第13回: JAL国内線事業構造の変化(その1)

                                      2019年5月6日

 

(マラソン講座)データから読み解く航空事業 

(第13回; 2019年5月6日)  

 

JAL国内線事業構造変の変化(その1)  

破綻前からどう変わった?

 

 

  JALの国内線の事業構造の変化を、20002017年度のデータからみました。 

 なおANAについても併せてみることで、両社の差をより鮮明にしました。

 

 

1.国内線旅客数の推

   まず国内線全体の流れと、その中でのJALANAの旅客数の流れをみます。 

下図は2000年度からの国内線旅客数(総数、JAL/ANA)推移です。 

 

   (総旅客数) 2006年度に過去最高の9,697万人を記録した後、リーマンショック後の
  景気低迷や東日本大震災の影響、JAL破綻等の影響が重なって大きく落ち込み、
  2011年度には8,000万人をわりこみます。
 

  その後LCC参入効果などで回復、伸長して2017年度は1億人を突破しました。

 

   (JAL旅客数) JASとの統合(2002年)によって、ANAとほぼ同規模となりましたが、 

     経営破綻後のリストラで大きく規模縮小、2011年には3,000万人をわりこみます。 

     その後徐々に再伸長して2017年度は3,400万人に達しました。

  

   (ANA旅客数) ピークの4,647万人(2006年度)からは減少しましたが、2017.年度の
 旅客数は4,415万人です。 但し、これは中堅3社との提携強化によるCS便旅客の増加
 による
ところも大きいものがあります。

 

2.          JALの構造変化を5つの指標でみる。 

    破綻前で、国内線も好調だった2006年度を基点として、5つの指標※の推移をみました。

 

    ①便数、②平均席数、③総席数、④搭乗率、⑤旅客数 

 

    結論は; 

     ①便数減(▲13)と②小型化(平均席数▲22%)で③供給座席数は▲32%減少。 

     他方④搭乗率の向上で旅客を獲得(+13%)して⑤旅客数は▲23となりました。

 

     計算式ではこうなります↓↓


 

 便数(0.87平均席数(0.78総席数(0.68搭乗率(1.13旅客数(0.77

 

      席数減には便数減より小型化が大きく絡んでいるということです。

 

上図に関わる2017年度と2006年度の実数は次のとおりです。 

 

   (解説) 

 便数; 1日の便数(往復)が419482便と63便減少 (0.87 

   平均席数; 115199席と大きく小型化 (0.78 

   総座席数; 48007000万席と▲2200満席も減少 (0.68 

   搭乗率;   71 ←63%と8ポイントの大幅上昇 (1.13 

   自社便旅客数; 3400 ←4400万人と▲1000万人の減少 (0.77 

   総旅客数; CS便旅客数が微増 

   旅客単価; 15,000円でほぼ横ばい

 

この結果、「約1000万人の旅客減と約1600億円の収入減」 となったものです。 

 

  なお小型化は旧式機材から燃費等運航コスト効率のよい新鋭機への置き換えによって 

行ったというのもポイントで、JALの収益性改善をもたらす主因になったとみられます。

 

     ・新鋭化+小型化 ⇒ 低コスト化による採算性向上 

     ・搭乗率UP ⇒ 収益性を更に押し上げ 

      (収益性の変化については章を改めて取り扱います。) 

 

《参考》 同じようにANAをみると、緩やですが傾向はJALと似ています。

   便数; 1日の便数(往復)が395418便と24便減少 (0.94 

   平均席数; 204232席と小型化 (0.88 

   総座席数; 59007100万席と▲1200満席の減少 (0.83 

   搭乗率;   68 ←64%と4ポイントの上昇 (1.05 

   自社便旅客数; 4000 ←4600万人と約▲600万人の減少 (0.87 

   総旅客数; CS便旅客数が 440 ←100と大幅の増加して自社便旅客減を補う 

   旅客単価; 15,600円で横ばい 

 

この結果、230万人の旅客減と360億円の収入減」 となったものです。 

 

 

  次回(第14回)の予定です。 

JAL国内線事業構造の変化(その2 

経営再建への小型化と新鋭化 

 

以上

 

海外事情

 

今週号では、「7. アゴダの多角化戦略」、「8. ブッキング、民泊の新戦略」、「13.ブッキング、法人旅行テックプロバイダー買収」、「15. ブッキング、配車アプリのグラブと提携促進」と、BKNGの関連ニュースが4つもあった。BKNGの「Connected Travel」戦略の遂行が進んでいる。BKNGの場合は、Internet of Things (IoT)が、Internet of Travel (IoT)と読み替えているように感じられる? 

 

それよりも、3つの記事が印象深い。「10. 本当のディスラプション」、「22. ソーシャルメディアと旅行」、「24. 東南アジア市場の2つの問題、OYOとインスタ」の3つだ。

 

10. 本当のディスラプション」では、ディスラプティブのプロダクトは、必ずしも既存企業よりも良いわけではなく、今まで既存企業が不経済なために手を出さなかったサービスのニーズに取り組んだか、以前は特定できなかったニーズのいずれかであると説いている。そして、ディスラプティブを起こしているのは、テクノロジーでなくて、創造性を発揮したクリエイティブなモデルであることを再確認させてくれた。

 

22. ソーシャルメディアと旅行」は、旅行とソーシャルメディアの相性が抜群に良く、旅行業界がソーシャルメディアを誰よりもうまく使っていると言っている。ソーシャルメディは、人と人の繋がりをインターネットで補完するコミュニーケーションサービスなのだから、顧客とのエンゲージメントに優れているのは当たり前だ。これを上手に使っていないとすれば問題だ。

24. 東南アジアの2つの問題、OYOとインスタ」は、この地区における観光公害の実態を報告している。オンライン旅行ガイドTravelfishStuart McDonaldが、過去15年間で悪化している観光公害の実態を、歯に衣着せずのタッチで断罪している。(編集人)

海外事情12月9日号 

 

2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。 

 

グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPE22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNG10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIP3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。

 

117日、3社の株価は、EXPE27%BKNG8%TRIP22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。(編集人)