海外事情

 

916日掲載

 

海外事情 916日号B

 

 

81923日のニュースに加え、法人旅行に関する特集シリーズ3部作の第1部を掲載する。(お盆休みのために、1週間のニュース配信となります。)

 

前々号の楽天キャピタルの都市エクスペリエンスプラットフォームFever(ロンドンとマドリッドベース)出資に引き続き、「3. 楽天、東南アジアのバジェットホテルに投資」した。

 

2. 電子IDと旅行」は、プライバシーの問題について何も触れていない。生体情報は、整形手術をしない限り究極的個人情報なのでプライバシー保護には細心の、最善の、最大限の注意が必要だ。

 

6. 米司法省、セーバーのフェアロジックス買収を否認」は、この買収が実現しない場合は、SabreNDC開発に遅れが生じる可能性がある。これは、FarelogixGDS代替システムの能力に、DOJが“お墨付き”を与えたということか。(編集人) 

 

 

目次

 

1.    (TJ) 旅行データは自己管理の時代

 

2.    (TJ) 米司法省、セーバーを提訴

 

以上はトラベルジャーナル916日号をご覧ください。

 

 

 

3.    法人旅行 Part 1: 主要投資家に投資機会を提供

 

3. 楽天、東南アジアのバジェットホテルに投資

 

4. チョイスホテルで情報漏洩

 

5. トリアド、レストランにWi-Fiサービス提供

 

7. 機内エンタメ新会社、250万ドル調達

 

8. エクスペディア、加バケーションレンタル買収

 

 

 

3. 法人旅行 Part 1: 主要投資家に投資機会を提供

 

法人旅行は大きな事業だ。

 

Global Business Travel AssociationGBTN)は、この業界が世界で1.4兆ドルを支出し、2022年までにその数が1.7兆ドルに増加すると予測している。

 

Phocuswrightは、「米国のコーポレートトラベルレポート2018-2022」で、マネージドトラベル(出張規定遵守法人旅行)が米国の総旅行市場の3分の1を占め、2022年までに1,380億ドルに達し、その支出の86%がオンラインで行われると述べている。

 

「米国法人旅行市場は堅実かつ着実に増加している。移民政策の厳格化などの地政学的な課題の繰り返しにもかかわらず、企業業績の向上に支えられている。オンラインセグメントは急速に成長し続け、法人旅行予約を支配している」とレポートは述べている。 

 

また、そのオンラインセグメントは、セルフサービスの予約ツールから旅行管理会社(TMC)やサプライヤーのプラットフォームに至るまで、そして機械学習、チャットボット、バーチャルアシスタントなどの新しいテクノロジーを組み込むなど幅広く多様的だ。法人旅行のデジタル化は、レジャー旅行市場よりも遅れているが、ここ数年でペースが速くなり始めた。 

 

出張に関する1か月にわたる3部作シリーズの最初の部分では、3つの最も注目すべき出張旅行のスタートアップ(Lola.comTravelPerkTripActions)に

 

対する投資家と面談し、投資家たちが、このセクターでなぜそんなに強気かを理解する。

 

 

 

ワイルド・スピード(Fast and furious

 

2015年は、出張旅行の革新にとって重要な年となった。 LolaTravelPerkTripActions3つのスタートアップはすべて、その年に設立された(ただし、Lolaは当初はレジャー旅行に重点を置き、2017年に法人旅行に転身した)。 それ以来、3つすべてが非常に忙しかった。 

 

Lola8,200万ドル近くの資金調達を行っている。最近では、既存の投資家General CatalystAccelが率いる3月のシリーズCラウンドで、以前の投資家CRVTenaya CapitalGVが参加した。 201811月、同社はAmerican Express Global Business Travelと提携した。 

 

TravelPerkは、既存の投資家であるKinnevikDST Globalのパートナー、Target GlobalFelix CapitalSunstoneLocalGlobeの参加により、7月のシリーズCラウンドに6,000万ドルを追加、総資本を13,400万ドル近くにした。 また、7月に同社は、キャンセルに対する新しい保証付き払い戻しプログラムを発表した。 

 

そして、TripActionsの企業評価額は40億ドルに達し、6月の最新の資金調達ラウンドの調達額は25000万ドルで、Zeev VenturesLightspeed Venture Partners、およびGroup 11からの参加によるAndreessen Horowitzが主導した。そして従来の旅行管理会社(TMC)に支配されていた市場の一部を追いかけて、TripActions Consultingを開始した。 

 

 

明らかな機会(Obvious opportunity

 

それでは、この急速な成長と投資家の信頼を後押ししているのは何なのか?

 

私たちが話す投資家は、市場が大規模であるが十分にサービスされていないという事実から始めて、いくつかの要因の融合にあると言っている。 

 

TravelPerkの投資家で、Felix CapitalのパートナーであるAntoine Nussenbaumは、彼の会社がほぼ3年前に旅行への動きを模索し始めたとき、特に中小企業の分野でオンライン化が消費者の旅行に遅れをとっていることに驚いたと言っている。それは素晴らしい機会をもたらすことを示唆している。

 

「多くのオフラインの旅行会社が多くの金を稼ぎ、依然として大きな市場シェアを獲得している」とNussenbaum氏は語る。「したがって、市場の観点とマクロの観点から見ると、デジタルファーストで旅行に精通し、技術に精通している新興企業にまだ捉えられていないような巨大な市場が存在するのは非常にユニークだった。」 

 

これは、General Catalyst創立者兼マネージングディレクターのJoel Cutlerの見解に似ている。Cutlerは、2004年にKayakの立ち上げのためにパートナーになった創業者ポール・イングリッシュとの長年の関係と尊敬に基づいて、初回の資金調達ラウンドからLola.comに投資している。

 

Cutlerは、旅行を効率的に管理するための消費者向けの質の高いツールを中小企業に提供するためのソフトウェアの必要性を感じていた(彼はEnglishをプロダク開発の天才と呼んでいる)。「中小規模の市場のスペースは巨大であり、グローバルであ流けれども、大規模なプレーヤーが十分にサービスを提供するには至っていない」とCutlerは言う。

 

「優れた仕事をする非常に優れた地域TMCは沢山あるが、それらはグローバルではなく、ソフトウェアも保有しない。これは航空券やホテルの部屋を売るだけではない。それは確かに方程式の一部であり、それは伝統的なTMCの領域であるが、これは最初(タビマエ)から最後(タビアト)まで、すなわちあなたが購入できるもの、あなたがそれを購入する方法、あなたがそれを購入するための支払いを受ける方法、コンプライアンス、報告方法、効率的な方法、サービスの提供方法など全てが含まれる。これはソフトウェアソリューションなのだ。」 

 

Zeev Venturesを通じてTripActionsに約7,000万ドルを投資したOren Zeevは、レガシー旅行管理会社(GBTCWTBCDなど)がエンタープライズレベルでテクノロジー主導のソリューションを提供しているが、彼らはうまくやっていないと語る。「一般的に、法人旅行のB2B企業はエンドユーザーのことを考えていなかった。彼らは、会社が使用するように指示したものを主張者が何でも使用すると想定したので、ユーザーフレンドリーにするために努力する必要はなかった」と彼は言う。「彼らは常に顧客を財務担当CFOと見なしていたため、CFOに対応するが、旅行者のエクスペリエンスは決して焦点ではなかった。」

  

 

旅行者中心のソリューション(Traveler-centric solutions

 

実際、これらの投資家によると、これらのスタートアップの旅行者中心のアプローチは、出張者は好みの予約システムを使用する可能性が高いために、実際にCFOやトラベルマネージャーのニーズに応えることにもなる。

 

「世界中のすべてのコントロールと見える化の機能を使用できるといえども、出張者の50%が出張規定を守らなかった場合、この50%のすべてがコントロールと見える化の対象外となる」とZeevは言う。「だから、従業員が何かを強制されるのではなく、使いたいものを使うことによって、より良いコントロールと見える化を得ることができる。」 

 

これら3つのスタートアップはすべて、ユーザーフレンドリーなモバイルソリューションと24時間体制の人間による支援を組み合わせたプロダクトを開発している。

 

Cutlerによると、その優れたユーザーエクスペリエンスのもう1つの重要な要素は優れたコンテンツだ。これは、ローラとGBTとのパートナーシップの推進力の一部にもなっている。

 

「結局のところ、本当に良いディールと価格とサービスがあれば、大きな違いが生まれる」と彼は言う。「だから、Lolaは優れたソフトウェアを構築すると同時に優れたTMCであることを確実にすることに腐心している。」

 

Nussenbaumによれば、デジタル対応ソリューションで優れた供給と優れたサービスを提供することは非常に困難であり、このタイプのプロダクト開発に参入する自然障壁となっている。

 

CFOの場合、出張費をより効率的にするために、ソフトウェア会計管理ツールを構築する必要がる。オフィスマネージャーは、生活を楽にし、時間を節約できるプロダクトを必要としている。そして最後に、非常にスムーズにキャンセルを処理し、あらゆる情報を得るには、消費者向けのソリューションである必要がある」と彼は言う。「それは非常に難しい。」

 

 

成功への道(Road to Success

 

しかし、外部から見ると、これら3つのスタートアップは、簡単ではないにしても、少なくとも実行可能に見えている。

 

Zeevは、TripActions4年前の資金調達シードラウンドを振り返り、「非常に逆行的な(逆張り)投資」と呼ぶ。

 

「これは、できあがったように見えるスペースだ。新しいスペースではない。強力な既存プレーヤーが支配している。千倍規模の企業とどのように競争するのか?そして、彼らは大企業が持っているすべての利点を持っている」と彼は言う。「しかし、ソリューションが良くなかったので大企業ですら解決できなかった。そして、正しいソリューションが実際に得られるまで、既存のソリューションがどれほど良くないかを理解するのが難しい場合がある。」 

 

将来を見据えて、3人の投資家全員が「大規模」や「巨大」などの言葉を使用して、将来のチャンスを説明している。 

 

「ローラは異常な速度で成長しているが、サービスコンポーネントのために、サービスの優越性が常にそこにあるようにコントロールする必要があると思う」とCutlerは言う。

 

「そして、私は他の2つの会社、TravelPerkTripActionsの大ファンだ。これは巨大なグローバルスペースであり、これらの人々は非常にモダンで革新的なアプローチを取っている。この市場には、いくつかの非常に大きな企業が設立されるだろう。いくつかは大きな利益を獲得するかもしれないが、勝者がすべてを取るわけではない。」(次号に続く) 

(PWD 8/5 https://bit.ly/2Pc3Too)

 

 

 

4. 楽天、東南アジアのバジェットホテルに投資

 

バジェットホテル流通プラットフォームを運営するRedDoorz(シンガポール)が、シリーズCのラウンドで7,000万ドルの資金を調達した。今年4月のシリーズBラウンドの4,500万ドルにつぐ立て続けの資金調達。これで2015年以来7回のラウンドで都合1.45億ドルを調達した。今回のラウンドは、Asia Partners, 楽天キャピタル、Mirae Asset-Naver Asia Growth Fundがリードした。今年初頭に4,500万ドルを投資したQiming Venture PartnersInternational Finance Corporationと共にラウンドCに復帰した。

 

2015年設立のRedDoorzは、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナムの80都市で1,200以上のバジェットホテルと施設を運営している。(PWD 8/19 https://bit.ly/2zhMY91)

 

 

 

5. チョイスホテルで情報漏洩

 

Choice Hotels70万の顧客データが漏洩した。第三者のベンダーのサーバーから漏洩したデータで、氏名・住所・電話番号・eメールアドレスの情報が含まれている。これは英国航空とMarriottを含む旅行業界における最近のセキュリティーブリーチの最新ケース。

 

セキュリティの専門家は、旅行会社が顧客について保持している情報の量が多いため、この業界は、特に国家の敵にとってより標的になっていると言っている。(PWD 8/19 https://bit.ly/2Zo4A1Q)

 

 

 

6. トリアド、レストランにWi-Fiサービス提供

 

TripAdvisorが、レストランに対してWi-FiサブスクリプションサービスTripAdvisor Wi-Fi Plusの提供を開始した。月間69~89ドル。このサービスを利用する顧客は、eメールアドレスかSNS認証のどちらかの提供が必要。TripAdvisorにリストされている400万軒以上のレストランが、このサービスを利用できるようになる。レビューの収集や顧客とのコミュニケーションに役立つ。このサービスに利用しているベンダーはCapini(PWD 8/20 https://prn.to/2Zhumpn)

 

 

 

7. 機内エンタメ新会社、250万ドル調達

 

Inflight VR2018年設立)が250万ドル調達した。累計400万ドルの資金を調達したことになる。調達した資金で、旅行者向けの同社のテクノロジーをさらに改善するほか、コンテンツのパーフォーマンスとユーザーの対応状況に関するデータを集積する。資金は、既存株主であるMotu InvestorsCVC Investments、およびLHの元取締役ら2人の新規投資家が出資した。既存の機内エンタメソリューションよりも安いコストで運営できる他、レンタルフィーによる付帯サービス収入と広告とプロダクトプレイスメントの収入を稼ぐことができる。初年度でSQIBを含む8社の顧客を獲得。VR(仮想現実)は普及の直前にあり、2023年には米国で3,400万の機器が使用されると予測されている。2020年にAppleのスマートグラスのごとくの機器の改良版が開発されると、

 

Appleのスマートグラスのような新しい改良されたデバイスが2020年に登場すると、1つの「魔法の」デバイスに収束する前に、マルチデバイス、マルチユースケースが発生するので、Inflight VRなどのテクノロジーインテグレーターの役割は、特にB2Bセグメントにおいて重要となる。先週BAは、ロンドンとニューヨーク間の一部のフライトでファーストクラスの乗客向けにVRメガネを試用すると発表した。(PWD 8/21 https://bit.ly/2NB3Dgt)

 

 

 

8. エクスペディア、加バケーションレンタル買収

 

Expedia Groupが、2015年から戦略的提携関係にあったカナダのバケーションレンタル マーケットプレイスCanadaStaysを完全に買収した。CanadaStaysは、Expedia GroupVrboバケーションレンタル部門に編入される。CanadaStays2008年創立)は、2部屋もしくはそれ以上の部屋数を有する家族旅行にはうってつけのカナダの数千の最良のバケーションレンタルホームをリストしている。(PWD 8/22 https://bit.ly/2NG9FfR) 

 

 

 

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海外事情

 

2. OYO、欧州で1,000人採用」、「5. OYO データサイエンスのダナミカ買収」と、インドのユニコーンOYO2013年設立)の威勢が良い。201810月には日本にも進出、20194月には、ソフトバンクと組んで合弁会社「OYO Hotels Japan合同会社」を立ち上げた。ソフトバンク・ビジョンファンドも、作9月に数億ドルを投資している。OYOは、Airbnbに次いで宿泊施設オンライン販売のグローバル プラットフォームになりつつある。“売り”(セールスポイント)はテクノロジーのサポート。 

 

10. グーグル、バケーションレンタルにVacasa追加」、「13. グーグルのホテル最低価格保証はあるのか?」を読んでみても、Google Tripの勢いも止まらない印象だ。Googleは、自身の事業のコアコンピタンスは、あくまでオンライン広告事業であり、旅行領域の拡大は、単にそれを保管するものだと言っているのだが・・・、タビマエ・タビナカ・タビアトのエンドツーエンドの旅行サービスをこれだけ多くシームレスに一気通貫に提供するとなれば、最早 立派な総合旅行会社となっていると言われても間違いない。(編集人)