デルタ航空のスカイマークへの出資提案=あり得べき大韓航空との合弁計画に暗雲を漂わす

当分析は、CAPAが7月17日に発表した 

 

Delta Air Lines' proposed investment in Skymark clouds a possible joint venture with Korean Air


をJAMRが翻訳したものです。

デルタ航空のスカイマークへの出資提案=あり得べき大韓航空との合弁計画に暗雲を漂わす

17-Jul-2015


破綻したスカイマーク航空の将来を巡る、日本の航空業界の議論は、余り例の無いと同様に不愉快で、そして多分、最終的にはコントロールの効かない状況にある。スカイマークの最大の債権者で、航空機リース会社、イントレピッドは、ANAが支援して倒産から救い出すと言うスカイマークの選択に公然と反対して居る。ANAにはスカイマークがイントレピッドとCITからリースしたA330を使う計画が無いが、この機材は、他社は誰も望まない様な、特別に誂えた機内仕様になって居る。ANAはまた、スカイマークが発注し、そのうち2機は、既に完成し、スカイマークのもう2つの主要債権者であるエアバスとロールスロイスに対する債務となって居るA380についても、興味を持って居ない。

 

これら4社を合わせると、スカイマークの再建計画への票決に必要な過半数を遥かに超える、債務総額の96%になる。日本政府は過去数十年にも亘って、積極的に航空政策を指揮して来たが、今やコントロールを失った状態である。もう一つの難題は投資家としてのイントレピッドがスカイマークに提案して居るのがデルタ航空である事だ。デルタはこれまで、羽田空港の自由化について公然と、日本流に言えば不作法にも日本政府を非難して居るのだ。デルタにとってスカイマークは、日本での戦いに勝利する手始めになってくれるかも知れないが、アジアでの戦いには敗れるだろう。

 

デルタは、大韓航空との合弁を求めて居るが大韓はそのメリットについて納得していない。大韓航空はまた、ハブを韓国でなく日本に置くと豹変するデルタの態度に対して懐疑的であり、時に、不快感を抱いて来た。デルタのスカイマークへの肩入れは、数年前にJALを口説こうとした作戦に比べれば、その意味合いが大きいとは言え無い。然し、大韓航空との関係を改善するために役立たない事だけは確かである。

 

スカイマークの持つ羽田空港発着枠が掛かっている

 

よくある事だが、エアラインに対する資本参加の場合、エアラインの価値は、単に目に見える資産だけではない。スカイマークの主たる魅力は、日本で極めて価値の高い空港である羽田の発着枠を、国内第3位の規模で毎日36往復分保有して居ることだ。それは全体の7%で、それぞれ1/3以上を握るANAJALには遥かに及ばない第3位であるが、羽田は過密空港である。新たな発着枠が生まれるとすれば、まだ何年も先のことで、その際も、何らかの形で、現在の配分比率が 守られると思われる。


東京羽田のエアライン別国内線週間便数:2015713日〜719日  表1

 

Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG

 

他の国の、発着枠に影響された動きと違うのは、日本のエアラインは発着枠を所有せず、政府が持って居るという所だ。これはアジアの諸国にはよくある事で、英国航空/IAGbmiのヒースロー空港発着枠をほぼ全て買い取った事例の様に、他の市場の場合と違って居る。

 

外国人の所有に関する制限が、当然ながらスカイマークにも適用されるが、日本政府はまた別のエアライン所有制限(20%)を定めて居て、これを超えるとスカイマークの発着枠は政府により再配分とされかねない。資本参加するのはANAなのか、デルタなのかの議論は、どう転ぶにせよ、結局はこの少数株主の地位に収まるのだが、正式なルートでは無いとしても、結果には、かなり大きな影響力があると理解されて居る。

 

ANAはスカイマークへの提案について、「スカイマークは、運賃、路線、便数などを独自に決定する事になり、彼らの独立性は保証されて居る。」と、その利点をアピールする事に努力して来た。これは書類上では本当だろう、然し、ANAの他の潰れかけた日本のエアラインへの資本参加を見ると、ANAの優しい影響力は、最小限に見積もっても、経営陣への出向や、偶然とは思えない路線便数変更などを通じて窺い知れる:即ちANAの提携相手が、A路線で供給を減らし、B路線に増強するとこれを追いかけて、ANAA路線に供給を増やし、B路線を削るという類のものだ。

 

ANAJALの独占体制を打開するために、政府の支援を受けた日本の新規参入エアラインが、結局通常のエアラインとして上手く行かないというケースで、この様な取っ組み合いの騒ぎが起こるのは初めての事だ。通常の場合は、そのエアラインは種々の規模で、現存のエアライン、主としてANAの支援を受けるのだ。


スカイマークのA330A380は孤児である

 

外国勢の参入の可能性があるとすると、その理由はスカイマークの債権者たちが望む解決策をANAが提供したがらないからだ。ライバルのJALANAに対抗する為には、羽田での立場を改善できる、スカイマーク支援をする事を、願ってもないチャンスだと考えて居るだろう。ANAの羽田発着枠の保有数は、同社が出資した小さなエアラインの発着枠が実質的には利用できる事から、これを含めると更に膨れ上がるのだ。然し、JALはスカイマークに出資出来ない。何故なら、2010年のJAL再生には、新規投資などをしないと言う条件が付いて来たからだ。JALは直ぐに此れに反応し、スカイマークに投資する事は無いと公式に声明した。非公式には、スカイマークの件は何と大きなチャンスだろうと、ため息を付いて居るだろう。

 

スカイマークの債権者達は、同社の、全て新品で客室仕様をオーダーメードした広胴機を含む、比較的に急速な保有機数の拡大が原因となって存在するのである。過去の新規参入社は、これと違って、機材と言う資産は余り持って居なかった。機材は皆、古いものか、狭胴機で必要とあらば他社が使える、通常の客室仕様のものばかりだった。

 

CAPAが既に述べた様に、スカイマークの債権者に対する借金の源泉であるA330A380の問題は、特異な状況にある。2機のA380は、組み立てられて居り、客室装備は未了でも、スカイマークのA380の場合、別の新たな客室仕様を装備する為には、構造部分を改修しなくてはならないものと思われる。そして、勿論、A380自体が特異な航空機で、使用しているエアラインは数社である。

A380と違って、A330は遥かに普通の機材で、比較的高い需要を持って居る。スカイマークの機材は、機齢は最長で18カ月である。然し、スカイマークは、この機材に、他社は誰も欲しがらなかった全席プレミアム・エコノミーと言う、問題の仕様を施したのである。多くのエアラインが、このA330の仕様改修には、法外な費用がかかると見て居る。

 

スカイマークの機材を巡って、ANAと債権者達との主導権争い


日本の投資ファンドである、インテグラルは、スカイマークの再生を主導して居る。インテグラルがANAをスカイマークの支援者として発表した時点で、ANAとイントレピッドの間では、ANAがスカイマークのA330を引き取る事で、スカイマークへの関与に乗り出す事にイントレピッドの賛同を得ると言う話がなされて居た。CITの関与については定かでなく、ANAA380への興味についても不明である。ANAは公式には、スカイマークへの支援とA330を引き取る事には何ら関係が無いとして居るが、その意味合いは明らかである。

 

スカイマークの債権者:20157月 表2

Source: CAPA - Centre for Aviation

 

ANAとイントレピッドの間の交渉の決裂とともに、イントレピッドは、機材の持って行きどころの解決策を提供して呉れそうな、スカイマークの新たなスポンサーを探さざるを得なくなった様だ。イントレピッドは、スカイマーク救済にはANAが最善の策と言う立場を守るインテグラルの意向に反して、これを行った訳だ。

イントレピッドは、日本の航空界では馴染みの「第3極」「第3の矢」と言う言葉を使って、スカイマークの独立、そして航空界に於ける第3極を守る為にはANAよりもデルタの支援の方が良いと言うカードを切ったのだ。

 

<関連記事参照>

 

     スカイマーク航空、デルタの標的になるか=エアバスとイントレピッドがANA主導の再建案に反対 8-Jun-2015

     ANA、スカイマーク航空の20%を取得=独立性の喪失、或いは関心はLCCに移るので無関係か? 27-Apr-2015

スカイマークの他の3つの債権者達は、表向きは完全に沈黙を守って居る。彼等が、どの様にイントレピッドと関わって居るのか正確には不明である。これは、多分、公の発言については、概して寡黙なロールスロイスの典型的な態度で、例えば、カンタスQF32便のA380でトレント900エンジンが、抑制不能の不具合に陥った時もそうだった。

エアバスもまた、その日本に於ける立場と、A380のプロジェクトに関わる為に、スカイマークの状況には敏感になって居る。スカイマークとのA330A380の取引はエアバスにとって、ボーイングに牛耳られて居る日本で、初の突破口となるはずだった。JALA350購入は有るものの、スカイマークとエアバス広胴機の急速な転落は、象徴的で、かなりの失態である。一方で、エアバスは、A380プログラムに極端に神経質になって居て、この飛行機が、倒産するエアラインと一緒にされて知れ渡る事は避けたいところだ。CAPAが、既に報じた様に、スカイマークのより大きな問題は、国内線でA330によって引き起こされた供給過剰で、これにA380の問題が加わった複合的なものだ。然し、殆どのニュース報道は、単にA380としか報じない。


デルタにとってのスカイマークの価値、そして必要な取引は不明


デルタが、イントレピッドにスポンサーとして自社名を出させるに当たって、一体、何を提示したのかは定かでない。イントレピッドは殆どのエアラインに探りを入れたと考えられて居るが、拡大主義のHNAグループが興味を示したと報じられる一方、日経はイントレピッドがカンタスにアプローチしたと伝えて居る。

 

イントレピッドは、デルタが直接スカイマークのA330を引き取る事はないと言って居る。また、イントレピッドは、デルタが支援する自社案が受け容れられた場合は、債権と主張する1,150億円(92,700万ドル)の内、300億円(24,200万ドル)を自ら取り下げると言って居る。イントレピッドはこれにより、少なくとも15億円(1,210万ドル)を債権者への返済に回す事が出来、返済率が5.0%から5.5%に上がると考えて居る。イントレピッドの前の案による低い返済率は、ANAとインテグラルから批判されて居たのだ。

 

然し、デルタは、何か別の方法で、A330の債権者であるイントレピッドとCITを救済する事が出来るだろう。イントレピッドには、デルタを支持するだけでなく、24,200万ドルの債権を取り下げる事を相殺するだけの、利点が無くてはならない。エアバスのA380の方は、更に扱いが難しい。デルタが、A380を引き取るのは、過去にA380に反対した歴史があり、同社のあらゆる戦略方針に大きく逆行する事になる。CAPAが、既に以下の様に引用して居る様に:

 

CEOのリチャード・アンダーソンは、「A380は、分類すれば非経済的な飛行機だ。エンジンが4発ある?我々は最早4発エンジンのエアラインでは無い。我々は2発エンジンのエアラインである。我々もジェットエンジンの科学技術が進んで居なかった頃、4発機を持って居た。今や、ジェットエンジンは驚異の進歩を遂げた、驚異の機械であり、2発あれば充分なのである。」と言って居る。

アンダーソン氏はまた、A380の利点として、需要の高い路線で、集中した供給を提供できるというが、市場はA380の大量供給の概念を否定し、便数の多さを求めて居ると思うと論じて居る。「消費者として、毎日一定時刻に8便あるのと、毎日、2つの時間帯に2便だけあって、4つの便をまとめて1機のA380に詰め込まれるのとどちらが良いと思う?これは消費者が望む所では無い。」デルタはまた、大西洋横断路線での合弁事業の中で、エアフランスのA380投入の影響について、否定的なコメントをして居り、株式を保有して居るバージン・アトランティックがA380を発注した時も気乗りしない様子だった。


債権者達は201585日の非公開の会議で、

ANAかイントレピッドの案のどちらかを選択する事になる


デルタが、A380を引き取らない可能性が極めて高い一方で、デルタが、エアバスと(そしてロールスロイスと)、別の解決策を講じる可能性も排除できない。イントレピッドは、同社のデルタ案が、認可されるためには、大型債権者が、後一つ賛同して呉れれば良いのだ。債権者達は201585日の非公開の会議で、ANAかイントレピッドの案のどちらかを選択する事になる。

 

デルタにとっては、スカイマークは、チャンスを与えて呉れるが、それが、最終的な救世主になってくれる様な取引では無い。デルタは、米国の3大エアライン中でただ一つ、アジアへの合弁事業の相手を持って居ない。アメリカンも、ユナイテッドもそれぞれ、JALANAと言う日本のエアラインを提携相手に持って居る。この提携関係が、日本と米国間の大きな市場をカバーし、更に、その先の乗継便(航空当局が許す限りー中国は懸案となって居る)への手助けをして呉れる。


デルタは、スカイマークの国内線の権益に近づく途を手に入れるだろう。然し、これにも幾つか資格要件がある。現行の規定では、スカイマークは、羽田の国内線発着枠をデルタの国際線、国内線カボタージュなど、如何なる便にも転用出来ない。前者は、とても魅力的だが、後者はそうでも無い。デルタは、長期的展望に立って居て、将来の提携相手の乗継便をより有効に活用できる様に、スカイマークは、より良い発着枠を確保し、デルタは羽田により便利な多くの便を運航すると考えて居るのだろう。東京では、デルタは、一便を除いて全便が成田発着(間も無く運休となる、シアトル=羽田線を除く)だが、一方、スカイマークが飛んで居るのは、羽田だけである。両空港が離れて居る事で、時間(バスで1時間かそれ以上かかる)と、荷物の問題(預託手荷物を引き取り、別の空港に運び、また預ける)から、乗継を概して非現実的なものにして居る。にも関わらず、羽田=成田の乗継は不可能では無く、現に他のエアラインで既に発生して居る。


デルタの残存して居る羽田便は深夜の到着で、双方向の乗継を難しくして居る。現在、米国エアラインに割り当てられる羽田=米国間の昼間帯発着枠が2枠ある(これは、双方向の乗継などを可能にし、深夜帯よりずっと価値がある)が、2枠とも、デルタが手に入れる可能性は無さそうだ。

 

デルタ航空の、米国=東京線の概要:2015713日の1週間

Tokyo Airport

東京の空港

US Airport

米国の空港

Frequency

週間便数

Seats

供給席数

Haneda

Seattle

7

1,477

Haneda

Los Angeles

7

1,456

Narita

Minneapolis/St Paul

7

2,037

Narita

New York

7

2,037

Narita

Atlanta

7

2,037

Narita

Detroit

7

2,632

Narita

Honolulu

14

4,214

Narita

Los Angeles

7

2,037

Narita

Portland

7

1,582

Narita

Seattle

7

2,037

Sub-totals

-

-

-

Haneda

2 gateways

14

2,933

Narita

8 gateways

63

18,613

Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG

 

デルタは、東京以外にも日本国内の地点に飛んで居る。20157月現在、週5便のホノルル=福岡、毎日1便のホノルル=大阪線、それに、デトロイトとホノルルからそれぞれ週5便の名古屋便がある。スカイマークは福岡、名古屋からは限られては居るが乗継が出来る。然し、大阪・関西からはスカイマークは関西に乗り入れて居ない為に、全く乗継が出来ない。


デルタは、日本からバンコク、マニラ、上海・浦東、シンガポールそして台北へ第5の自由の輸送権を持って居る。日本から、デルタは、レジャー市場のグアム、パラオ、サイパンに飛んで居る。

デルタは常顧客プログラムやITシステム更新でスカイマークを助ける


出資しなくてもデルタはスカイマークとより緊密に協力出来た筈だ。だが、ANAがスカイマークに出資する見込みであり、デルタも自ら出資しない限り、デルタは事実上排除される事になる。


デルタとスカイマークは、兼ねてから、限定的ながら、デルタの日本を拠点とするFFPでスカイマークの搭乗実績をデルタのマイルに加算出来る、と言う提携をして居る。これは、米国外では最大の規模となる、デルタの日本人常顧客の国内旅行に対する解決策だった。スカイマークの倒産前に、CAPAはスカイマークが提携相手を見つけ、例えば常顧客プログラムを使って、ANAJALから顧客を惹き寄せると言った、より大きな適合性を身に着ける為の変化の必要があると見て居た。スカイマークのITシステムはインターライニングですら処理出来ないのだった。

デルタのスカイマーク再生計画についての、極めて限られたコメントでは、同社はスカイマークの常顧客プログラムを創り、ITシステムを改善すると言って居る。デルタはまた、自らの経験がスカイマークの収入管理システム(日本の国内線市場の収入管理は、洗練度から言えば比較的水準が低い事から、基本的に低いレベルである)を改善する手助けが出来ると考えて居る。


デルタは日本の権力の回廊の中では、ずっと不人気な会社である


あからさまに、攻撃的に航空政策について非難するのは、よその市場の幾つかでは当然の事だが、日本では違う。デルタは2013年、日本で記者会見を開き、嘗て同社が(合併相手のノースウエストを通じて)1976年の羽田から成田への移転の時まで持って居た羽田の発着枠を、日本政府がデルタに返還する様に求めたが、それは、25の昼間帯発着枠で、誰が考えても完全に無理な数字だった。公然と一つの発着枠を求めてロビー活動をしただけで、眉をつり上げられる様な状況なのに、威丈高に2ダースを求めた事は、誰も忘れられない事態だった。日本政府は、2014年、世界各国に対し、国際線で42の昼間帯発着枠を配分した。此処にたった一つの市場に運航し、一社でその全体の半数以上を求めるエアラインがあったのだ。


<
関連記事参照>

デルタ航空、羽田に基地移転を希望=提携の相手としてスカイマークが候補か?2-Aug-2013

 

デルタは20156月、航空当局への書面に、米国エアライン間の絶え間ない諍いの元になって居る、シアトル=東京・羽田線の輸送権を返上すると書いた事から、再び日本政府の神経を逆撫でした。寧ろ、その大河ドラマに残された栄光を示す代わりに、デルタは、長きに亘り確立され、そして受け入れられて来た東京・羽田での方針を、この機会を捉えて悲憤慷慨して見せたのだ。:

 

デルタは、日本政府が、同空港を通常のオープンスカイの条件で開放し、デルタが

希望する空港に対して東京ハブの運用をする事に同意しない限り、またする様にな

るまで、羽田空港の運用規則に対する如何なる変更を加える事についても、引き続

き強く反対する。それ以前に発効する如何なる追加的な、或いは段階的な取り決め

も、成田ハブのエアラインであるデルタにとって、有害で不公正な事態である。

従って、デルタは、合衆国政府に対し、米国エアラインとその顧客に対して、公正

で、公平なアクセスを実現する、羽田の完全なる開放を積極的に追求する事を要求

する

 

事の良し悪しは別にして、これは、日本政府の肯定的な反応を期待出来ない様にする、最高に間違い無い方法だろう。


デルタは大韓航空を口説こうとする一方で、スカイマークとふしだらに戯れて居る


デルタは、大韓航空との太平洋横断の合弁を求めて居り、事実上、大韓航空に取引を強要する様な、重大な競争的手法を使って居る。デルタの問題は、大韓航空の最上部の経営者が、デルタを必要な提携相手であると納得して居ない事だ。
大韓航空の内部のある者は、デルタとの合弁を歓迎して居るが、社内の支配的な見方は大韓航空は、太平洋路線で規模が大きく、以遠の地点も数多く持って居る事から、より良い商品を提供可能で、結局、デルタと分け合う必要はないと言う事の様だ。

北米から北東・東南アジア(週間供給席数、片道ベース):2011919日〜20151227日(大韓航空は青い線) 表3

Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG

 

デルタがこれらの点を認めるかどうかは別として、もしデルタが大韓航空を獲得したいのなら、そのアジア戦略の将来は、大韓航空と、ソウルと共にあると言った、魅力的な攻勢でなければならないだろう。大韓航空は、デルタがJALを提携相手にしようと口説くのに失敗して、ワンワールド加盟エアラインと協力する代わりにスカイチームに加盟した(最終的な結果として)事を今でも覚えて居る。当時、デルタはすぐそばの韓国に居るスカイチームの盟友の利害を無視して居る様に見えた。


<関連記事参照>大韓航空 第2部:デルタ航空、困難だが合弁の可能性=米国、ラテンアメリカへの拡大を一旦休止 18-May-2015 1:26 PM



ソウル・仁川空港は、公式に、デルタがアジアのハブをソウルに移転する事を支援すると表明して居る。デルタはまだこの取引に合意して居ないものの、慎重に、この可能性を排除し無かった。だが、今やデルタがスカイマークに興味を示した事は、スカイマークは太平洋横断や他のアジアの地点に飛んで居ないとしても、ボートを揺さぶる事になり兼ねない。
大韓航空とスカイマークの重複部分は小さい;大韓航空はスカイマークの(より小さな)路線網の代わりに、仁川経由でデルタの日本国内他地点への接続を助ける事が出来る。大韓航空は、何故、これまでスカイマークに関する計画について沈黙して居るのか、より広範なアジアに対する意味合いはどうなのかについて説明できた筈なのに、デルタの関与の本気度がまだ低いと感じて居るのだろう。

デルタとスカイマークの提携と、デルタと大韓航空の組み合わせは、補完的なものになり得る。もし、大韓航空とデルタが取引を成立させ得たとすると、大韓航空は間違いなく、デルタに本気で関与し、日本人旅客を仁川経由のルートに流すよう求めるだろう。中期的には、デルタ=スカイマークの路線網のシナジー効果は極めて限られたものになると思われる。大韓航空に対する競争上の脅威は小さいだろう。
デルタのスカイマークに対する興味はそれ自身では、多分大韓航空の懸念する事では無いだろう。然し、デルタと大韓航空の関係の、より大きな脈絡の中では、デルタがスカイマークに興味を抱く事はプラスにはならない。


大韓航空は計画案Bを纏めて居る:デルタ抜きで北米全体の提携関係を構築

大韓航空は、一方で、北米エアライン各社と提携関係を形成して居る。長期的にはこの事が、デルタ抜きでも以遠地点へのゲートウエイを確保する方法があると示す事により、デルタに対する交渉力を得る事になる。最悪のシナリオでは、もしデルタとの交渉が破談に陥った場合、これを計画案Bとすると、短期的には、提携は、主として、非同盟エアラインである、アラスカ航空、ジェットブルー、そしてウエストジェットがデルタとの破談で残された穴を埋めるのに役立つだろう。


以遠地点のゲートウエイは、他のアジアのエアラインに比べ、すでに北米に13もの地点を持って居る大韓航空には重要度は低いだろう


以遠地点のゲートウエイは、他のアジアのエアラインに比べ、すでに北米に13もの地点を持って居る大韓航空には重要度は低いだろう:以遠地点への旅客数は少ないが、馬鹿に成らない量である。

大韓航空にとっての問題の一つは、歴史的に見ても、デルタはこれまで、多くの大韓航空の飛ぶ市場に於いて、大きな存在感を持たない事であり、これは最善の乗継エアライン選択肢で無い事を意味する。

 

大韓航空の北米ゲートウエイとそこでのデルタ航空の国内線供給席数占有率:2015713日〜719

Korean Air gateway

大韓航空

ゲートウエイ

 

 

Weekly flights

週間便数

 

 

 

Delta share of domestic seat capacity

デルタ航空

国内線供給席数占有率

Atlanta

7

79%

Chicago

7

5%

Dallas/Fort Worth

5

5%

Honolulu

7

8%

Houston

7

5%

Las Vegas

4

10%

Los Angeles

17

20%

New York JFK

14

36%

San Francisco

7

9%

Seattle

7

19%

Toronto

5

N/A

Vancouver

7

N/A

Washington Dulles

7

6%

 Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG

 

大韓航空とアメリカン航空は2015年早くに、大韓航空がアメリカンのダラス=ソウル・仁川線で、コードシェアをする提携契約に合意した。大韓航空も、この路線を飛んで居るが、デイリーでは無かった。これが、唯一の太平洋横断路線網の、そして一方通行のコードシェアである:大韓航空はアメリカンの便に便名を着けるが、アメリカンは大韓航空の便に便名を着けない。(その代わりアメリカンは、ソウルでの有利なインターライン接続を得る)

 

展望:スカイマークが表舞台に登場し、慎重な考察が必要な時である。勝者は居るのだろうか?


スカイマークの状況は複雑で、明らかな勝者は存在しない。

一般消費者さえ、利を得るとは言えないかも知れない:何故ならスカイマークがANAと提携する事は、実質的な競争状態を弱める可能性がある。また、スカイマークの独立性は排除されようとして居る様に見える。スカイマークの羽田発着枠を日本の新しいLCC間にばら撒けば、本格的な競争が齎されるかも知れないが、これは余りにも過激な動きだろう。然し、これはピーチが羽田から国際線の夜間便を開始した様に、将来、間違いなく待ち構えて居る事態であり、昼間便の運航と国内線の発着枠問題は時間と共に自然に進化するものだろう。


日本政府は、過去に外国資本によるエアラインの所有を認めて居るが、微妙な性格の羽田空港に本拠地を持たないLCCだけに限られる。

 

デルタからの経営参加は、エアアジアの様なより近隣国のエアラインからに比べて脅威は小さいと見られて居るかも知れないが、国家主義者から見れば、理想的な事態では無い。外国企業がスカイマークの債権の96%を握って居る時に、日本政府がこの結論に、どの位、影響を与えるのかは定かで無い。もし、イントレピッドのデルタ案が好評だとすると、日本政府は、スカイマークの機材を再評価するように、ANAを説得する必要があるかも知れ無い。ANAは、政府からふんだんに援助を受けて居り(受け過ぎだと、JALは言うだろう)、日本政府は、ANAが、スカイマークを日本人の管理下に残す為に譲歩して、お返しをする時だと考えるかも知れない。


デルタは、スカイマークとの結論がどうなるにせよ、単に興味があると表明した事から、交渉に納得して居ない、そして多分怒っている大韓航空を丁寧に取り扱って、なだめる必要が生ずるだろう。然し、デルタは、タフで、好戦的とさえ言える交渉相手として、より知られて居る。


一方でスカイマークの債権者達は、現在の財政的利害と将来の売り上げ可能性とを、秤にかける必要がある。日本政府は長年に渡って日本のエアラインに対して、ある特定の航空機メーカーを選ぶように促してきた;JALA350を発注したのは、政府がANAを支援するのでその仕返しの造反であると見られて居る。今回の一件に関しては、多くの事が語られないままになって居るために、考えられる解決策や、関係者達がどの位激しく戦うのかについて示唆する事は困難である。この物語にはまだまだ書き終わらない章が幾つもあるのだ。

                                     以上

 

Delta Air Lines' proposed investment in Skymark clouds a possible joint venture with Korean Air

海外事情

毎日、外国の旅行流通ニュースを読んでいると、トラベルテックの急速な変化 に驚かせられると同時に、それが達成する能力や機能のレベルの高さにワクワ クする高揚感を禁じ得ない。 OTA の市場における勢力が勢いを増し始めた 2010 年頃に、伝統的オフライン の旅行会社は無くなってしまうと喧伝されたが、それから20 年近くたった今で もそうなっていない。TTA のヒューマンタッチのサービスは、オンライン専業 のOTA には真似られないというのがその理由だ。しかし近のトラベルテック の凄まじい進化と発展を見ると、この理由は根拠を失いつつあるようだ。旅行 ではパーソナルなエクスペリエンスを提供できた者が勝利者となる。AI(人工 知能)を駆使してビッグデータを分析すれば、パーソナルなエクスペリエンス の提供が可能なると想像するのは間違いではないかもしれない。 すでに、「もの」の世界で Amazon がこれを実現して大きな成功を収めている。 「こと」の世界でも同じようなことが起きるだろう。事実、旅行者のポケット に収まる24/7のパーソナルアシスタントが実用化し始めている。こんなことを、 「12. ホスピタリティー教祖Dave Berks とのQ&A」を読んで考えた。(編集人)