ユナイテッド航空、政府の補助金を失い、ドバイを去る=2016年、米国ー湾岸間市場は12%の成長

当分析は、CAPAが2015年12月28日に発表した 

 

United Airlines loses government subsidy and exits Dubai. US-Gulf market will grow 12% in 2016

 

 

をJAMRが翻訳したものです。

 

ユナイテッド航空、政府の補助金を失い、ドバイを去る2016年、米国ー湾岸間市場は12%の成長

 

28-Dec-2015

 

米国の伝統的エアラインの、湾岸エアラインに対抗する作戦は、可なりの現実主義を見せて居る。国家の補助金に支えられたエアラインの運航に対し、最も声高に反対して居たデルタは、国家が所有し、公式に補助金を出して居る中国東方に出資したし、アメリカンは論争の最中に、醜い3姉妹の中の2社、エティハドとカタール航空との提携を拡大して居る。

 

今度は、ユナイテッド航空が、政府との契約(フライアメリカ法)を、長距離部分はエミレーツの運航するジェットブルーのコードシェア便に奪われたからという理由で、ドバイ市場から撤退すると発表した。湾岸やその他のエアラインが争って来た「フライアメリカ法」とは政府の職員が出張する時は、自由市場での入札ではなく、米国の市場に根ざした航空便を使う事を求めるもので、実質的には補助金に等しい。ユナイテッドは、政府関係の仕事を得る上で、もはや、政府の贔屓/補助金を貰えないので、市場から出て行く予定だ。デルタとは違って、ユナイテッドは、ドバイは、儲かって居た、少し儲からなくなると言って居る。

 

一方で、OAGのデータによれば、2016年、湾岸のエアライン3社は、供給席数を12%増やす計画である。これは、2015年下期になされた、そして2016年早々になされる予定の供給追加を反映して22%の増加になる計画を、この年の上期に向けて前倒ししようとするものである。

湾岸の各社は2016年下期の拡大に向けて準備を進めて居るかも知れないし、或は乗り入れ権益が開放される豪州や中国への新たな商機に向けて集中するのかも知れない。

 

ユナイテッド航空はフライアメリカの「補助金」を失って、20161月ワシントン/ダレス=ドバイ線から撤退

 

ユナイテッド航空は、201512月、ワシントン/ダレス=ドバイ線から2016123日を以て撤退すると発表した。これはユナイテッドの唯一のドバイ行き路線であり、湾岸への最後の路線でもある。この撤退は、201510月、デルタが同じく2月でドバイを撤退すると言う発表に続くものである。ドバイはデルタがこれまで運航した唯一の湾岸への路線である。

 

<関連記事参照>Delta Air Lines exits Dubai as Air Canada arrives. The impact of open skies vs protectionism

 

デルタとユナイテッドは共に、所謂補助金を貰って居る湾岸のエアラインの米国への供給に被害を被っていると論じて居る。エミレーツは、まだドバイ線は儲かると予測して居るが、デルタは儲からないと言って居る。確かに、ユナイテッドは、同社のドバイ線は、「儲からない」とは言わないが、どちらかと言うと「前より儲からなくなった」と言う。

 

湾岸のエアラインによる供給が流れ込んで来ただけでなく、ユナイテッドは、ドバイへの渡航に関する米国政府の契約を、ジェットブルーに奪われた事を述べて居るが、この米国のLCCは、エミレーツとコードシェアをして居るのだ。エミレーツは毎日、ダレスにジェットブルーがコードシェアをして居る777−300ER(目下供給増の検討をして居るそうだが)で飛んで居る。これに加えて、ジェットブルーはボストン、シカゴ、ダラス、ヒューストン、ロサンゼルス、オーランド、サンフランシスコそしてシアトルからドバイへのエミレーツ便で、コードシェアをして居る。

 

湾岸のエアライン、そして他のエアラインも、如何にフライアメリカ法が米国政府職員に米国の市場に根付いた便で渡航する事を要求するかを指摘して居る。これは、商売を開けた市場で入札する代わりにであり、競争の場を歪め、実質的には補助金を与える事になるのだと、議論は展開する。この種の習わしを持つのは米国だけでは無いが、今日では先進国の間では当然の決まりと言うより、例外である。ユナイテッドの以下の声明は、この件を、撤退するのは、もはや補助金が存在しなくなったからだと説明する事になった。

 

「例え、我が社が過去7年間、ワシントン/ダレス=ドバイ線を成功裏に運航して来たとしても、エミレーツ航空(EK)や、エティハド航空(EY)の様な補助金を受けたエアラインがワシントンDC市場に参入して来る事は、アラブ首長国連邦(UAE)に対する需要と供給の不均衡を生むものである。彼らが、補助金を受けた供給を追加した事から、我が社のIAD=DXB線は以前より採算性が低下して居る。

8月になって、政府調達局(GSA)2016年のワシントン=ドバイ線の米国政府契約をEKのコードシェア相手であるジェットブルー(B6)に与えると発表した。私どもは正式に抗議したが結局通らなかった。

B6は中東には飛んで居ないし、その地域には全く存在感を持って居ない。そのコードシェア相手であるEKが、独占的にこの路線を運航し、公務で飛ぶ軍人も含め、15,000人の政府職員を運ぶ事になるだろうが、その旅費は米国の納税者が払って居るのだ。

GSAがこの路線を、中東に全く飛んで居らず、補助金を貰った外国のエアラインに頼って居る様なエアラインに与え、軍人や委託契約者を含む政府職員を運ぶ様にした事は、誠に不幸な事だ。」と制度、政策担当副社長のスティーブ・モリスは語って居る。「この決定は、米国政府が民間航空会社のサービスを直接、米国以外のエアラインから調達する事を制限する、フライ・アメリカ法の精神に抵触するものだと考える。ワシントン=ドバイ線について、ジェットブルーは単なるエミレーツの予約代理店に過ぎない。」

ユナイテッドの声明は他にも皮肉を含んで居る。ユナイテッドは、自からは、ANAからルフトハンザグループまで数多の外国社とコードシェアをして居るにも関わらず、米国のエアライン(ジェットブルー)の、外国社(エミレーツ)とのコードシェアを指弾して居る。これらの提携により、自社のコードを外国社に付けさせ、ユナイテッドは政府からの仕事を受注する恩恵を得られるのだ。従って、問題は、エアラインが外国社か地元か、では無く、ユナイテッドの提携社かそうでないかと言うこと事の様だ。

 

ユナイテッドがジェットブルーのエミレーツとのコードシェアに抗議するのは、米国政府の現実主義の証しである

 

政府職員がジェットブルーのコードシェア便であるエミレーツに乗る事についての、ユナイテッドの抗議は小さなことかも知れないが、過去2年間の米国の航空業界の変化を物語って居る。

例えばジェットブルーは、開業前に多くの人々が物にならないと決め付けたエアラインだった。ところが、基本的に顧客に優しいサービスと、旅客の体験に対するソフトタッチな手法でジェットブルーは、手強い脅威となることを証明し、デルタは、慌てて自らもLCC、ソングをスタートさせるに至った。ソングは失敗したが、デルタは、旅客に優しい対応の教訓を具体化して、現在の様な、より柔軟なエアラインになろうとし始めた。アメリカンとユナイテッドは、彼らの努力もやはり失敗したが、これに追従した。

 

そして、これに次いで、湾岸エアラインに米国への無制限な便と座席供給を許すとともに例えばジェットブルーとのコードシェアを可能にする、オープンスカイの衝撃が来た。ジェットブルーが考慮に値いする勢力であり、ルフトハンザの投資計画を惹きつけるに足ると自らを証明するやいなや、そして、今や多分、既成秩序の一員となったのだろうが、まさか今の様に広範にインターラインをし、コードシェアをするなどとは想像する事も出来なかった。

 

ジェットブルーの成功は、米国の3大エアラインが、その国際線の連携の相手を、自分たちの同盟の個々のメンバーに限って居る(エミレーツの様に、多くのエアラインが、同盟や、自分たちの共同事業の枠外で、事業運営をしているのに対して)ところで実現可能となり、LCCにコードシェアや、乗り継ぎ便となる商機を残したのだ。そうする事で、エミレーツが米国の8都市にコードシェアをして居る様に、はるかに多くの直航便、ワンストップ便を、提供できる様になるのだ。これとは対照的に、米国の大手エアラインとその提携社は、国際線を自らの主要なハブを使って乗り継がせる事を望むため、より限られた直航便しか提供出来無いのだ。

 

 

ジェットブルーの提携社予約(基本データは提供されず):2007年〜2013(表1)

Source: JetBlue

 

湾岸のエアラインも、この間に一大勢力として台頭して来ており、今やこれに中国エアラインが、主として米国エアラインが予想もしなかった、手付かずの市場から、もう一つの勢力として加わって居る。米国のエアラインは長年に亘って、中国のエアラインより強く、中国へのより多くの運輸権を求め、オープンスカイを求めて来たが、中国エアラインが急速に拡大して来て、今やその叫びは小さくなって居る。

 

米国エアラインは、ずっと、欧州、ラテンアメリカ、そして日本以外の市場の展開については、通常、国内線の運営に集中する事を好み、比較的に閉鎖的であった。デルタもほとんど777を欧州以外の都市に飛ばす事は無かったが、今やデルタの777は欧州では稀にしか見られず、より長距離の市場に飛んで居る。201512月デルタは中古の長距離/超長距離777−200ERを購入したと発表したが、これは同社が今や手付かずの商機に、より関心を強めて居る事を示唆して居る。

 

然し、全体像としては、米国の伝統的エアラインの一つが持って居た、不健全な独りよがりな過去を示して居る。

 

米国政府がオープンスカイを取り入れたのは、競争を奨励するためだったが、一方、航空大手は、従来の相互に路線を与え合う方式の方が、消費者の利益は減じたとしても、個々の企業利益を追求出来ると考えて(これは正しかった)、総じてこれに反対した。

今日の新しい環境下では、デルタは、今度は中国とのオープンスカイを望むだろう、然しこれは、中国東方と共同事業を創り、急速に拡大する供給に蓋をする事が出来るからだ。現在の連邦運輸省の方針の下では、完全な共同事業は、他社の参入に対して制限を加えない時にのみ認可されることになって居る。

 

規制緩和の一つの成果は、ジェットブルーの誕生から、LCCハイブリッド化、コードシェア、湾岸エアライン拡大まで、一連の革新である。その当時、この事を詳細に予言する事は出来なかったけれども、消費者と米国の経済は、正に連邦政府が意図した通り恩恵を得た。

 

ユナイテッドのドバイ線の搭乗率は、デルタより低い

 

デルタより5週間遅れてドバイ線撤退を発表したにも関わらず、ユナイテッドは、デルタより3週間早く市場を出て行く。搭乗率が伝える情報は限られて居り、必ずしも財務実績を伝えては居ないが、暗示して居るかも知れない。

 

デルタがドバイ線を撤退すると発表した時には、搭乗率のデータは20154月までしか無かった。今は20156月まである。こちらの方が、より幅広い展望を与えてくれるが、結論は総じて同じである。2015年最初の6カ月間、デルタのドバイ線の搭乗率は、2014年同期比2ポイント落ちて84%である。然し、これは、ユナイテッドの2015年の半年間が、前年の78%から落ちて69%に比べれば遥かに良い数字であった。それにも関わらず、ユナイテッドにとって、収益の上がる路線だと言う事は、フライ・アメリカ法の与えて呉れる便宜は、恐らく実収単価もより高く、低い搭乗率でも、より容易に維持出来る事を意味して居たのだろう。

 

ユナイテッドのドバイ線の搭乗率は、2012年、2013年とデルタより数ポイント低かったが、2014年になって、下落が始まって居る。 

 

 

デルタ航空のアトランタ=ドバイ線、ユナイテッド航空のワシントン/ダレス=ドバイ/クエート線の搭乗率:20122015(表2)

Source: CAPA - Centre for Aviation and US BTS

 

これらの低い搭乗率にも関わらず、ユナイテッドは、尚、収益が上がって居て、それが小さくなっただけだと言う。これに加えて、この低い搭乗率は、同社が、米国政府の渡航契約を失う以前から始まって居るのだ。

 

 

デルタ航空とユナイテッド航空のドバイ線搭乗率比較:20122015(表3)

Source: CAPA - Centre for Aviation and US BTS

ユナイテッドは、最近になって、搭乗率実績が上がって居るのだが、5月と6月は今年のそれ以前の月に比べ、歴史的に良い実績を上げて居る。過去の歴史を見ると、それに続く数ヶ月は搭乗率が落ちて居る。

 

 

ユナイテッド航空アトランタ=ドバイ線の搭乗率:20122015(表4)

Source: CAPA - Centre for Aviation and US BTS

 

湾岸エアラインの米国路線の供給は2016年に12%2016年上期には22%増加

 

湾岸の3エアライン、エミレーツ、エティハド、そしてカタールは、20153月から5月の間に嵐の様な新規のサービスを発表して以来、その米国路線網に、相当の供給増をすると発表して居ない。

 

<関連記事参照>

     エミレーツの米国での拡大は、ジェットブルーとアラスカ航空のハブに繋ぎ留められる=ラテンアメリカでの拡大は、パナマシティーに 23-Aug-2015

     エミレーツとカタール航空、新規米国線を発表=戦略的にとともに営業的に 14-May-2015

 

OAGデータによれば、彼等の米国への供給席数は、2016年の暦年では12%、だが2016年上期には22%伸びると予想される。OAGによれば、2013年の5,100席から、2016年には、毎日11,300席近くが米国行きに供給される。

上半期に向けてのこの流れは、2015年下期に行われた、或は2016年上期に実施される追加供給を反映して居る。結果として、2016年の下半期には2016年下期のものでは無く

、前の期に注ぎ込まれた供給が実現する事になる。(エアライン各社はOAGに対して、2016年通年の暫定スケジュールを提出して居り、2016年のデータが、存在し無い供給席数のために、低く表示される事は無い。) 

 

 

エミレーツ、エティハドそしてカタールの米国向け平均日別供給席数:20052016(5)

Source: CAPA – Centre for Aviation and OAG

 

まだ、2016年遅くに幾らかの供給追加が行われる可能性がある。然し、豪州と中国と言う戦略的に重要な市場で、航空協定が拡大されたため、2016年、湾岸エアラインは、他の長距離路線市場で手いっぱいになるかも知れない。

 

エミレーツは燃油価格の低下がたたり、ヒューストン線をA380から777300ERに小型化

 

米国=湾岸間市場での特記すべき展開の一つは、20167月、エミレーツがヒューストン線をA380から777−300ERに小型化する事である。エミレーツは2007年にヒューストン線を毎日一便で開設したが、201412月には機材をA380に大型化した。(ヒューストンは毎日2便に成って居たが、ダラス線の開設とともに、1便に戻された)

 

 

エミレーツのドバイ=ヒューストン線の月別供給席数:20132015(表6)

Source: CAPA - Centre for Aviation and US BTS

 

US BTS(米国連邦交通統計局)のデータによれば、エミレーツのヒューストン線の搭乗率は同社が機材を大型化した201411月に下がり始めて居る。大型化は落ち着くまでに数ヶ月かかる可能性もあるが、搭乗率は下がり続けて居る。他のエアライン各社は、ヒューストン経済の基幹産業である石油業界が、燃油価格の低落で業績を落として居ることから、ヒューストン線の実績が悪くなって居るのに気づいて居る。SASは全席ビジネスの便を廃止して居る。然し、ヒューストンの旅客需要は全体としては上昇を続けて居る。

 

<関連記事参照>

ヒューストン国際空港、堅実な旅客数拡大=新たに重要な長距離便を獲得 26-Sep-2015

 

 

エミレーツ、ドバイ=ヒューストン線の月別搭乗率:20132015(表7)

Source: CAPA - Centre for Aviation and US BTS

 

201411月に搭乗率が下降を開始して以来、エミレーツの月別旅客数は、777−300ERの月間合計席数に等しくなって居る。

エミレーツの小型化は、常々、ダンピングである等と批判されているにも関わらず、湾岸エアラインが合理的な判断をして居る事を示して居る。

 

展望:デルタは将来の国際線の大波を予想して居る。足枷をする時では無い

 

米国政府が、なぜ自ら示した自由化への展望を元に、政策を継続すべきかについては、多くの説得力のある理由がある。また一つ伝統的路線が、表面的には湾岸エアラインとの競争の結果、終末を迎えようとして居ても(共同事業で保護された収益性の高い欧州市場とは対照的に)、これらの理由は、未だに強く残り続ける。然し、201512月、更に強力な理由が、他でも無いデルタから紹介された。

 

同社の株主総会で、デルタのCEOリチャード・アンダーソンが繰り返し述べた重要なテーマは、彼の予測では、数年のうちに、米国の国内線が翳り始めるのに連れ、起こり得るのは、国際線旅客需要の成長に拍車がかかると言うものだった。これを背景として、アンダーソン氏は、デルタのサービス改善と国際線エアラインの持分取得の正しさを主張した。

 

<関連記事参照>

     デルタ航空のパラドックス:明白な基本理念=対するは、混乱を呼ぶ反グローバリズム7-Dec-2015

     デルタ航空、アエロメヒコの持ち株を買い増し=米墨間市場での影響力を高める23-Nov-2015

 

デルタが反湾岸エアラインのキャンペーンを主導したのは、単に米国エアラインが自らの問題を改善して、表向きの補助金と戦うのでは無く、古臭いサービスに対して戦えるようになるまで、湾岸エアラインとの競争を制限しようとする目的を持って居るからだと言われて居る。

 

もし仮に、デルタが予測する様に、これから数年間のうちに多くのチャンスが訪れるのだとすれば、今は足枷をかける時では無い。もし湾岸エアラインが米国に注ぎ込む供給が無ければ、それは米国エアラインとその提携各社によって埋め合わされるとする論理に反するものである。伝統的エアラインは、確実にもう数便は提供できると言っているけれども、湾岸エアラインが現在提供して居る、そして将来も計画している、ずらりと勢揃いしたワンストップ便に比べれば、結果はかなりの減少になるのは明らかだ。これは、また、米国向け観光需要や企業渡航需要にとっても、その選択肢を狭めるものである。

 

デルタとユナイテッドは、表向き湾岸エアラインとの競争の所為で、路線から撤退した。他にも種々の事が挙げられるだろう。然し、米国にとっての最終的な利益は、間違いなく、依然としてプラスである。競争力のある新規参入社に対して開かれた窓を狭めようとするのは、長期的に見て、遥かに強力な米国エアラインにとって、最も有害な行為なのだ。

 

以上

 

 

United Airlines loses government subsidy and exits Dubai. US-Gulf market will grow 12% in 2016

 

 

海外事情

海外事情12月9日号

 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。

 

 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)

5. (TJ) オヨ、15億ドル追加調達」と「14. スタートアップに200億ドル注入」の2つの記事から、今までOYOは累計で20億ドルほどの資金を調達し、その規模は過去10年間の世界の旅行領域スタートアップ総投資額200億ドル(約22兆円)のほとんど10%を構成していることが分かる。この多額の資金調達を支えている主要投資家には、ソフトバンクのビジョンファンドが含まれる。ソフトバンクは、最近、上場延期を余儀無くされた米WeWorkに(支援策として)50億ドルを出資することを決定した。(ビジョンファンドは、すでに累計100億ドル=約1.1兆円)をWeWorkに投資している。)出資しているUberの株価も上場時より25%も下がっている。まさかOYOWeWorkの二の舞なんてことには・・・? ビジョンファンドの主要投資先には、旅行関連では、OYO, Uberに加えライドシェアのGrab(シンガポール)と滴滴出行(中国)がある。 

 

15. トーマスクックと中小旅行会社」と「16. トーマスクック倒産の教訓:流通ミックス重要」は、トーマスクック(TCG)の倒産原因が、アイデンティティー(企業の独自性)・リダーシップチーム・市場のトレンド・テクノロジー戦略、の5つに重大な問題(瑕疵)が存在したためだと解説している。そして、近代のトラベルテックが進化した市場では、API、オープンシステム、提携(後述再掲)の方法によって、中小旅行会社と雖もTCGと変わらない在庫にアクセスすることが可能であると説いている。むしろ中小旅行会社の方が、小回りがきいて、経営環境の変化に迅速に対応し、社内のコミュニケーションにも優れていると書いている。また、大手ツアオペに送客をべったり依存するのではなくて、複数のデジタルチャネルを利用するチャネル管理が極めて重要だと教えている。 

 

10. テクノロジー・コンバージェンス」は、スタンドアローンの複数のシステムを繋げば(コンバージェンス/融合すれば)、より優れたアウトプットが生まれると言っている。恥ずかしながら、この言葉を初めて聞く者には即ピンと来ないが、その一例として記されている、Disney+ABS+Pixar+MarvelViacom+Paramount Studio+CBSM&Aによる企業の混ぜ合わせを見ると少しは理解が進む。要すれば何から何までの自前主義は(あるいは個別システムの独立させたままの寄せ集めでは)もはや通用しないので、これからはテクノロジー・コンバージェンスをよく理解して、自分に相応しいパートナーとの提携戦略(あるいは個別システムの繋ぎ合わせ)が必要だと言っていると解釈した。DisneyViacomの場合はM&Aによりそれを実現している訳であるが、M&Aだって提携の究極的な形である。トラベル・エコシステムの発展も、ここ辺りにそのレゾンデートルがあるのかもしれない。観光MaaSだって企業間提携をベースにしている。そう言えば、TCG倒産ニュースでも提携について触れている。また「1. (TJ)ブッキング、航空便予約開始」で、Booking Holdings CEOConnected Tripと言っている。コンバージェンス、コネクテッド、融合、繋ぐが重要なキーワードとなりつつあるようだ。インターネット社会のIoTが進んでいる訳だ。(編集人)