ユナイテッド航空のアジア戦略=シンガポール-米国市場はシンガポール-サンフランシスコ直航で進化

 当分析は、CAPAが2016年1月31日に発表した 

 

 United Airlines Asia strategy & Singapore-US market evolve with Singapore-San Francisco non-stops

 

 

 

をJAMRが翻訳したものです。 

ユナイテッド航空のアジア戦略=シンガポール-米国市場はシンガポール-サンフランシスコ直航で進化
31-Jan-2016

ユナイテッド航空は、20166月サンフランシスコへの787-9による直航便を開設し、シンガポールの市場での存在感を向上させようとして居る。この路線は、ユナイテッドの路線網の中で最長、そして787としては世界最長の路線となり、西行便は重量制限が必要となる。

この新たなサンフランシスコ線はシンガポール航空(SIA)が2013年にロサンゼルスとニューアークへの直航便を止めて以来、初めて、シンガポールに米国行き直航便の選択肢を提供する事になる。SIA2018年にロサンゼルス、ニューヨークの直航便再開を計画して居り、サンフランシスコ直航も検討して居たが、ユナイテッドがそのシンガポール=米国間直航サービス開始を、SIAより2年先駆ける事になる。SIAとユナイテッドは共に、スターアライアンスのメンバーだが、これまで一度もコードシェアをした事が無く、シンガポール=米国直航便でも提携の計画は無い。

ユナイテッドはスターの盟友ANAと既にシンガポール=米国間の経由便を含む共同事業をして居る。この新しいシンガポール=サンフランシスコ直航路線は、共同事業に追加される事になる。(関係する3国ともにオープンスカイ協定を交わして居る)
ユナイテッドは、シンガポール=香港便を維持する一方、シンガポール=東京便は廃止する計画である。だが、同社の東京=米国間の便を埋める為にはシンガポール=東京市場でのANAの拡大した存在感に頼る事が出来るだろう。

ユナイテッドは、米国エアラインとして、また787運航会社として最長の路線を飛ぶ

 

2016129日、ユナイテッドはサンフランシスコとシンガポールの間の直航便を201661日、政府認可が条件だが、開設すると発表した。新たな便は、毎日252席の787-9を使って運航され、48席の水平に倒れるビジネスクラス席と、204席のエコノミークラス、その内88席は脚周りの広い席になって居る。

 

シンガポール=サンフランシスコ線はユナイテッドに取って、また全ての米国エアラインに取って最長の路線になる。全長13,593kmの路線は、東行15時間30分、西行16時間20分のスケジュールが組まれて居る。

 

シンガポール=サンフランシスコは現在のところ最長の直航便路線であるシドニー=ダラスの13,804kmより僅かに短い。また、エミレーツは201631日に14,201kmのドバイ=オークランド線を開設して、世界最長路線運航の栄誉を奪う事になって居る。

 

エミレーツは、他にも、201631日、13,821kmと僅かに短いが、西行で17時間15分のドバイ=オークランドに比べ、17時間35分とより長時間のドバイ=パナマシティ線を開設する計画である。ダラスからシドニーへの西行区間は16時間55分である。シドニー=ダラスはA380で運航されるが、エミレーツはドバイ=オークランド線、ドバイ=パナマシティ線に777-200LRを使う。

 

SIA2018年に世界最長路線運航のタイトルを奪還する予定である

然し、シンガポール=ニューアークは15,344kmなので、SIA2018年に世界最長路線運航のタイトルを奪還する予定である。シンガポール=ロサンゼルスはシンガポール=サンフランシスコより僅かに長い14,113kmである。シンガポール=ニューアークは東行、西行ともにほぼ18時間かかる。

 

米国エアラインの中での最長路線は、現在、デルタの777-200LRによるアトランタ=ヨハネスブルグ線で、13,582kmある。全エアラインの787による最長路線は、現在のところ、12,748km あって、15時間50分かかるロサンゼルス=メルボルン線の西行区間である。

 

ユナイテッドは201410月にロサンゼルス=メルボルン線を、787-9を使って開設した。カンタスはこの路線をA380747-400で運航して居る。この路線はユナイテッドに取って12,980kmあり777-300ERで運航して 居るニューアーク=香港に次ぐ第2に長い路線である。ニューアーク=香港線は両方向ともに15時間30分である。

 

7879はユナイテッド航空のシンガポール直航便を可能に、然し重量制限が伴う

 

ユナイテッドは数年間に亘って、シンガポール線の潜在力を検討して来たが、20149月に787-9を受領するまで、相応しい選択肢が無かった。777-200777-300ERは米大陸のどの地点からも西行直航便を運航できる航続距離を持って居なかった。A340-500777-200LRはそれを持って居たが、ユナイテッドはこれまでこの機材を保有した事が無かった。

 

過去数年間に亘って、ユナイテッドは、787-9がシンガポール=サンフランシスコ線の解決策を与えてくれる事に自信を持って居たが、慎重を期して、実際に受領するまで、そして、数ヶ月の運航を終えるまで待って居た。特にロサンゼルスからメルボルンへの西行便の例が、大きな制限無しに、もう30分ほど長く、787-9で運航できるかどうかの決断をする為の、重要なデータを提供してくれた。

 

ユナイテッドのシンガポール支店長ローレンス・チンはCAPAに対して、同社はサンフランシスコからシンガポールまで、「限定的な制限」を必要とする日が何日かあるだろうと語って居る。その結果、ユナイテッドは西行便の事前予約のインベントリーに、204席のエコノミー全席数は入れて居ない。

然し、ユナイテッドは、風向きの予報に従い、出発数日前にインベントリーを開けて、殆どの便で、全席を販売する事が出来ると見て居る。

 

予想される重量制限は管理可能と思われ、新路線の収益性に大きな影響はないだろう

 

予想される重量制限は管理可能と思われ、新路線の収益性には大きな影響はないだろう。

貨物は明らかに恒常的に制限されるが、超長距離便には、明らかに貨物は、特に西行便には積めないのが普通だ。

 

ユナイテッドはシンガポール市場での立場を強める

 

ユナイテッドはもう30年もシンガポールに飛んで居り、10年以上香港と東京/成田経由のワンストップ便を提供して来た。チン氏は言う、ユナイテッドの顧客は、もう何年も、2013年にSIAが米国直航便を休止するずっと以前から、シンガポールからの直航便と言う選択肢を求めて来た。ユナイテッドには収益の上がるシンガポール直航便を運航できる航空機が無く、ずっとこの要望に応えられなかった。

 

現在は、ユナイテッドは777-200をシンガポール便の双方に使って居て、香港便は続いてシカゴに向かい、東京/成田便はワシントン/ダレスに飛んで居る。ユナイテッドは現在、シンガポールでアジア太平洋、中東以外を基地とするエアラインとして4番目に大きなエアラインである。

 

シンガポールに於けるアジア太平洋/中東以外の外国エアライン5傑(供給席数ベース):2016124日〜31

Rank

Airline

Total Seats

1

BA

British Airways

12,374

2

KL

KLM Royal Dutch Airlines

10,968

3

AF

Air France

8,376

4

UA

United Airlines

7,616

5

LH

Lufthansa

7,126

Source: CAPA – Centre for Aviation & OAG

 

何年もの間、ユナイテッドは、2つのシンガポール線に何種類かの機材を使い、この2路線の米国内の出発地を変えて来た。2011年後半から、2012年始めまで、短期間だがグアムを基地とする737-800をシンガポール=香港線に使った事もある。

 

<関連記事参照>

米国エアライン各社、米国=東南アジア路線市場を縮小 18-Nov-2011

 

ユナイテッドは、20166月にシンガポール=サンフランシスコ線を開設するのに伴い、シンガポール=成田線を休止するが、シンガポール=香港線は毎日777-200で継続する。

 

香港では、ユナイテッドは、太平洋横断路線としてはシカゴ、ニューアーク、そしてサンフランシスコの3路線を運航するのみで、限られた乗継便しか無い。また、737-800でホーチミン、グアムにも飛んで居るが、これらはシンガポールには繋がらない。

 

ユナイテッドは、引続き、東京/成田ハブの役割を縮小する

 

ユナイテッドは東京/成田にシカゴ、デンバー、グアム、ホノルル、ヒューストン、ロサンゼルス、ニューアーク、サンフランシスコ、そしてワシントン/ダレスと米国内に計9つの目的地を持つ、遥かに大きなハブが有る。今回の東京=シンガポール線の休止と、2014年の東京=バンコク線の休止で、ユナイテッドには成田以遠のアジアへの乗継は最早、ソウル/仁川しか残って居ない。ソウルはグアムを基地とする、737-800で運航されて居るので、香港=シンガポール線はユナイテッドの唯一の広胴機によるアジア域内路線となる。

 

ユナイテッドは、2014年に東京=バンコク、東京=シアトルを休止したのと同時に、東京=ソウルを737-800に小型化した。これらの変更は、ユナイテッドの太平洋線運営をより直航便志向とした戦略の一部だった。

 

<関連記事参照>

ユナイテッド航空、東京乗り継ぎを減便=直航便優先の太平洋路線再編の中で

1-Dec-2013

2014年以来、ユナイテッドは太平洋線に、新たに幾つかの直航路線を開設して来た

 

2014年以来、ユナイテッドは太平洋線に、サンフランシスコ=成都、東京/羽田、そして台北など、新たに幾つかの直航路線を開設した。20165月には、ユナイテッドはまた、サンフランシスコから、中国の副次的都市としては2番目となる西安に便を開設する。

 

20166月のサンフランシスコ=シンガポール線の開設は、成田ハブは更に役割を縮小し、ユナイテッドの新しいアジア戦略を強化するものだ。ユナイテッドはシンガポール線開設で、2014年には僅か6路線だったのが、サンフランシスコから11のアジア路線を持つことになる。

 

ユナイテッド航空のサンフランシスコ発アジア路線供給席数ランキング:201666日〜12

Rank

Destination

Seats

1

ICN

Seoul Incheon International Airport

5,236

2

HKG

Hong Kong International Airport

5,236

3

PVG

Shanghai Pudong Airport

5,236

4

NRT

Tokyo Narita Airport

5,236

5

PEK

Beijing Capital International Airport

5,236

6

HND

Tokyo Haneda Airport

3,808

7

SIN

Singapore Changi Airport

3,528

8

TPE

Taipei Taoyuan International Airport

3,528

9

KIX

Osaka Kansai International Airport

3,066

10

CTU

Chengdu Airport

1,752

11

XIY

Xian Xianyang Airport

1,314

Source: CAPA – Centre for Aviation & OAG

 

ANAとの提携はユナイテッドがシンガポール=東京を休止しシンガポール=サンフランシスコを開設する要因だった

 

ANAとの提携で、ユナイテッドは太平洋線の供給を、シンガポールの様な新たな直航便として市場に出す事が出来た

 

ANAとの提携で、ユナイテッドは太平洋線の供給をシンガポールの様な新たな直航便として市場に出す事が出来た、ANAを使って成田での存在感を維持出来るからだ。シンガポールの例では、ANAとの提携が、ユナイテッドにとっては遥かに小さなハブである香港でなく、むしろ東京を切ると言う決断に導いた。

 

香港路線を切ると、ユナイテッドには、シンガポール=香港をカバーしてくれる提携先が無かった。ユナイテッドはシンガポールの旅客に対して、往路、復路に或は両方向で香港に立ち寄る選択肢を残して置くことを重要に考えて居たのだ。シンガポールと香港はともにアジアの金融のハブであり、米国からのビジネス旅客の一部は、同じ出張で両都市を結びつけて考えるからだ。

 

シンガポール=東京の方は、ユナイテッドはANAに頼れるのでシンガポールの旅客に東京への立ち寄りの選択肢は継続して提供出来る。20156月、ANAは、シンガポール=羽田線を拡大した時に休止したシンガポール=成田線の毎日2便目を復便した。ANAは現在、シンガポールへは、羽田から2便と成田から2便の、毎日4便を飛ばして居る。

 

成田からの2便目はシンガポールを朝出発するので、この復便は非常に重要である。ANAの朝発便はユナイテッドのシンガポール=東京便より45分早く出るので、ユナイテッドの全ての東京=米国便に接続可能である。ANAの深夜発便は、東京に早朝に着き、ANAの米国行き便の幾つかにすぐに接続するが、ユナイテッド便には全く出来ないのだ。

 

ユナイテッド=ANAの共同事業は、新しいシンガポール=サンフランシスコ線も対象になる

 

ユナイテッドは、2011年以来ANAと太平洋横断路線で共同事業を行って来た。両社は、便の設定で協力し合い、全ての日本=米国便での収入と利益を分配して居る。ANAは東京/成田から、シカゴ、ホノルル、ヒューストン、ロサンゼルス、ニューヨーク/JFK、サンフランシスコ、サンノゼ、シアトルそしてワシントン/ダレスの9つの米国内地点に飛んで居る(そのうち6つにはユナイテッドの便もある)。ANAはまた、羽田からホノルルとロサンゼルスにも就航して居る。ANAの全ての米国内目的地は、シンガポールから成田経由で、また、ある便では羽田経由で乗継可能である。ユナイテッド=ANAの共同事業はシンガポールなどの日本以遠の幾つかの市場も対象になって居る。この共同事業は2011年にシンガポール競争委員会からの認可を受けて居る。

 

チン氏は、共同事業には新しいシンガポール=サンフランシスコ直航便も含まれる予定だと言って居る。これにより、シンガポール=サンフランシスコの旅客は片道は東京経由で、もう片道は直航便と言う選択が可能になる。

 

ユナイテッドとANAは、完全なメタルニュートラル契約をしており、この共同事業でカバーされる市場では、全て同一運賃が適用される

 

ユナイテッドとANAは、完全なメタルニュートラル契約をしており、この共同事業でカバーされる市場ではどちらのエアラインの運航かに関わらず、全て同一運賃が適用される。

 

現時点では、シンガポール=サンフランシスコ線の運賃は、直航便でもワンストップ便でも同一である。だが、ゆくゆくは、運賃の見直しで、直航便のプレミアムを含む調整がなされるだろう。

 

シンガポール=東京線の供給が増え、ユナイテッドを圧迫して居る

 

ユナイテッドのシンガポール=東京を休止する決断は、共同事業の提携相手の毎日4便も含め、既に、市場に充分な供給がなされて居る事から理解できる。現在、ユナイテッドは、シンガポール=東京間市場の毎日13便の内の1便でしか無い。

 

シンガポール航空(SIA)が、毎日5便(羽田に3便、成田に2便:成田の1便はロサンゼルスへ継続)で市場のリーダーである。JALはシンガポール=東京線は毎日3便(羽田に2便、成田に1便)であり、デルタ航空は毎日1便である(成田)。

 

シンガポール=東京間の市場は、シンガポールから羽田に乗り入れる第1波が承認された2010年以来、大規模な供給増加を経験して居る。羽田への新規乗り入れ便はシンガポール=東京/成田間市場の需要に大きな影響を与え、収入単価を圧迫して居る。

 

 

シンガポール =東京間のエアライン別供給量(週間片道席数):201110月〜20163(表1)

Note: includes both Tokyo airports

Source: CAPA – Centre for Aviation & OAG

 

ユナイテッドは、搭乗率を維持するために、地元のシンガポール=東京間の需要を追い求める競争を積極的に続けて来た。これらの旅客は、実収単価が低く、特に米国エアラインがアジアのハブ以遠のアジアの域内を飛ぶ時には比較的高い費用がかかる事から、明らかにコスト割れをして運んで居た。自からは地元の市場から離脱して、成田=シンガポールを繋ぐのはANAに頼る選択は妥当な解決策である。

 

ユナイテッドはシンガポール=米国市場での立場を改善するだろう

 

ユナイテッドのシンガポール市場での供給は現在の週間7,500席から直航便の就航する20166月には7,300席弱と 僅かに下がる。これは、ユナイテッドにとってシンガポール=香港を737-800で運航して居た2011年遅くから2012年早くまでの期間以来、シンガポール線での最低記録になる。 

 

 

ユナイテッド航空のシンガポール発、週間片道席数:201110月〜20165(表2)

Source: CAPA – Centre for Aviation & OAG

 

然し、ユナイテッドは20166月にはシンガポール=米国間市場に、現在に比べてかなり多くの供給を割り当てる予定だ。シンガポールからサンフランシスコへの787-9の席数は全てシンガポール=米国の旅客に割り当て、シンガポールから東京への僅かに大きな777-200の席の大部分は現在、地元の旅客に売って居る。

 

ユナイテッドには、時に東京便を充分に埋めるだけのシンガポールから米国への需要がある。然し、年間で特に日本=米国間市場の需要が強い時期には、東京から米国への席を充分に確保するのが難しい事もある。直航便はその問題を解決してくれる。

 

新たなシンガポール=サンフランシスコ便のビジネスは、全てシンガポール=米国旅客需要にかかって居る

 

チン氏は、新たなシンガポール=サンフランシスコ便のビジネスは、全てシンガポール=米国旅客需要にかかって居ると言う。

 

シンガポール=サンフランシスコは、大規模な地元市場であり、ユナイテッドはサンフランシスコで、米国内の40都市に乗継が可能になるのだ。現在は、ユナイテッドは、シンガポールから、この内の15都市にワンストップの便を提供することしか出来ない。

 

また、加えて、25都市へのワンストップ乗継が可能になる事も、ユナイテッドがシンガポール=サンフランシスコ直航便を決断した重要な要因である。この25都市の殆どは、シンガポールからワンストップ乗継の選択肢を持たない事から、ユナイテッドの他のエアラインに対する競争力を高めてくれる。

 

ユナイテッドは、シンガポール=サンフランシスコ間の市場占有率を向上、SIAを圧迫するだろう

 

ユナイテッドは、また、直航便を運航する唯一のエアラインとなるので、明らかに、地元のシンガポール=サンフランシスコ間市場で強い競争力を持つ事になるだろう。シンガポール=サンフランシスコは極めて競争の激しい市場で、アジアのエアライン10社とユナイテッドが同様の乗継時間を提供して居る。デルタは20143月、東京/成田=サンフランシスコ線を休止し、この市場から撤退して居る。ユナイテッドはシンガポール=サンフランシスコ間市場で、現在、SIAに次いで2番目に大きなエアラインである。OAGの旅客需要分析発着地データによれば、201511月までの13カ月の期間、ユナイテッドはシンガポール=サンフランシスコ間の総旅客数の14%近くを運んで居る。SIAは最大の60%だ。キャセイは8%で第3位、続いてエバーが6%ANA2%だが、ANA=ユナイテッドの共同事業では併せて16%の占有率になる。SIAは、現在、サンフランシスコ線として、一つは香港経由、一つはソウル経由の2便を持って居る。

 

SIAは現在、サンフランシスコに毎日2便、一つは香港経由、もう一つはソウル経由で飛ばして居る。然し、SIAのサンフランシスコ発旅客でシンガポールに行くのは少数派だ。SIAはもっと大きなサンフランシスコ=香港、サンフランシスコ=ソウルの地元需要に大きく依存して居るとともに、シンガポール以遠、特にサンフランシスコ=インド間は巨大な市場である事から、インドへの乗継旅客に頼って居るのだ。

 

唯一の直航便を持つ事でユナイテッドはシンガポール=サンフランシスコ線の地元市場で、SIAの主導的エアラインの座を奪える筈だ。当然の事乍ら、これでSIAには重大な圧力がかかるのは避けられない。サンフランシスコはSIAにとって、そしてシンガポール全体にとって重要な市場である。

サンフランシスコはシンガポールからの米国都市としてはニューヨークより僅かに少なく、ロサンゼルスより大きな第2位の市場である。OAGの旅客需要分析発着地データに基づく統計では、201511月までの13か月間に、シンガポール=米国の総旅客数に対し、サンフランシスコは16%、ニューヨーク(JFKとニューアークの両空港を含む)が18%、ロサンゼルスが12%だった。

 

SIAはシンガポール=サンフランシスコ直航便で、ユナイテッドと結ぶかもしれない

 

SIAは、自からも地元のサンフランシスコ=シンガポール間、またサンフランシスコ=インド間市場にも、より良い商品を提供出来る、シンガポールからサンフランシスコへの直航便を検討中だった。SIAは先の米国直航便を運航して居た2004年から2013年の間は、ロサンゼルスとニューアークであり、サンフランシスコには飛んで居ない。然し、2018年に7機のA350-900で開始する予定の、新たな米国直航便には、第3の直航地点を含むと語って居る。

 

<関連記事参照>

     シンガポール航空、A350-900ULR 米国直航便再開=戦略的必然 15-Oct-2015

     シンガポール航空、まもなく米国への直行便廃止=超長距離飛行に終焉を告げる 30-Sep-2013

     シンガポール航空、米国市場への焦点を弱める=直航便を廃止して 3-Oct-2013

 

SIAA340-500の保有機数はたったの5機だったのだから、少なくとも3路線の為に7機の航空機なら明らかに充分である。SIA2008年に全席ビジネス100席の仕様に変更する前には、最初、A340-500をビジネスとプレミアムエコノミー席の仕様として居た。SIAA350-900ULRの客室仕様として複数クラスを計画して居るが、エコノミーとプレミアムエコノミーの双方を含むのか、ビジネスクラスにプレミアムエコノミーを加えるのかまだ決定して居ない。勿論、SIAはユナイテッドとシンガポール=サンフランシスコ線で競争するのであれば、ある種、差別化の材料として、まず間違いなくユナイテッドより大きなビジネスクラスキャビンを、そしてプレミアムエコノミーの選択肢をつけるだろう。

 

現在同社の最大の米国市場であるサンフランシスコは、明らかに、SIAの第3の米国直航便目的地候補だろう

 

現在同社の最大の米国市場であるサンフランシスコは、明らかに、SIAの第3の米国直航便目的地候補だろう。SIAは、毎日1便のA380(フランクフルト経由)でニューヨーク、或は、ロサンゼルス(東京/成田経由)、そして週5便の777-300ERのヒューストン(モスクワ経由)に比べて、サンフランシスコには毎日2便の777-300ERを飛ばして居る。地元の発着地ベースで見ると、SIAはまた、現在のところ、シンガポールからの旅客数では、他の米国3地点に比べ、サンフランシスコにより多くを運んで居る。

 

ユナイテッドはサンフランシスコ直航便を、2年も前に就航させるのだから、SIAが評価の要素にする事は明らかで、SIAが別の米国都市を選ぶ様、仕向ける事になるかも知れない。然し、長期的には、市場は2社の直航便を支えられそうも無いとしても、SIAは戦略的には、ユナイテッドの直航便商品にマッチ ングする必要に逆らえないかも知れない。

 

SIAとユナイテッドには提携の計画は無い

 

両社を併せれば、4地点かそれ以上の米国都市に直航便路線を提供出来るのだから、SIA-ユナイテッドの提携は意味がある筈だ。例えば、提携の筋書きの下で、SIAが第3の米国都市としてサンフランシスコの代わりにシカゴに運航する事も考えられる。シカゴは、ユナイテッドとの提携が無ければ、現実的な市場にはなれないかも知れず、一方で、ユナイテッドはシンガポール=シカゴを直航出来る機材を持って居ない。(787-9は、シンガポールからだと辛うじて西海岸までで、ロサンゼルスでさえ長すぎる。一方、A350-900ULRはシンガポールから、東部、中部の米国都市に容易に飛べるだろう。)

 

然し、SIA-ユナイテッドの提携は、まず実現しそうに無い。ユナイテッドはこれまで一度もSIAとコードシェアをした事が無いし、シンガポール=米国便の、或はそれ以遠の乗継便をカバーする、コードシェア協定を結ぶ意思も持って居ない。

 

両エアラインはともにスターアライアンスのメンバーであるが、ユナイテッド-SIAの関係は、SIAが加盟した2000年以来比較的冷ややかなものだった

 

両エアラインはともにスターアライアンスのメンバーであるが、ユナイテッド-SIAの関係は、創立メンバーであるユナイテッドの反対にも関わらず、SIAが加盟した2000年以来比較的冷ややかなものだった。

 

SIAは、ずっと米国のゲートウエイ以遠の国内線乗継便について、他の米国エアラインに頼らねばならない状態である。

 

現在、SIAは、ジェットブルー及びバージンアメリカとコードシェアをして居る。ジェットブルーはニューヨーク発の16路線でSQのコードを付して居り、バージンアメリカはロサンゼルスとサンフランシスコ発の24路線でSQのコードを付けて居る。

 

SIAはまた、まだスターアライアンスに居る頃のUSエアウエイズとコードシェアをして居た。(このUSエアウエイズとのコードシェアはアメリカン航空に買収された時に終了し、それからスターを去りワンワールドに行った。)

 

ユナイテッドにはシンガポールでの乗り継ぎを追求する計画は無い:インドには巨大な潜在力がある

 

ユナイテッドはSIAとコードシェアをする事に、これまで全く興味を持って居なかったし、常にシンガポールを最終目的地として扱って来た。理論的には、新たな直航便はシンガポール/チャンギの位置付けを東南アジア、南アジアのハブとして利用し、新しい商機を開くものだ。

 

南アジアへの乗継を探るのは、比較的容易である。何故なら、ユナイテッドの新しいシンガポール =サンフランシスコ便は、朝845分に出発するので、東南アジア乗継には概ね一方向にしか使えない。チャンギ発08:45でも乗り継げるのは、クアラルンプールなど少数の都市だ。一方、南アジア=シンガポール便は、殆どが夜行便で、シンガポールに早朝に到着するため、南アジア乗継には理想的なのだ。

 

サンフランシスコ=シンガポール便の到着は早朝なので、東南アジア、南アジアのどちらにも乗り継げる。

 

ユナイテッドのシンガポール=サンフランシスコ便スケジュール 

 

Source: Changi Airport

 

サンフランシスコ=インド間の市場に特に大きな商機がある

 

ユナイテッドは、大きなインド人社会を持つサンフランシスコから、インドの数カ所の目的地に、迅速なワンストップの商品を提供出来るのだから、サンフランシスコ=インド間の市場に特に大きな商機がある。もし仮にユナイテッドが、SIAとのコードシェアに依然として否定的だとしても、ユナイテッドはシンガポール以遠をエアインディアとコードシェアすれば良い。SIAと子会社のシルクエアは、エアインディアを除いては、シンガポール=インド間に誰よりも大規模な運航をして居る。そのエアインディアとユナイテッドはこれまでコードシェアをした事が無く、可能性としては魅力的な代替策になり得る。

 

エアインディアは現在、シンガポールからチェンナイ、デリー、そしてムンバイに毎日787-8を飛ばして居る。エアインディアのムンバイ、デリー発シンガポール行きは夜行便で、シンガポールに早朝到着し、ユナイテッドの朝のサンフランシスコ行きに短時間で乗り継げる。エアインディアは3本のシンガポール便の全てがサンフランシスコ便に両方向で乗り継げるよう、1本のスケジュールを変える可能性もあるだろう。

 

現時点では、エアインディアとの提携やシンガポール以遠の乗継については何も検討されて居ない。ユナイテッドは、新設便がシンガポール=米国の旅客で一杯になる事に自信を持って居る。シンガポール以遠の乗継については、新設便の実績に応じて後で検討されるのだろう。然し、ユナイテッドがサンフランシスコ=インド間の市場を考慮に入れる事は必然だろう。ユナイテッドは、そもそもユナイテッド-コンチネンタルの合併統合前に、コンチネンタル航空が開設した、ニューアーク発デリー、ムンバイ東行便を毎日運航し、現在、インドに飛んで居る唯一の米国エアラインである。サンフランシスコへの乗継は出来るが、乗り換え時間の合計が24時間近くかかる。新設便のシンガポール乗継は、似た様な長さだが、もう一つの選択肢を、そして、この大きな市場に、より多くの供給を提供出来、ユナイテッドにとっては米国=インド間の市場占有率を上げる事が出来る。

 

デルタは独自のシンガポール=米国直航便で対抗する必要があるかも知れない

 

ユナイテッドはUA1と言う便名をサンフランシスコ=シンガポール便に取り戻し、この新設直航路線の戦略的重要性を明示

 

伝説のユナイテッドは、また、1990年代に、ロンドン、デリー、香港、ロサンゼルス、そしてニューヨークなどに飛び、UA1として知られた世界一周便の一部としてデリーに就航した事がある。ユナイテッドはUA1と言う便名をサンフランシスコ=シンガポール便に取り戻し、この新設直航路線の戦略的重要性を明示して居る。

 

新たなUA1は、米国エアラインによる、これまでで最長の直航便で、米国エアラインがシンガポールに直航便を飛ばすのも初めてである。

 

近年では、デルタがこれも東京/成田ハブの縮小を意図して、現行のシンガポール=東京/成田に代えて、777-200LRでシンガポール=シアトル直航便開設を検討した事がある。デルタは結局、ユナイテッドとSIAの動きに、シンガポール=米国直航便で対抗せざるを得なくなる可能性がある。

 

新たな直航便と言う選択肢が、シンガポール=米国間市場に重要な進化を記し、湾岸エアラインの競争力の弱い場所を明らかにする

 

シンガポール=米国間市場は、シンガポールと米国に同時に拡大する北アジアと湾岸のエアラインに牽引されて、過去数年間に、どんどん競争が激化して居る。湾岸のエアラインは、特に、欧州エアラインも飛んで居る、シンガポール=米国東部及び中部間路線で、攻勢を強め、一方、シンガポール=米国西海岸線では、概ねアジアと米国のエアラインだけが飛んで居る。

 

エミレーツは大まかに言って、シンガポール=米国間の旅客数を過去2年間で3倍増

 

例えば、エミレーツは大まかに言って、シンガポール=米国間の旅客数を過去2年間で3倍増し、その市場占有率を201311月までの13カ月に1%弱だったものを、201511月までの13カ月では4%近くに増加させて居る。SIAのシンガポール=米国間市場占有率は、直航便の休止があり、驚くには足らない結果だが、この同じ期間に、42%から34%に落ちて居る。

 

OAGの旅客輸送量分析データに依れば、デルタとユナイテッドの占有率も過去2年間で、ユナイテッドがほぼ22%から21%、デルタが約12%から11%と僅かに落ちて居る。

 

直航便と言う選択肢を提供する事は、他に真似の出来ないセールスポイントを与え、米国エアラインとSIAが、ここ数年間で、北アジアや中東の競合他社に奪われた市場占有率を取り戻す事を可能にするだろう。

 

米国エアラインにとっては、シンガポールへの直航便は、彼らのアジア戦略が進化し続ける中で、更に東京/成田への依存度を下げ、より直航便に焦点を絞る好機を与える事になる。

嘗ては、航空機の科学技術と高い燃油価格が、シンガポール=米国直航便を困難な命題にして居た。時代は明らかに変わった。ユナイテッドの787-9によるシンガポール=サンフランシスコ直航便はシンガポール=米国間市場の新たな時代の幕開けを告げるものだ。

 

以上

 

United Airlines Asia strategy & Singapore-US market evolve with Singapore-San Francisco non-stops

 

 

 

海外事情

 

エアビーが上場を延期した「14. エアビー上場延期」。オフイスシェアの米デカコーンであるWeWorkの上場延期の直後の出来事である。918日付の日経は「事業モデルや企業統治への懸念が払拭できず、投資家からの評価が高まらなかった」と書いてある。1月には470億ドル(約5兆円)の想定時価総額を半値に落としたが投資家の懸念は払拭できなかったと言う。

 

5月に上場したカーシェアのUberの株価も何とか$40台をキープしていたが、最近では $30台前半におよそ▲25%も下がっている。3月上場のLyftの株価も冴えない。上場初値 $78は、920$4659%も値を下げた。加州ではUberの運転手のようなギグワーカーを従業員として雇用することを義務付ける法案が準備されている。この法案が施行されれば、Uberのコストは20%も増加すると言われているのだから、ここでも事業モデルそのものが懸念されてしまうことになる。エアビーの事業モデルに懸念はないのだろうか・・・。この会社は、WeWorkUberとは違って、少なくとも2017年と2018年にはEBITDA利益をちゃんと計上している。

 

5. トラベル マーケティング、ミッドファンネルへの注力必要」は、アトリビューションマーケティングが重要だと言っている。旅行流通モデルの進化と共に、新たなマーケティング手法が生まれている。そういえば、カンバセーションマーケティングも登場していたっけ。

 

8. 旅行計画 3.0」は、タビマエ → タビナカ → タビアトの全てをシムレスにカバーするソリューションが必要だと問うている。タビナカにおけるイレギュラリティー発生時には、ライブの自動旅程再予約が必要だと言っている。旅行流通モデルの進化が進んでいる。(編集人)

 

海外事情 中国特集

海外事情 中国特集

 

これは、PhocusWire Daily が今年の2月、中国正月である春節のタイミングで編集した4つの記事にまたがる中国特集である。中国市場は、その巨大な人口をバックに2019年に1,900万人が国際旅行すると予測している。その49%が中華圏の香港・マカオ・台湾行きの旅行で、残りの51%がその他の海外旅行となる。最近の香港の社会的混乱と台湾への個人観光旅行の実質的全面禁止により中国人の海外旅行比率はますます高まるだろう。海外旅行では、韓国への旅行が韓国THAAD配備による影響で減少を余儀なくされており、日本旅行が漁夫の利を得る形で大きく中国人の訪日需要を伸ばしている(1月〜8月前年同月比 13.6%増)。

 

中国は、巨大なアウトバウンドを外交上のカードに使い始めている。日本だって、日中関係が何らかの影響でこじれたりすれば、あっという間に中国人の日本旅行が減少することになるだろう。事実、日韓関係悪化で訪日韓国人需要は8月に48%減少した(1月〜8月前年同月比 9.3%減)。

 

訪日4,000万人への道のりは国際政治の問題も介在して厳しいものがある。

(編集人)

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10月15日 NEW!

 

全国一宮 第28回 「美濃一宮 南宮大社」