スカイマーク航空、デルタの標的になるか=エアバスとイントレピッドがANA主導の再建案に反対

当分析は、CAPAが6月8日に発表した 

 

Skymark Airlines could be a Delta target as Airbus & Intrepid oppose an ANA-led restructure


 

をJAMRが翻訳したものです。

ANAが、日本で第3位の航空会社で経営危機に陥ったスカイマークを再々生する支援者に選ばれた日は、日本にとって、とても名誉ある日とは言えなかった。スカイマークをANAの傘下に入れると言う事は、日本政府が何年もの間、多分余り気のりしないまま防ごうとして来た努力が無に帰して、航空輸送業界がANA-JALの複占に逆戻りしてしまう事を意味するのだ。

 

今や、日本政府好みの政治的判断に挑戦して、外国勢が状況を逆転させるかも知れない。エアバスと債権者イントレピッドは、スカイマークの負債の過半を代表するのだが、彼らに、スカイマーク再建計画に相当な重みを持って居るとして、東京の裁判所が、政治的圧力がかかる事は疑うべくも無いが、日本人以外の手に空域を与えるのか。議論の中心には、スカイマークには不要となったが、カストマイズされて居て、他社が受け入れるのはなかなか難しい、A330A380がある。エアバスとイントレピッドはANAがこの航空機について、満足の行く解決策を提示して呉れると期待して居た様だが、全く無かった。

 

エアバスとイントレピッドは、それならスカイマークは、A330/A380の問題を解決して呉れる、他のエアラインの助けを借りて再建する方が良いと考えるだろう。スカイマークは、世界の殆どのエアラインから、物色されて居る。中国のHNAは、条件を提示したし、デルタは候補になる可能性ありだが、日本の解決策がまだ無い。もし、日本が、提携相手として外国エアラインを受け入れられれば、ANAから独立したスカイマークは、国益にかなう筈だ。

 

不要となったA330A380が、エアバスとイントレピッドの反対の中心に

 

スカイマークは、もう何年もの間、成績不振なエアラインが、ついに利益を上げた(下のグラフ参照)、静かな成功談であった。過大な拡大を始め、核となる事業を見失ってしまい、その転落は急激だった。この動きは、メディアによって、国内線専門会社から長距離路線に全席プレミアムのA380を飛ばすまでに、巨大な事業の変身をさせようとしたスカイマークの潰えた望みとして描かれて居る。然し、CAPAが既に報じた様に、A380はスカイマークの問題のほんの一部であり、飛行機自体は必ずしも、スカイマークの倒産に繋がった訳では無いのだ。

 

スカイマークはそれ以前に、嘗ては利益を出して居た国内市場を赤字にする、余りにも攻撃的な拡大政策を開始した。現在の事業だけで無く、将来の計画に対しても問題であった。即ちスカイマークはA380購入の対価を、借金をして払うのでは無く、事業の利益で払おうとしたのだ。過剰な拡大に加えて、スカイマークは日本の市場の変化の真っ只中に捕まってしまったのだ。

 

他の新しいLCC達、ピーチ、ジェットスタージャパンがやった様に、新たな成長を、刺激して生み出すほど、同社は十分に低コスト(低価格)ではなかった。また、市場の対象を上げて、法人需要や、提携相手を探して居る外国社と商機をつかもうとする事もしなかった。スカイマークは、常顧客プログラムも持たなかったし、インターライニングさえ取扱えず、つい最近まで変動チケットも無かった。スカイマークは、風変わりな、CEOで部分所有者でもある西久保慎一のトップダウンで経営されて居たが、彼は経営破綻の届け出と同時に会社を去った。

 

  

スカイマークの営業利益(損失)(日本円)と営業利益率:2007年~2014年上期 ①

Source: CAPA - Centre for Aviation and company

 

西久保氏の居ないエアラインと言うのは、これまで従業員達の想像出来ないシナリオだった。スカイマークは自らを変えて、新たな商機をつかむ好機を迎えて居るのだが、内部の反対にも関わらず、強引にA330A380の導入を進めた、西久保氏の遺産がそれを阻んで居る。エアバスは2014年、スカイマークが対価を支払えない事が明らかになり、2機がもし他社に振り向けられるとしたら、恐らく取り払わねばならない、高価な客室装備を施すべき時期に来た段階で、A380の契約を取り消した。スカイマークはエアバスに、A380の契約全体に関し負い目があるが、A380を最高に問題ある状況までにしたのは両社である。今、その2機はツールーズに保管されて居て、そのうちの1機はスカイマークの機体塗装が施されて居る。

 

20151月の経営破綻届出の数日後、スカイマークは、保有する6機のA330を地上に降ろした。後で述べる通り、一連の誤った決断により、A330が供給過剰を生み出す事になったのだ。20151月、スカイマークは6機のA330を持ち、そのうち5機がイントレピッドから、1機はCITからのリースである。更に追加のA330は生産の各種の段階にあった。

 

ANAA330A380の解決策を提示しない事が、別の再生計画への道を開いた

 

エアバスとイントレピッドはスカイマークに対し、併せて3,200億円(26億米ドル)を超える債権を持って居る。東京地方裁判所に再生計画を提示する期限は2015529日だった。数日前にエアバスとイントレピッドはスカイマークに提出期限の延期を頼んだのだが、スカイマークは予定通り提出すると回答した。イントレピッドも、内容は不明だが、独自の計画案を提出した。スカイマークによると、20157月〜8月に債権者会議が開催されるだろうとの事だ。

 

20154月、スカイマークは再建の支援者として株式の19.9%(後に16.6%に減少)を取得するANAが選ばれたと発表した。その取引が成立した時点では、エアバスとイントレピッドはANAがスカイマークのA380A330の解決策を提示してくれると考えて居たらしい。この解決策の中にはANAA330を、自社傘下の2社のLCCに使わせる目的で引き取るという案も含まれて居た。これまでの全過程の詳細や、それぞれの動機などは明らかにされて居ない。

 

ANAホールディングスの長峯豊之上席執行役員は、スカイマークが発注したA380の機材を引き取る事について、エアバスと交渉した事実を否定して居る。彼はスカイマークのA330についても「確かに、イントレピッドと話したのは事実だが、何か拘束する様な約束をした事は無い。」と語って居る。長峯氏は、エアバスとスカイマークのA380の契約について、「我々は、スカイマークの支援者になったからと言うだけで、新たに機材を調達する予定は無い。エアバスとは長い友好的な関係を享受できると考えているし、これは将来も続くだろう。彼らとの交渉の中で、スカイマークの手助けをするつもりだ。」と言って居る。

 

ANAはスカイマークの無用な航空機と言う重荷を処理したいだろう。ここが、どんな民間資本も他の投資家も、立ち向かわねばならない、取引の最重要部分である。

 

ANAは、スカイマークとの利害関係は薄いが、これから大きな利益を得る可能性が有り、スカイマークのお荷物である、不要になった航空機は、ANAが始末してくれるものと思われて居た。ここが、どんな民間資本も他の投資家も、立ち向かわねばならない取引の最重要部分である。

ANAと民間投資ファンドのインテグラルに加え、スカイマークの再建は、日本開発銀行(DBJ)と三井住友銀行(SMBC)が半分ずつ出資して作った投資ファンドである、UDSエアライン投資事業有限組合も支援者になって居る。このファンドは、スカイマークを支援し、DBJと子会社DBJ企業メザニン組合が管理する。

 

<関連記事参照>ANA、スカイマーク航空の20%を取得=独立性の喪失、或いは関心はLCCに移るので無関係か?27-Apr-2015 2:00 PM

 

エアバスとイントレピッドには、債務の返済を保証する、効果的な再生が必要

 

ANAが飛行機に興味なしとなると、エアバスとイントレピッドは、彼らの債権、A380A330が、返済され無いと言うシナリオに直面する。そして、この悩ましい航空機の解決策を提示してくれる、別のパートナー・エアラインとの、もう一つの再生計画の可能性が浮かび上がって来る。エアバスは、「もしスカイマークが、(ANAの支援を含む)計画を提出するとしたら、エアバスを含む大口債権者の支持を得られないと言う、可なり重大な、そして現実的なリスクが有る。」とコメントして居る。A380はニッチな飛行機であり、このために、スカイマークの機材を処分するのが難しいのだ。更に、ワイアリング、配管など、スカイマークの計画した内装が施されて居ると言う、構造的要素の問題がある。座席は装着されて居ないとしても、スカイマークのA380を、別のエアラインに当てがうと言う事は、スカイマークの基本仕様を使うか、飛行機を新たな仕様に変更する、高価な作業を行わねばならない事を意味する。どちらのシナリオも、理想的なものでは無い。

 

内装の変更で費用がかかると言う事は、エアライン各社はこのA380なら可なりの割引が得られると期待するだろう。業界では、IAGが、既にA380を飛ばして居る英国航空に使わせる為に、スカイマークのA380に注目して居ると言う推測がある。20154月、IAGのウィリーウォルシュは「私はずっと中古のA380が何機か出てくるだろうという話に興味を持って居る。我々の為になる事なら、いつでも聞く用意がある。然し、それは何年か先の話になると思うので、 エアバスがA380を何機か、只で呉れると言うなら、喜んで頂くよと言ってある。」とコメントして居る。 

 

 

問題は、スカイマークのA330は独特で、全席プレミアムエコノミー仕様で、機内エンターテインメントが無い事だ

 

A330は、機材プログラムとしては、より一般的で、高い需要の飛行機である。問題はスカイマークのA330が、独特で、全席プレミアムエコノミー仕様、機内エンターテインメントが無い事だ。幾つものエアラインが当初、このA330に興味を示したが、全席プレミアムエコノミーの仕様は誰も欲しがらなかった。スカイマークは、この手の客室仕様を選んだ最初のエアラインで、内装をもっと一般的なビジネス/エコノミーの仕様に変更するには費用がかかり、とてもイントレピッドが求めるリースの条件では見合わないのだ。

 

エアバスとANAの関係は悪化したかも知れないが、ANAは主にボーイングを運航する会社だ

 

エアバスにとって、スカイマークの状況は、短期的に多くの問題が有るが、更により長期的にも、大会社であるANAから遠ざけられるかも知れないと言う問題がある。

 

エアバスは長いこと、日本の市場で、ボーイングの牙城を切り崩そうと努力を重ねて来た。狭胴機の売り込みについては、大きな勝利は見られない。JALA350を購入する事は確かな努力の成果だったが、スカイマークの結末としてANAが、A330A380を面倒見られるかの議論がどうなるにしても、エアバスとANAの関係は傷付いた。スカイマークの状況が悪化した為、エアバスは公式なコメントは控え、外交術を駆使しようと試みた。日頃から経済性が疑問視されて居るA380にとっては、微妙な問題なのである。A380がエアラインを倒産させた、と結びつけるシナリオを、エアバスが望まないのには、明白な理由があったのだ。然し、今やANAとスカイマークに、エアバスの堪忍袋の緒は切れてしまった。外交にも改調するポイントがあり、今や命題は如何にコストを回収するかだ。エアバスがスカイマークのA380を慎重に割り振ろうとするだろう、と見る向きもある。即ち、エアバスは大々的な割引セールをするよりも、どこか、しっかりしたエアラインにこの機材を使って貰いたいのだ。このA380が後になって、またトラブルを起こしかねない、別の弱いエアラインの手に渡って、A380の経済性の弱点に結びつけられる事を望まないのだ。

 

ANAにとっては、そう重要なものでは無いけれど、エアバスとの関係は、犠牲になる可能性が高い。ANAの全保有機材の中で、エアバスの占める割合は、機体数にして15%である。これは全て利益率の低い狭胴機である。利益率の高い広胴機は、ボーイングが独占して居り、ANAの全保有機の78%を占めて居る。

 

ANAの機材発注の中でエアバスは29%で、また、全て狭胴機である。ANAは、航空機メーカー間に影響力を行使する為に、エアバスの狭胴機を効率的に発注したのだが、これは、ANAのエアバスに対する、見せかけの努力だと見られて居る。 

 

ANAの航空機メーカー別、稼働中機数:201567日現在 ②

Source: CAPA Fleet Database

 

ANAの航空機メーカー別、発注済機数:201567日現在 ③

Source: CAPA Fleet Database


債権者達は、新たなエアラインパートナーを模索ーデルタか?果たして日本政府は外国エアラインを祝福するのか?

 

公式見解の中で、スカイマークはイントレピッドの計画は「全く明確でない」と言って居る。スカイマークが言うには、計画の中でイントレピッドは、まだ債権者にどのくらいの金額が返済されるかを開示して居ない。スカイマークは自らの再生計画が「債権者に最も有利な計画であり、従って、債権者の過半数の同意を得る事ができるだろう。」と言っており、イントレピッドの計画ではスカイマークは債務の3%を返済するもので、5%を返済する自社の案に劣って居ると言う議論だ。エアバスが独自の再生計画を提出したかどうかは不明である。

 

イントレピッドの再生案の届出以来、同社は複数のエアラインと協議中と言うが、名前が上がったのは興味を示したと報じられたデルタだけ

 

報道によれば、イントレピッドの再生案はANAに代わるスカイマークのスポンサーを特定して居ない。然し、この再生案の届出以来、同社は複数のエアラインと協議中と言うが、名前が上がったのは、興味を示したと報じられたデルタだけだ。20154月、ANAが選ばれるまでに、中国のHNAなど、多くのエアラインがスカイマークに興味を示した。

 

次の2つのグラフを見て貰うと判る様に、スカイマークのアピールするものは、単に全体の規模では無い。同社はANAJALの輸送する国内線旅客数に比べれば、ほんの僅かしか運んで居ない。興味あるのはヒースローに於けるbmiの例の様に、同社が東京羽田の混雑した空港に持っている発着枠なのである。即ち、スカイマーク全体での日本の市場での占有率に比べ、遥かに大きい占有率になる、日本で3番目の数の発着枠を持って居るのだ。然しこのスカイマークの発着枠は、全て国内線で、国際線用に変更する事が出来ない。日本のエアラインは自分で発着枠を保有する事は無く、新たな提携相手に譲渡する事も出来ない。このため、スカイマークへの興味を持つとすれば、同社の現有の国内線路線網だけが対象で、発着枠を他のもっと儲かる路線に転用する事は出来ないのだ。

 

ANAJAL及びスカイマークの国内線旅客輸送実績:2008年〜2014年 ④

Source: CAPA - Centre for Aviation and companies

 

国内線の便数から見た東京羽田に於ける4大エアライン:20141222日〜20141228日 ⑤

Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG

 

また、外国の提携相手にとっては、スカイマークの将来の国際線への成長可能性に興味があるだろうが、多分アジア地区圏内だけだろう。デルタはJALが倒産から脱しようとした時に、懸命に口説いた経験があるが、また大韓航空との合弁を検討して居ると見られ、同社の北アジアでの提携戦略は未だ、明確にはなって居ない。

 

<関連記事参照>大韓航空 第2部:デルタ航空、困難だが合弁の可能性=米国、ラテンアメリカへの拡大を一旦休止 18-May-2015 1:26 PM


デルタにとって、スカイマークに関わる事で得られる商機が、幾らかあるが、航空機の問題でデルタがどの様な解決策を齎すのかが定かでない;実際、デルタのA380に対する否定的な考えは有名だ。CEOのリチャード・アンダーソンは、「A380は、分類すれば非経済的な飛行機だ。エンジンが4発ある?我々は最早4発エンジンのエアラインでは無い。我々は2発エンジンのエアラインである。我々もジェットエンジンの科学技術が進んで居なかった頃、4発機を持って居た。今や、ジェットエンジンは驚異の進歩を遂げた、驚異の機械であり、2発あれば充分なのである。」と言って居る。

 

アンダーソン氏はまた、A380の利点として、需要の高い路線で、集中した供給を提供できるというが、市場はA380の大量供給の概念を否定し、便数の多さを求めて居ると思うと論じて居る。「消費者として、毎日一定時刻に8便あるのと、毎日、2つの時間帯に2便だけあって、4つの便をまとめて1機のA380に詰め込まれるのとどちらが良いと思う?これは消費者が望む所では無い。」デルタはまた、大西洋横断路線での合弁事業の中で、エアフランスのA380投入の影響について、否定的なコメントをして居り、株式を保有して居るバージン・アトランティックがA380を発注した時も気乗りしない様子だった。

 

もうひとつ、悩ましいのは、デルタは日本政府と良い関係に無い事だ。これは歴史的な話で、デルタの統合合併の相手であるノースウエストが第5の自由を活用しようとした時に遡る。もっと近い時点では、アンダーソン氏が日本を訪れ、明らかに不可能な望みである、10指に余る羽田の発着枠を欲しいと、大胆な要求をして日本政府を驚かせて居る。

 

複数の報道では、ユナイテッドがスカイマークの2機を含む、A380の購入を検討して居る可能性があるとの事だ。太平洋横断路線でユナイテッドの提携相手であるANAがこの取引に関連付けられ、そしてスカイマークへの関わりの中で、エアバスの祝福を得ることになるのか否かは定かでないし、以前、ユナイテッドはA380は近々に自社の計画には無いと言って居る。

 

もう一つの疑問は、外国エアラインが、日本の航空会社に投資して、ある程度の支配権を行使する事態に対し、日本政府にそれを許す気があるかどうかだ。CAPAが以前に報じた様に:

日本は、散発的に外国エアラインの投資を認めて来た;即ちこの国の新LCCの全ては、創立時に外国勢が絡んで居る。然し、虎の子羽田空港での国内線運営については、外国勢が入るには、余りにも母屋に近く、戦略的に余りにも重要だと考えられて来た様に見える。実際問題、これは重要な口実であり、外国人恐怖症に類するものだ。

積極的な外国エアラインは、日本の航空業界に待望の効率性を齎すだろう。規制と慣例の遺物が、依然として日本を支配して居て、高いコストや非効率性、透明性の低い市場環境を生み出して居る。

ANA傘下のスカイマークには制限がありー多分日本にとっての最善の利益にはならないだろう

 

CAPAはスカイマークの将来をANAJALに対する挑戦者にとどまると期待して来た。これが、地元では、日本航空業界の第3の矢(ANAJALが最初の2本)と称される図式だった。スカイマークは20157月には営業利益計上へと復帰すると予測して居る。然しこれは、例えば、企業セールスの市場に侵入して行ったり、提携戦略を追求する様な、スカイマークから新たな価値を生み出す戦略的再配置は行われない前提だろう。

スカイマークが独自の道を進む裁量を持てば持つ程、ANAとの提携には幾つかの障害が出て来る。日本政府の管理監督者たちは、ANAにとって利害の相反する事態を招きかねない、ANAの関与する期間を限定しようとするかも知れない。即ち、スカイマークへの関与を短期間にするとなると、ANAは、自ら恐るべき競争相手を創り出す可能性があるのだ。ANAは以前にも、潰れかけたエアラインを助けて、この事態に遭遇して居る。結果はと言うと、そのエアラインは未だに存在して居るけれど、返り咲いては居ない。実質的にANAに従属した、家来の会社である。スカイマークはANAの既に支離滅裂なグループ戦略やブランドの切り分けを更に混乱させる事になる。CAPAが既に報じた様に:

インテグラルは航空界のノウハウを持った支援者を欲しがったと言われて居るけれど、ANAが本質的に持ち込む偏ったものではなく、経験を提供できる候補は他にも居るはずだ。ANAは他の複数の日本のエアラインの再生にも関与して居て、それらは未だに存続して居るが、繁栄して居るとは言えない。その様な再生したエアラインは世間では「ゾンビー」と呼ばれて居る。この事は、特に高コスト体質で未だに伝統エアラインの文化を持った大会社が、小規模なエアラインを監督する事の有効性に疑問を投げかけて居る。

スカイマークを加えると、ANAグループの大きなブランドは7つになる:即ち、ANA本体、国内線専門のスターフライヤー、ソラシード、エアドゥ、国内国際LCCのバニラエアとピーチ、そして今度はスカイマークだ。これが上手く整理された事業になって居ない。バニラエアとピーチは重複して居る。現在はピーチがバニラのこれまで飛んで来た東京成田の路線網を始めたため、特にそうだ。

ピーチはまた、大きなビジネスチャンスであり、スカイマークには強烈なパンチを見舞う、東京羽田からの国際線を開始する予定だ。スカイマークは国内線だけだ。

スカイマークはANAと重複するが、エアドゥ、スターフライヤーとも同様である。即ち、福岡はスカイマークの最大の路線であるが、スターフライヤーにとっては第2の規模の路線である。札幌はスカイマークの第2の路線だがエアドゥの最大の路線である。そしてスカイマークとソラシードは東京羽田=鹿児島線で重複する

ANAグループのエアライン・ブランド相関図:20154月(提案) ⑥

Source: CAPA - Centre for Aviation

ANAが潰れかけたエアライン(エアドゥ、ソラシードそしてスターフライヤー)に出資する際には、相手が羽田の発着枠を失わないように、自分の持分は20%以下に抑えてある。これら潰れかけたエアラインの中で、スカイマークはANAの最大の出資先となる。(ピーチとバニラはより高い所有率だが、誕生の経緯が違い、羽田の発着枠も持って居ない。)

 

スカイマークは、国内線の旅客輸送量から計算すると、ANAにとって史上最大の投資になる。スカイマークは2014年の暦年にピーチの240万人に比べて2倍以上の700万人を輸送して居る。


ANAの日本のエアラインへの出資比率-国内線旅客輸送実績で計算すると:2014年暦年 ⑦

Source: CAPA - Centre for Aviation, ANA and MLIT

スカイマークを手に入れて、ANAはゴリラを所有して居る事に気づくだろう。スカイマークは、思うままになる小さなエアラインでは無い。スカイマークは、ANAの支援を受ける事を嫌ったが政府(ANAを支援して居る)は、これを好み、仲介者が、関係する企業を取りまとめたと報じられて居る。

 

上のブランド相関図の中で、我々は、スカイマークを高コストと、低コストの境界線上に置いた。ANAがスカイマークをどうする事が出来るのかを決める前に、両社は、このエアラインの将来像は、どの辺りに有るのか決める必要がある。CAPAが既に述べた様に、スカイマークは、LCCの様に、需要を刺激する低コストの基盤を持たず、かと言って、ANAJALの市場を、より巧みに追いかけるプレミアム戦略がある訳でも無い、中途半端な所に身動き出来ないで居る。

 

ANAは、将来の競争相手を強くすると言うリスクを負っている

 

スカイマークは、生まれ変わらねばなら無いのだが、より競争力あるエアラインになれば、スカイマークは、幾つかのANAのブランドとの衝突を避けられ無い所に追い込まれる。より低コストを追求すれば、ANA3社のLCCを持つことになり、より高収益の市場に這い上がろうとすればANAから顧客を奪う事になる。大胆な戦略的な動きをして、膨大な選択肢を引き出す事もある、特に、もし政府が、ANAの支援を短期間に限定した場合は、ANAは将来の競争相手を強くすると言うリスクを負って居る。

ANAは、羽田=福岡、羽田=札幌以外の路線で、スカイマークとコードシェアをすると言って居る。コードシェアは、スカイマークの搭乗率と売上を押し上げるだろうが、同時に、受入れ難い支配を生み、監督官庁から異論が差し挟まれるだろう。

 

<関連記事参照>

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     スカイマーク航空、A330で飛躍を期す=国内線市場の低迷から5年振りの赤字計上の中で 5-Jun-2014 9:52 AM

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     ANA、スカイマーク航空の20%を取得=独立性の喪失、或いは関心はLCCに移るので無関係か? 27-Apr-2015 2:00 PM


スカイマークは、日本の第3の挑戦者としてチャンスを与えられる可きだ。LCCがより効率的になる可能性はあるが。

 

スカイマークの歴史的成功は、ANAJALよりも高い搭乗率を記録した、効率性と供給量に基いて居た。

 

ANAJALとスカイマークの搭乗率推移:2008年~2014年 ⑧

スカイマークの基本的な事業のセールスポイントは、需要よりも早い、急激な供給量の拡大から変質してしまい、搭乗率は、ANAJALと同水準まで劇的に転落してしまった。


スカイマークの供給量と搭乗率推移:2007年~2015年の最初の4か月 ⑨

Source: CAPA - Centre for Aviation and company

 

経営破綻以来、スカイマークは成長を巻き戻して居る。2014年の供給量は記録的な水準であったが、2015年の供給量は、今や2012年の水準以下になって居る(下のグラフ参照)。消費者が不安視する中で搭乗率の回復には時間がかかった。実際に2015年の最初の4ヵ月の搭乗率は、2014年の同時期より低い。

 

スカイマークの月別供給席数推移:2007年~20154月 ⑩

Source: CAPA - Centre for Aviation and company


供給席数の爆発的上昇はスカイマークがA330を投入した時で、需要の伸びより早く、供給席数が伸びた

 

スカイマークの羽田=福岡線に於ける、席数と旅客数の推移:20134月~201412月 ⑪

Source: CAPA - Centre for Aviation and Skymark

 

下のグラフに見られる様に、A330の導入は供給席数の増加(便数の減少=否定的な要素の可能性)となって居るが、需要の伸びは遥かに遅かった。スカイマークは増強した供給席数を、上手く売り捌く事が出来なかった。これは、コスト基準が十分に低いとは言えず、ANAJALに忠実な旅客を惹き寄せるに足る価値を提供できる訳でも無いと言う、同社の市場の中間地点にある立ち位置の脆弱さを反映して居る。

 

スカイマークの東京羽田=福岡線、月別供給席数と旅客数(左軸)及び平均日間便数(右軸):20134月~201412月 ⑫

Source: CAPA - Centre for Aviation, OAGand Skymark

 

スカイマークが創出した旅客数の伸びは、概ね市場の平均値に等しく、同社が平均以上の成長を生み出す様な戦略的な姿勢を持って居なかった事を現して居る。

 

東京羽田=福岡線の旅客数の伸び:2011年~2014年上期、前年同期比 ⑬

Source: CAPA - Centre for Aviation, MLITand Skymark

 

つまり、スカイマークの挑戦は謎でも何でも無いのだ。これから、しなければならない事がたくさんあるが、日本は必ずしも、スカイマークの独立を犠牲にする必要は無い。

 

CAPAが以前に示している通り、日本の航空界という大きな構図の中で、スカイマークの一件は単なる些末な出来事、ご隠居さん達のクラブでの口論の様な無意味なもの、と見られるかも知れないが、国際市場の展開を遅らせる可能性さえある。観光産業からの収入が、経済に貢献する事を望んで、海外からの旅行者数の伸びが日本政府の緊要な関心事になって居る。

 

新たなLCC各社は、一歩先を進んで居る。スカイマークより遥かに短い歴史しか持たないにも関わらず、彼らは既に国際線の経験を持って居て、スカイマークにはそれが無い。ピーチは東京羽田からの一泊国際線便など、東京市場に変化を齎そうとして居る。スカイマークにこんなにも多大な関心を寄せる代わりに、将来に向けての成長の機会とともに、明確な成果を見せて居る、国際線LCCの成長のために、もっと大きな努力があって然るべきである。

 

<関連記事参照>ピーチ・アビエーション、東京を基地として日本の路線網を固める=春秋ジャパンは増資を図る 29-Jan-2015 2:53 PM


スカイマークの借金の過半を握る債権者達がANAの再生案に反対して居る。それは、彼らの放棄された航空機に関わる(正当な)利益保護の為であり、より大きな日本市場の展望のためでは無い。

 

現時点で、ANAの再生案に対し、彼らが反対し、そして違った結論を求めて居ることは、多分、日本市場にとって、より幅広い利益になる方向と軌を一にするのではなかろうか。例え日本政府がこれを認めたがらないとしても。

 

問題は、日本政府が、外国エアラインのスカイマークへの関与について、どの程度自由化する意思があるのかという事である。日本政府のより幅広い、政治的立場に反して、見通しとしては、日本の産業全体のより幅広い進化を犠牲にしても、一部の利益に資する事になる閉鎖的な市場の方が選ばれる様に見える。


以上

 

 

Skymark Airlines could be a Delta target as Airbus & Intrepid oppose an ANA-led restructure

 

海外事情

毎日、外国の旅行流通ニュースを読んでいると、トラベルテックの急速な変化 に驚かせられると同時に、それが達成する能力や機能のレベルの高さにワクワ クする高揚感を禁じ得ない。 OTA の市場における勢力が勢いを増し始めた 2010 年頃に、伝統的オフライン の旅行会社は無くなってしまうと喧伝されたが、それから20 年近くたった今で もそうなっていない。TTA のヒューマンタッチのサービスは、オンライン専業 のOTA には真似られないというのがその理由だ。しかし近のトラベルテック の凄まじい進化と発展を見ると、この理由は根拠を失いつつあるようだ。旅行 ではパーソナルなエクスペリエンスを提供できた者が勝利者となる。AI(人工 知能)を駆使してビッグデータを分析すれば、パーソナルなエクスペリエンス の提供が可能なると想像するのは間違いではないかもしれない。 すでに、「もの」の世界で Amazon がこれを実現して大きな成功を収めている。 「こと」の世界でも同じようなことが起きるだろう。事実、旅行者のポケット に収まる24/7のパーソナルアシスタントが実用化し始めている。こんなことを、 「12. ホスピタリティー教祖Dave Berks とのQ&A」を読んで考えた。(編集人)