中国の一帯一路計画と航空業界

当分析はCAPAが2018年6月5日に発表した  

  

China's Belt and Road Initiative and aviation

   

をJAMRが全文翻訳したものです。

2018年8月2日

 

中国の一帯一路計画と航空業界
05-Jun-2018

これまで、中国の「一帯一路」
(One Belt, One Road:OBOR)計画と当初呼ばれたものが(現在では「帯と道」計画:BRI)、中国の航空交通の分野にどう適用するのかについて、かなりの憶測があった。今回のレポートは、2つの帯(地上と海上の)に沿ったどの空港が中国の建設会社及び/又は投資家から如何なる支援を受け取ろうとしているかについて検証する。中国の企業が、この2本の帯の選ばれた地域では、他では違うが、その存在感を拡大し続けて居る。


彼らの殆どは、基本的に西欧に、そして旅客用よりも、大規模な道路網の優位性を利用した、貨物用の施設が建設可能な、この大陸の東の方に惹きつけられて居る。 従って、その地域の幾つかの小規模空港は、複数の中国事業者/投資家から求愛されて居る。これとは対照的に西アジアに向かって、古来のシルクロード沿いにある多くの空港は、今のところ、無視されて居る。

 

然し、いずれのケースでも航空はBRIの一部として考えられて居るか、既に組み入れられようとして居るかのどちらかだ。

 

接続可能性と協力は計画の成功の鍵である

 

シルクロード経済圏と21世紀海のシルクロード、即ち、一帯一路計画(BRI)は、中華人民共和国(PRC)の率いるユーラシア各国間の乗継可能性と協力に焦点を当てた、中国政府により推進される開発戦略で、陸地を基本とするシルクロード経済帯(SREB)と海上を通る海のシルクロード(MSR)からなる。この計画は、2016年まで英語ではthe One Belt and One Road Initiative (一帯一路計画)と呼ばれて居た。

 

これは、東と西を結び、何世紀にも亘って両地域の文化交流の中心となった、いにしえの交易路線網である、古来のシルクロードに大まかに基づいたものだ。

 

シルクロードは、アジアと中東、そして南欧州を結ぶ、陸と海の両方の路線を指し、その名前は、漢時代(紀元前207年~紀元220年)に始まった、この地点間をはるばると運ばれ、大きな利益を生んだ絹の交易から採られて居る。中国人は交易品の安全に大きな関心を払い、交易路の防御の為「万里の長城」を延伸した。

 

 

古来シルクロードの経路

Source: NASA/Goddard Space Flight Centre derivative work

 

中国はかつて、そして現在でも、世界一のインフラ投資国のひとつである。インフラを基本とする開発戦略を、これまで追求して来たし、これからも継続しようとして居り、それが、道路、橋、トンネル、そして高速鉄道計画など、広い範囲の近代的な、参考となるプロジェクトから、技術や、建設へのノウハウを導き出す結果になって居る。

 

何人かのアナリストは、一帯一路計画は、インフラ主導の経済開発の枠組みを、自然に拡張したもので、これは、鄧小平の下で、中国の経済改革を採用して以来、急速な成長を支えて来たものであると論じて居る。一帯一路計画はアジアの市場と欧州を結び、官と民の投資の集合地点にする構想である。

 

理想主義的な再構築なのか、或は計算された戦略的な動きなのか?

 

2014年から2016年の間に、中国の一帯一路計画に沿った各国との全貿易物量は3兆米ドルを超え、一方中国のこれらの国への投資は500億米ドルを超えて居る。然し、これらの提携国の間には、計画を盛り上げるために生ずる中国に対する大きな負債の重荷と言う懸念がある。一帯一路には、これは理想主義的なシルクロード構想の再構築をしようとして居るのか、それとも中国の影響力を広げようと言う、巨大な戦略的な動きなのか、異なった見方がある。

 

然し、このタイミングは偶然にも、中国は巨額の外貨準備額を使って、例えば利益の少ない米国の証券を買うよりも、世界の秩序の中でより高い位置を占める必要があると言う公式発言と重なる。

2015年の談話で、中国民用航空局(CAAC)の李健副局長(Deputy Li Jian)は、一帯一路諸国(中国を含め)は自由化に向かって、より活発で、秩序ある、先進的な取り組みをするよう、積極的で、より開放され、柔軟な航空政策を採るよう提案して居る。これが、戦略が公に明らかにされた最初の例である。

 

 

(李氏の談話の抜粋ー非公式な翻訳:

「一帯一路に沿った全ての国は、自由化に対して、活発で、先進的な取り組みをするよう積極的でより開放的な、そしてより柔軟な航空政策を採択する、、、」

「中国は一帯一路諸国のために、人事交流、訓練或は留学生として受け入れるなどの方法で、500人の人材を育成する予定だ。そしてまた、一帯一路諸国に安全サポートを提供するICAOの安全サポート提携プログラムを支える積りだ。」

「空港や航空管制施設への共同出資や建築と言った、主要な飛行経路や主たるプロジェクトを一帯一路の傘の下、中国の地域支援計画として具体化する。」)

 

 

交通プロジェクトには、空港、橋、トンネルそして鉄道計画などが含まれる。中国は、概ね独自の原資から資金調達して自国の空港も建築し、そして中心には、以前インターアリア、コペンハーゲン空港、フラポート、パリ空港(現グループADP)そしてバンシの様な形をとった、外国の支援を得たものを据えて居る。

 

逆に、中国は全欧州やその他の空港(一帯一路東部については未だ焦点が当たって居ないが)に投資して、今や、純粋に、熟練した技術や資本の輸出者となって居る。

 

下の図は、一帯一路計画に参加して居る、大アフリカを含めたアジア各国と、2017年から2021年の間に受けると予想される投資の全体像を示して居る。

 

 

一帯一路計画に参加して居るアジアとアフリカの各国

Source: New York Times; CAPA – Centre for Aviation

 

アジア開発銀行は、台頭するアジアの経済は、成長を維持し、貧困に立ち向かい、気候変動に対応するためのインフラ整備に年間1兆7千億米ドルを必要として居ると予測して居る。

 

下にあるその次の図は、シルクロード経済帯と、21世紀の海のシルクロードを示して居る。この帯の東のはずれは、4つの古代の首都の中で最古であり、古来シルクロードの開始点であり、中国最初の統一帝国である秦の始皇帝の兵馬俑の故郷、西安にあるのは驚くに足らないだろう。

 

西安自身は、首都圏に870万人が住む、人口1,290万人の、近代中国の代表的大都市で、中国の、台頭するメガシティの一つである。

 

 

古来シルクロードと「海の道」

Source: New York Times; CAPA – Centre for Aviation

 

一帯一路計画の一部として多くのプロジェクトが形成されるが、この短いレポートでは陸と海の道の経路上にある各国における空港プロジェクトと中国の資本及び/または技術が投入されて居る、或はその可能性のある所に光を当てて居る。情報源はCAPA空港建設データベースである。

 

検証された国は:

(陸上) キルギスタン、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、イラン、トルコ、ロシア、ベラルーシ、、ポーランド、ドイツ、オランダ

(海上)インド、スリランカ、アフリカ(全体)、ギリシャ、イタリア

(海上の南東線上の港「ハノイ、クアラルンプール、ジャカルタ」は、東西の結合に直接的な関与をしない事からここでは触れて居ない。

 

一帯一路:陸上の活動    

 

キルギスタン

ビシュケク・マナス(首都)、バツケン、イスファナそしてジャラルーアバド空港に、全て2022年12月末までに完成予定の、良く知られた4つの空港プロジェクトがある。これらは全て、ターミナルの拡大または拡張計画で、ビシュケク・マナスには新滑走路計画がある。

2014年にビシュケク・マナス国際空港OJSCと中国の北京首都建設グループが、マナス空港に新たなターミナルを建設、バツケンとイシュクークル空港を再生させる協定に署名して居る。推定総費用10億米ドルのプロジェクトである。

新しいオシュ空港は、第2の都市のための新空港の計画案で、費用は3億米ドル。首都空港の運営者であるマナス国際空港OJSCが中国機械エンジニアリング社(CMEC)と地域のハブ空港を建設する計画のため契約に署名して居る。

 

カザフスタン

 

CAPAデータベースには、アスターナ(首都)、バイコヌール、コスタナイ、オラルアクゾール、セメイそしてシムケントの6つの空港プロジェクトの記録がある。総額は3億4,560万米ドル相当。これらは殆どがターミナルまたは空港の増改築で、アスターナとシムケントではターミナルと滑走路の新規建設である。全ては2018年12月と2020年12月の間に完成を迎える。

これらのプロジェクトは、鉄道会社の手になるもので、中国企業が絡んで居る情報は無い。

中国のテンリー・ホールディングズがカザフスタンの投資、開発省に最大都市アルマトイでの新空港建設の提案書を提出して居る。

 

タジキスタン

 

現在の空港で、公になって居る唯一のプロジェクトは首都ドゥシャンベでの新貨物ターミナルで、3,150万米ドルのローンによる、日本国際協力事業団(JICA)が資金調達して居る。

 

 

ウズベキスタン

 

CAPA空港建設データベースは、2つの既存空港プロジェクトの情報を持って居る。即ち小さなヌクス空港の改良計画、そして首都タシュケントのイスラムカリモフ国際空港での4億3,100万米ドルの新たなターミナル建設である。後者では、資金調達は中国からでは無く、韓国輸出入銀行からである。確かに2016年9月に韓国とウズベキスタンはウズベキスタンのインフラプロジェクトに関し包括的な覚書を結んで居る。

この覚書に基づき、韓国経済開発協力基金はタシュケントの旅客ターミナル建設と同時にデータセンターの立ち上げに2億5,000万米ドルを提供する予定だ。更にソウルの仁川国際空港公社と韓国国際協力団(KOICA)が、建設と経済合理性のチェックを担った。

新空港の展開計画は無い。

 

イラン

 

トランプ大統領がイラン核合意(協定では無い;正式な合意に署名された事実が無い)を無効にしたため、イランは十字路に立たされて居る。航空機と空港建設、そして資金調達サービスを提供する事によって得られる、西側の巨大な利益(それはイランで開催された2回のCAPA会議に出席すれば明らかだった)が、イラン制裁の更新と彼らへの制裁の脅威の可能性の前で雲散霧消してしまった。

然し、イランには外部からの投資が必要なのである。イラン空港会社の54の空港のうち、イマムホメイニ国際空港を例外として、どこも利益を出しては居ない。これまで結ばれた主要な取決めには、主にフランスとイタリアの企業が絡んで居る。

CAPA空港建設データベースには、主にターミナル部分だが、建設計画のあるイランの13の空港がリストされて居る。2014年にイラン空港会社が、新空港の開発のためにフランスと中国双方の企業と資金調達についての合意に署名した、新マシャド空港を除いては、如何なる中国とのかかわりも持って居ない。資金調達合意のひとつの条項は、イラン空港会社による全イランの54空港の開発への投資をカバーして居る。

新空港建設について、(これには沢山あって、ブシュヘール、チャバハー、アフバズ、サケズ、クオム、そしてアラスジョルファが含まれるが、空港会社の資金調達の苦境を考えても)中国の関連が明らかになって居るのは2014年にコム空港に匿名の中国の投資家が、プロジェクトへの投資について協議するために訪れたと言う例があるだけである。

 

トルコ

 

何世紀にも亘って、アジアと欧州の架け橋であるトルコは、イスタンブールに世界最大の新空港プロジェクトの一つがあり、2018年10月に第1段階のオープンが予定されて居る。然し、中国の関連は無い;全ての資金調達と建設計画に参加して居るのはトルコの企業だ。

それ以外では、大きなプロジェクトが7つの空港にあり、主なものはイスタンブールのもう一つの空港サビハゴクチェン(17億5千万米ドル)である。

これらのどれについても、中国からの直接の支援の兆候は無く、また、明らかにDHMI国家空港局の監督下にある、新規建設の空港プロジェクトにも無い。トルコは海外への投資、開発では、中国にとっての挑戦者なのである。

 

ロシア

 

ロシアにもほぼ同様の事が言えて、この国は、課せられて居る制裁の性質から見ても、最近は余り外国への投資をする立場に無いのだが。CAPAの空港建設データベースに依れば、ロシアの現存空港には、70以上のインフラ建設プロジェクトがあり、14の新規建設空港が建設中か、計画中である。

然し、中国からの関与の兆候は殆ど無い;プロジェクトは、国家、個々の自治体、または芽生え始めたロシアの民間投資家とその企業が主体となって居る。

ロシア連邦反独占局(FAS)は、2018年の第2または第3四半期に、国家の港湾と空港インフラに対する外国人投資家による投資に対する障壁を軽減しようと考えて居る。ロシア連邦は、ビジネスのやり難い国として広く知られて居る。通常、新たな推進力は西方から来ると想定されるのだが、現在のロシアと西側社会の政治的な暗礁がこれを不可能にして居る。

若し中国の企業が絡もうとするなら、殆どの需要があり、既に政府系ファンドも含め、必要な投資の多くを惹きつけて居るモスクワやサンクトペテルブルクの周辺よりは、むしろ、ずっと地元に近く、需要も小さいためロシアの企業があまり参画したがらないと思われる、ロシアの東端で始める可能性が高いだろう。

 

ベラルーシ

 

可なりのインフラプログラムがあると知られて居る、唯一の空港があるが、それは大きなもので、種々の事業も含め投資額は3億米ドルに達する、第2滑走路が建設中のミンスク・ナショナル空港である。

ミンスクは、その西端の拠点ロッテルダムに向かって、蛇行する「一路」から恩恵を得る恰好の位置に居て、当初、このプロジェクトは、中国企業IFの繋がりで担当する筈だった(2013年から)。しかし、2014年、ロシアの権益が、提携先として中国に取って代わって居る。

この決断には、政治的な便宜が、大きく関与したに違いない。これは、ロシアの側に旧ソビエト連邦国家が依然として残って居る事から、多分、意識された戦略だろう。ジョージアは、対照的にずっと旧ソ連との繋がりから離れて居て、より一帯一路に関わって居る。

 

ポーランド

 

ポーランドには、インフラプロジェクトを持つ空港が10箇所あり、その最大のものが、クラカウのヨハネパウロI I世バリス国際空港(2,730億米ドル)である。建設中の新たな空港が一つあり、ロッズの近くにある、古い方が小人に見える様な、新たな中央ポーランド空港が間も無く最終認可を得そうである。然し、ポーランドは、官民共同事業体の国家空港局を通じて、殆どの空港を管理する傾向にあり、民間部門の活動としては、唯一、スワルキの新空港があるだけで、外部からの参入の例は極く少ない。

 

 

ドイツ

 

空港分野の中国の協力が見られる良い例が、「一路」が、ルール工業地帯を横切り、オランダと北海に向かう途中のドイツにある。

重要な貨物の物流基地(中国の運輸業者には、常に魅力的である)、フランクフルト・ハーン空港は、幾つかの中国企業の調査を受けた後、2017年8月に、ドイツ企業ADC GmbHとの連携のもとHNAエアポート社により買収された(82.5%)。その10年前に、北京を本拠とする、リンクグローバル社が、入札により、ドイツバルト海岸のシュベリン-パルヒム空港を買収したが、ここも、貨物基地に使う事が念頭にあった。

計画された「一路」の線より、北に少し道をそれるのだが、ここはベルリンとハンブルグの間にあるし、後者の港は、恐らく「一帯一路」の港、ロッテルダムの代替港になり得るだろう。

後日(2010年)、リンクグローバル社は同空港の経営を厦門空港グループに譲って居る。

 

 

フランクフルト・ハーン空港の年間貨物供給容量(kg)

Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG

 

オランダ

 

そして、遂にオランダに、「一路」の西の端にやって来た。現時点で、建設計画のある空港が5つあり、最大のものはアムステルダム(20億米ドル)にある。

一箇所(マーストリヒト)を除いて公的事業の範囲で、中国の関与が明らかになって居るものは無い。建設中の新空港は無いが、レリスタッド空港の民間使用への改修がある。

 

「一帯一路」:海の活動           

 

 

後半は「一帯一路」の海上の部門を検証する。          

Source: New York Times; CAPA – Centre for Aviation

インド

 

この海の道はべンガル湾を抜け、コルカタの町を通る。インドの建設計画(44箇所の現存空港及び52の新設空港)で中国の存在が明らかなもの、また/或は空港への資金調達の例は無いが、コルカタ自身でさえ、2015年に離陸した後、急遽コンセッションプロジェクトの可能性でレーダーに戻って来た。

外国勢の関与があるとすれば、2006年の最初の大都市空港コンセッション計画で取引して以来、伝統的にドイツ、スイスそして南アフリカの企業である。

これが永遠に続くとは限らない。2017年には、向う5年以内に、インドに対し、この国のプロジェクトに総額850億米ドルに上る投資を計画して居る600社の内の42%が中国企業だと公表された。中国企業の幾つかは、具体的には土地開発業社である。インドが、投資を必要として居るのは疑いの無い事だ。中国を抜いて、アジア太平洋経済の盟主になれると信じて居るこの国で、中国企業が歓迎されるか否かはまた別の問題である。

 

スリランカ

 

スリランカ(コロンボが海のシルクロード上にある)には、性格の違う複雑な問題があり、「スリランカの第2の国際空港」マッタラ・ラジャパクサ国際空港として2013年に始まった、厄介な独りよがりのプロジェクト(white elephant vanity project)は、インドと中国の間の政治戦略の戦いの場となって居る。

この空港の用途は、2015年、わずか6,500人の旅客が使用してから、MROと貨物の空港へと変更されて居るが、ここの資金調達は、中国輸出入銀行からの長期低利貸付資金(soft loan funding)に拠って居る。

然し、すぐ傍のハンバントタ海港(世界で最も繁忙な航路の一つにつながる)での中国の存在は、中国が一帯一路計画を通じ、大陸を横断して食指を伸ばそうとして居ることから、この港を海軍基地にするのではと言う懸念が持ち上がって居る。

然し、そのための能力は、空港に通ずる道が無いことから、厳しく妨げられて居る。

このため、インドの航空局(インド空港局や民間運営企業では無く)は空港を運営し、この地で中国の拡大政策を効果的に阻むために、スリランカ航空局と共同事業を形成するため、2017年末にスリランカ政府との協議を開始した。その空港の運営計画は依然定かでない。

 

アフリカ

 

中国の、ナイロビが「一帯」の外周地点として注目されるアフリカでの影響について、詳細に踏み込むには、スペースが足りない。

この影響は、特にケニヤはここ何年間か、主に産業の育成のため、また中国が90%の資金を調達し、やがて東アフリカ中を国際的に繋げる同様の路線網プロジェクトの一つである、40億米ドルのナイロビ=モンバサ鉄道を建設中である、鉄道分野にも、活発に中国に対して投資を訴えて来た。

空港分野では、中国の存在感は、数年前、5億米ドルのナイロビ ジョモ・ケニヤッタ国際空港のターミナルを建設する契約(その後取り消された)と言う形をとったが、政治的な後遺症を生んで居る。

 

ギリシャ

 

ギリシャはイスタンブールが「一路」の上にある様に、海の「一帯」の上にある。

そこにはピレウスの強力な海港がある。然しギリシャの空港分野を、主に牽引して居るのは、コペロウゾス・グループの様な地元企業を通じて、西側のファンドや、たくさんの多様な地域の、及び離島の空港を管理下に引き受けて居るドイツの運営会社フラポートを通じた欧州の権益である。

海港は、中国の興味を持つところである(2009年にはコンテナ港の半分は中国の企業COSCOに対し35年間のリースを行って居る)が、未だにギリシャの空港に中国が大きな関心を示した例は無い。長いこと待ち望まれて居る、既に一部民営化実施済のアテネ国際空港(最早、古いエリニコン国際空港の様にピレウスの近くには無い)に対する更なる動きは、即座に過半の出資が確保される可能性は小さいけれど、立場の変化が見られるかも知れない。

 

イタリア

 

海の「一帯」の最終端にあるのは、過去に中国の企業から空港分野への投資の対象と見なされて居るイタリアである。例えばデジタル事業の会社であるIZPテクノロジーズは2014年にパルマ空港を買って、巨大なトリノ=ミラノ=ベニスの北への回廊に資する貨物の基地にしようとした。この商談は纏まらなかった。

中国の投資家にとってイタリアでの問題は、特に貨物サービスにとって、その殆どが、欧州の主要な商業地域から大きく南に外れて居る事だ。また、強固に異質な政党が政権を争う政治的緊張関係が存在する。経済は弱い。政府が前から認めて居る通り、余りにも多くの空港がある。

更には、空港の所有形態が、通常、地方自治体とイタリアの民間の株主の混合のパターンに従って居て、外国人が入り込むのは難しい。

 

 

下図のベニス/マルコポーロ空港の所有形態が良い例である。

Source: CAPA, Centre for Aviation

既にかねてから外国資本の入って居るパルマの様な商機は滅多に現れて来ない。

 

空港に投資する中国勢は何者か?

 

今回のレポートは、これまで、主に中国資本を惹きつけた、またそうで無い、個々の空港プロジェクトを見て来た。

 

陸と海の道の諸国に対する中国の影響を違う見方で見るとすれば、空港への投資家は一体誰で、どんな指向性を持って居るかを検証する事だ。

 

CAPA空港投資家データベースに拠れば、「一帯」上で空港投資の機会を検討したか、する可能性のある(即ち、投資先の見通しを中国に限って居ない)中国企業が、40以上ある。この興味の集合の全てが、上述の国々にある訳ではなく、その多くは東南アジアにある。一握りの企業が、思い切って投資をして居るのである、ほんの一握りが。

 

フランクフルトハーン空港で触れた、HNAグループは、予てから、欧州の空港に強い関心を持ち、一度は、彼ら自身で、チームを送って大陸を調査して居る。ハーン空港に手を打った半年後に、同社はブルガリア第2の都市にあるプロフディフ国際空港の35年間のコンセッションを確保して居る。HNAグループは、同社が一帯一路計画を実施する際には重要な役目を担って居ると、明確に述べて居る。

 

ブルガリアは、陸と海の帯が欧州に入る際にその間に位置し、プロフディフ空港は、欧州との連携を強化する事を目指し、「新シルクロード」経済計画の名の下に創立された400億米ドル基金の参加社の一つ、中国の投資会社であるハイナン・ロンカンレン・センチュリーインベスト&デベロップメント社も惹きつけて居る。

 

その他の大きな投資家は、香港を本拠とする、フリードマン・パシフィック アセットマネジメントで、同社は、当初シャンドン高速(鉄道)グループに加わり、フランスのツールーズ・ブラニャック空港(中央及び地方政府が、未だ資本の過半を保有して居る)の株式を保有するコンソーシアムを組んだ。

 

「一帯」に関して、より大きい例は、フリードマン・パシフィックがこの後(2016年10月)、チャイナエバーブライト(香港と北京)の勢力に加わり、キーンダイナミクスを通じて、アルバニアの首都の空港であるティラナ国際空港(TIA)を100%買収して居る。ここでも再た、この買収は、「中国の一帯一路計画に沿った、良きインフラ投資の機会を認識する、積極的な協力の取り組み」であると表現されて居る。

 

中国のコングロマリット アリババも、言及するに値する。同社は、これまで、この分野では、唯一、シベリアのイルクーツク空港の貨物ターミナル建設に関心を明らかにして居る。如何なる行動も取られては居ないが、この空港の一帯一路の東の極端な外れにあると言う位置が不可解である。

 

HNAグループ、AVIC国際ホールディングズ、コングロマリット、中国アセアン投資協力基金など、複数の投資家が、ベオグラードのニコラ・テスラ国際空港の2017/2018年コンセッション計画に関心を示した(最終的には、バンシ社が獲得)。ベオグラードも、また、東南欧州の2つの道と海の帯の間に位置するが、ティラナよりは中央にある。

 

2つの、上海を本拠とする企業が、この地域で有名になって居る。

上海建設社は2015年、ハンガリーの無名の使用されて居ない空港を、欧州の貨物基地に変えたいと言う希望を表明した。その後、何の結果も出て居ない。一方、上海イシアン・トレーディングカンパニーが、2016年、HNAグループよりずっと先に、実際にフランクフルトハーン空港を買収する取引にたどり着いて居る。然し、その取引は、資金調達の難しさが、投資家に悪く作用して、成談には至らなかった。

 

最後に、香港を基地とする、シシアンホールディングが、2015年、北イタリアのブレーシャとベローナの間に、150億ユーロの新規空港を建設する 大胆な 計画を考え出した。これは、この地域の「海の帯」空港として、考え得る最高の場所に近かったのだが、この案に関して、それ以来何ら進展は無い。

 

それ以外では、中国の空港投資家たちは、主として、英国、特にロンドンとマンチェスターに興味がある様だ。彼らの内の数社は、ロンドン・ヒースロー空港(チャイナ・インベストメントコーポレーション)、とマンチェスター空港(ベイジン・コンストラクション&エンジニアリング)などに投資して居る。そのどちらも、シルクロードのそばには無い。

 

彼らの内2社が、中央スペインのシウダ・レアル空港を、これも貨物基地として使うために、買収しようと試みたが、不成功に終わって居る。繰り返しになるが、スペインは、「一帯」の直接的影響から大きく離れて居る。彼らの何社かは、「海の帯」の一部であるベトナムに焦点を当てて居る。

 

要するに、特に空港関連の投資の為に、欧州を検討して居る中国本土及び、香港の投資家達の数はどんどん増えて居て、彼らの幾らかは、シルクロードの精神を念頭に置いて居るが、全ての例が、そうでは無いと言う事だ。

 

エアライン各社も同様に、ではない…


幾つかの例では中国のエアラインは、空港の投資家と、深く絡みあって居るにもかかわらず、驚く事に各社は、これに追従してはいない。

 

持ち上がった不可思議な一つの事実は、殆どのシルクロード経済圏諸国で運航している中国のエアライン運航会社は中国南方航空だけだと言う事である。その例外はロシアで、そこには全ての大手中国エアラインが、予想通り飛んで居る。同じエアラインがウルムチで支配的なエアラインで、「一路」の東端である西安ではそれほどでも無い。

 

HNAグループのエアライン各社が良い例を示して居る。エアライン事業会社は投資会社であるHNAエアポートとは相互関係があまり無いけれど、同じ様にHNAグループの一社であると言う事だ。HNAエアポートの投資した場所(プロディフそしてフランクフルトハーン空港)、そして道と海の帯に沿った殆どの場所で、その中の幾つかは、「一帯」が「約束した」航空サービスを早くよこせと声を上げて居る。

 

海南航空ルートマップ

Source: CAPA - Centre for Aviation; OAG

 

…行動計画にも関わらず

 

2015年から中国民用航空局(CAAC)が発行し、「最重要民間航空計画2015」と呼ばれる、トップレベルの一帯一路(OBOR)に関する政策の書類があるにも関わらずなのである。

 

この計画には一帯一路に焦点を当てた193の計画のうち、51が含まれて居て、その計画には、CAACが航空政治学的努力を一帯一路諸国に絞るとした事に始まって、中国のエアラインが、この路線で、供給を増やす(明らかに、彼等のRPK伸び率は、一帯一路諸国の方がそれ以外の国よりかなり高い)事まで、そして中国に協調する航空機リース企業(即ち、非常に多くの中国製航空機に資金調達する用意のある連中である)で、一帯一路諸国に向けて努力を傾注する事にまで、多岐にわたって広がって居る。

 

既に、中国エバーブライトグループのリーシング部門が中国製航空機を一帯一路諸国に強く売り込んで居る(ティラナ国際空港の購入も同様に)と言う様な、目に見える行動も幾つかある。これ以外にも多くの事が、見えない所で進行中なのかも知れない。

 

現時点で、その様な証拠は殆ど無いのだが、中国のエアラインは、一帯一路諸国の破綻した/しそうなエアラインに投資してくれる様に見られて居るかも知れない。

 

以上

 

China's Belt and Road Initiative and aviation

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