのかが、2018年のエアライン、そして旅行業界の趨勢を決める事になりそうだ。

 

過去6か月間のブレント原油価格の急激な上昇(米ドル)

 Source: oil-price.net 

 

エアライン業界では、何故、供給がしばしば需要を導くのか 

 

エアライン産業は、とても特殊な事業である。どんな事業もそれぞれ異なるものだが、エアラインの商売は多くの点で特異である。 

 

これは多くの要素からの結果であり、その中で最重要なのが、国際線のエアライン経営を歪める古色蒼然たる規制のシステムである。それでは、これは何を意味するかと言うと、各国がそれぞれ供給の主体的源泉であると同時に、エアラインの商品の消費者であると言う事だ。 

 

これは、各国が少なくとも一社の「フラッグキャリアー」を持って居て、多くの場合、政府がそのエアラインの完全な所有者では無いとしても、かなりの投資をして居る。これだけでも、何故供給と需要の自然な流れが歪められるかを示すには充分な筈だ。政府がエアラインを所有したいと望む事実、そして旅行は種々の形で、国際交易の基礎である事から、通常の市場の力関係がこの産業を全ての段階で律して居ると考えるのは愚かだと言う事を意味する。 

 

台頭する新たな需要が拡大を刺激して居る 

 

アジアで台頭する新たな市場全体、そして、その市場の中で居場所を求めて競い合う、多くの新たなエアラインの拡大に加え、開かれた市場が有るところではどこでも、恒常的な座席数の供給過剰を支えるものがあるのだ。 

 

GDPの成長、企業心理、交易の流れ、などなどの典型的な経済的な力は全て、必要な影響力を持って居る;然し、これらの指標を基礎として将来を予測しても、過去2年間にこの産業がずっと成長して来た理由を説明するには不充分だろう。 

 

一つ例を挙げると、歴史的にはGDPと輸送量の間には明確に予測可能な関係があって、それは、輸送量はGDPの伸び率の約1.5倍で拡大すると言うものだ。今のところ、世界の殆どの経済に於いて、かなり快適な同時進行の成長が見られる。一方で、どこかがとりわけ強いと言うところが無く、殆どが着実な伸びを見せて居る。 

 

然し、輸送旅客数の伸びは「通常」を遥かに上回って居る 

 

従って、旅客輸送量の伸びのペースはGDPの伸びの約2倍と予測するのが正しいかも知れない。それでは、我々が今、体験して居る成長が1.5倍や2倍をかけた数字ではなく、水準の5倍だとしたら、どう説明したら良いのだろう? 

 

これが出発点である。重要なのは、短期的な力(それは沢山あるが)が大いに市場の拡大に影響を与えるのだ。 

 

従って、いわゆる長期的な成長は、平均値で年間4%であるのに対し、短中期的には、より高い(或は低い)成長を刺激する、多くの内部的、外部的な要因があるのだ。 

 

原油価格、そして低運賃が輸送旅客数の伸びに影響する 

 

つい最近の、最大の短期的影響の一つが、原油価格の大きな下落だった。原油価格が、バレル当たり80ドル周辺以上だった頃、エアラインは、その投下コストに見合うビジネスモデルへと調整を図った。原油価格が、バレル20ドル台半ばまで落ちると、機材の退役(或はしないか)も含めた供給席数の決断、路線計画、運賃設定、従業員の採用などが、この投下コストに全て影響を受けた。 

 

航空業界では、燃油費が総コストの20%から30%を構成する事から、そして、LCCにとっては40%以上にもなる事から、バレル当たりの価格が100ドルから30ドルに急落する事は、特に薄い利益率を享受する典型である、この産業の形に大きな変化を生み出した。 

 

これが、過去2〜3年間の国際的な拡大を形作って来た支配的な特徴だった。より低い価格が、エアラインに、さも無くば駐機して居ただろう多くの古い航空機を生産に従事せるよう促した。多くの場合、機材稼働率が向上し、その動き一つ一つが市場に更に供給席を追加する事になった。 

 

この間、金利も歴史的に低い水準に停滞し、需要者側に刺激を与え、そして消費者にとっては家計や車の支出に、安い燃油コストに上積みする恩恵を与え、可処分所得を拡大する事になった。 

 

燃油価格(黒線)と金利(黄線)は下降線辿る。2011年1月を100として指標化。

 Sources: CAPA – Centre for Aviation, oilprice.net, The Economist. 

 

低い燃油価格の恩恵は、エアラインの燃油コストを下げる努力と、彼等が運航する新機材のお陰で達成した、益々向上する燃油効率により、更に拡大された。 

 

改善の度合は、以下のIATAのグラフが明らかに示す通り、大きなもので、エアラインに更なる運賃値下げへの道を与えて居る。 

 

航空機の改良とエアラインの努力が燃料効率を向上させて居る

Source: IATA. 

 

新市場と新規エアラインが高い成長率を刺激した 

 

その他の短期的要因が、大きな影響力を持って居る:即ち、中国の市場の拡大と中国のエアラインの国際線での拡大、新しい航空機のテクノノロジーが世界の航空路線が運用される方法を変容させた、最も特筆すべきは、多くの長距離LCCと新たな路線の誕生であり、多くの新規参入エアライン、そして上述した様に、同時並行的に起こった世界的経済成長である。 

 

これらの全てが、国際線輸送旅客数を高い水準で維持する要因として貢献して居るのだ。原油価格が下がった事とそれに起因した運賃の低下は、単に偶然なのだと言う結論から逃れるのは難しい。競争が新市場への新たな供給を促すと同時に、恩恵は自分のポケットに入れずに消費者に還元せよと圧力をかけて来た。 

 

原油価格と航空運賃(青)、旅客数の伸び(紫) 2011年~2017年

Sources: CAPA – Centre for Aviation, IATA, oilprice.net, The Economist. 

 

また、皮肉なことではあるが、この惜しみない贈り物は、世界産業に記録的な高収益の時期を齎して居る(これらの利益の大半は、米国市場では、しっかりとそれを抱え込んだ一握りのエアラインが摘み取って居るのだが) 

 

然し、この新たな参入者たちの炎に安い燃料を注ぐと、供給が牽引する成長に、更により強く刺激される市場を生み出すことになった。危険なのは、これが長い目で見ると継続不可能と思われる運賃水準で起こって居ることだ。 

 

それは、この要因の異常な組み合わせが急激な拡大を刺激した事で、益々価格に敏感な市場になりつつあるからだ。一例を挙げると、最近のCAPAイベントで、あるアジアの長距離LCCのCEOは、彼の旅客の多くが、3ドルもしたら食事を買う事が出来なかったと発言して居る。 

 

言い換えれば、これは航空運賃がわずか数ドル上がるだけで、旅行をする可能性のある人々を、大きな割合で、思い止まらせてしまう市場だと言う事だ。

 

絶好調:収益性(緑)が上がり、搭乗率(オレンジ)が向上するに伴い、前例の無い高さになった旅客数の伸び

Sources: CAPA – Centre for Aviation, IATA, oilprice.net, The Economist 

 

これらの出来事の流れが一つに合わさった結果、かつて例を見ない程、価格に敏感な旅行者が、現在、ずっと大きな部分を占めて居るのだ。そして、これは危険な事である。 

 

最初に炎上するのは、明らかに、可変コストの大きな割合を燃油費が占める低コストエアラインである。然し、市場が拡大するに連れ、フルサービスエアラインもまた、低運賃の市場セグメントに大きく依存する様になって居る。 

 

燃油費の上昇は、一部のエアラインにとっては、始めは応えないだろう 

 

多くのエアラインは、極めて低い燃油価格を利用して、2018年中のかなり遅くまで、将来の必要分をヘッジして居る。即ち、燃油費の上昇は徐々にしかやって来ない。然し、ヘッジをして居らず、より値上がりにもろに晒されるエアラインでは、痛みはほぼ、直ちにやって来るだろう。 

 

もし仮に高い金利、そして次第に圧力を受ける需要がこれと一緒にやって来るとすれば、痛手は更にひどいものになりそうだ。 

 

輸送旅客数の伸びの見込みが低下すれば、供給の一部は市場から削られて行くだろうが、エアラインにとって、供給席数減を埋め合わせる様に、搭乗率を高く押し上げる余裕は余り残されて居ない。概ね、飛行機はこれまで以上に満席で飛んで居るのだ。

 

それぞれの線は一点に収束する。

 

2018年には原油価格が上がり、基礎的な要素は一点に収束し始める。

(紫:旅客数の伸び、緑:利益、オレンジ:搭乗率、青:平均運賃、黒:原油価格、黄:世界の金利) 

Sources: CAPA – Centre for Aviation, IATA, oilprice.net, The Economist.

  

然し、2017年の絶好調は維持出来そうにない 

 

上記の赤いゾーンの中の線は、単に示唆的なものを意図したのだが、全般的な方向性は、燃油価格がどんな傾向を示すかによって、かなりの程度まで調整可能である。 

 

肝心なのは、私たちは、2017年に体験した高い収益性と高度な輸送量拡大の異常な絶好調状態を、ほぼ確実に通り過ぎて居ると言う事だ。 

 

燃油価格が上昇するに連れ、業界は、再び新たなコストと競争環境に順応するために焦点合わせをするモードに入りつつあると言えるだろう。価格に敏感で自律した旅行者たちが思い止まる事になるため、価格が上がれば上がるほど問題は大きくなる。 

 

以上

  

2018 Aviation Outlook. 2017 was aviation’s sweetest spot ever. Oil prices could spoil the party 

 

海外事情

 

6 10 日から 21 日までの 2 週間のオンライン旅行流通に関係する海外主要記 事です。
この号では、「3. OTA エアビーとレートパリティー」に注目したいと思います。 Airbnb がホームシェアに加えてホテルまで販売するとなると、
泊とホテルが 一つのプラットフォーム上で横並びにリストされることになり、タイプの異な る施設同士の価格比較が難しくなって、レートパリティーの維持が困難になる と言っている・・・と理解しました。しかし「(Airbnb では)、ゲストが施設の 真のコストを判断できない不明瞭なプライシングの環境が存在する」とはイマ イチ良く理解できませんでした。Airbnb が最近導入したホストオンリーのコミ ッションモデルであれば、OTA のモデルと近似するのですから、そんなことに はならない、のではないでしょうか?
 

 

Airbnb が上場して・・・顧客獲得コストが上昇・・・ホテルの直販志向を強 くさせることになるが・・・一方でパリティー破りの悪役である格安販売のホテ ルオンリーの業者が増加するデメリットも存在する」とも言っています。しか し、ホテルにとっては、Airbnb のホテル販売開始によってチャネルがそれだけ 増えるので(OTA の中抜きのチャンスが生じるので)良いことである、と考え るのは間違っているのでしょうか?ホテルオンリーのパリティー破りは、 Airbnb とは関係のない別の次元の話では。「Airbnb のコミッションが、将来値 上げされる可能性もある」と言っていますが、EXPEBKNG との対抗上、こ の大手 OTA2社を上回ることにはならないのではないでしょうか。Airbnb の 多角化戦略は、「焦点が合っておらず・・・会社(Airbnb)は衰退する可能性が ある」とも言っていますが、ホームシェアからホテル販売を開始して、OTAHotelTonight を買収し、OYO に投資し、そしてタビナカの Experiences プロダ クトを開発して EXPEBKNG に競争を挑むのは、まさに Airbnb総合旅行 会社になるという大いなる経営ビジョンであると考えるべきだと思います。 この記事の著者(OTA Insight, Chief Commercial Officer)は、Airbnb に対して かなり否定的であるようです。中小の独立ホテルにとっては、そもそもパリティ ーに縛られたくない筈ですから、Airbnb がパリティー維持を困難にしてくれる というのであれば、これは歓迎すべきことではないのでしょうか。最後に「ホテ ルは、ますます複雑化する流通を制御することができない。ゲストが他では取得 できない並外れたエクスペリエンスを提供することに最善を尽くし続ける必要 がある」については全く同感です。 

 

恒例のメアリー・ミーカーの「インターネット・トレンド 2019」が発表されま した。「12. メアリー・ミーカー、インターネット・トレンド発表」
この 333 枚のスライドでは、日本の企業は Sumitomo MitsuiLINEMIXI の たったの3社が言及されているに過ぎません。中国は独立した章(11China) で 30 ページ以上が割かれています。日本のインターネットテクノロジーの弱さ が見て取れて、とっても悲しいことです。(編集人)