フォーカスライトJapanでは、PhocusWire Daily (phocuswire.com) 並びにTravel Weekly (travelweekly.com)を含む海外主要旅行業界誌から、面白そうな業界ニュースを選別し日本語に意訳して、トラベルジャーナル(TJ)の隔週コラム「FROM THE WORLD/海外事情」とTD 勉強会(e-rtb.com)に掲載しています。TD(Travel Distribution)勉強会の「海外事情 アーカイブ」では、TJのコラムに掲載したニュース以外の記事を、TJコラム発行日の3日遅れで掲載しています。
2019年11月16日
海外事情 12月9日号
2つのIATA NDC標準に関する記事「4. NDC進捗状況」、「16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド」が有った。4.の記事は、NDCは安定的に進展しているものの、乗り越えなければならないハードルがまだまだ存在すると述べている。その反対に16.の記事は、開発進展状況は計画通り順調だと述べている。後者は、IATAが主催した航空会社リテーリングシンポジウムに関する記事のため、多分にIATA寄りになっていると思われる。4.がより正確に実態を表しているのだろう。「技術的な問題よりも“人と金と政治”(people, money, politics)の問題が進展を阻んでいる」と言っている。NDC APIで接続して流通経費をできるだけ削減したい航空会社と、反対していたNDC に今では積極的に対応して、新たに登場したアグレゲータとの競争に勝利するためと、航空会社に“中抜き”させないための両方で頑張っているGDSとの、これからのせめぎわいが激しくなるだろう。
グロバールOTAの第3四半期決算で、EXPEが22%大幅減益となった「9. エクスペディア 3Q 減益」。その反対にBKNGは10%増益した「15. ブッキング3Q、増収増益達成」。どちらもnet incomeベースだ。EXPEの減益は、GoogleのSEOに関するアルゴリズム変更が影響しているという。BKNGは、このチャネル規模がそんなに大きくなく影響が軽微であったという。TRIPの3Qも減収減益となった「12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立」。TripAdvisorブランドホテル収入が、Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因で14%減少したのだ。Googleの旅行領域参入がますます本格化しているようだ。
11月7日、3社の株価は、EXPE▲27%、BKNG▲8%、TRIP▲22%、と値を下げた。市場は、オンライン旅行市場におけるOTAの今後の競争力維持を懸念しているのだろうか。OTAは、サプライヤー直販拡大はもとより、Airbnbなどの新たな販売モデルの台頭やGoogleなどのグローバルプラットフォーマーとの競争激化に直面している。
目次
1. カヤック、法人旅行部門に参入
2. メイクマイトリップ第2四半期決算増収
3. フェアーハーバー急成長、他社に脅威
4. NDC進捗状況
5. ハーンエアーの新航空流通サービス
6. トリバゴCEO交代
7. ウーバー 3Q 依然損失計上継続
8.アビエーション、サイバーセキュリティーとクラウド最優先
9. エクスペディア 3Q 減益
10. アマデウス、2019年上半期増収
11.エアビー、安全確保のために全ホームを検証
12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立
13. デスペガー 3Q、EBITDA利益復帰
14. 英コックス&キング、売却先模索
15. ブッキング3Q、増収増益達成
16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド
17, カーニバル、決済オプション拡大
18. ホテルベッズ、従業員5%カット
19. トリップ・コム 3Q、増収増益達成
20. スカイスキャナー、航空便予約開始
21. ホッパー、GDXトラベル買収
22. リファンドイットのデジタルVATリファンド
1. カヤック、法人旅行部門に参入
KAYAKが、KAYAK for Businessのpreβ版を立ち上げた。年内にはfullβ版を立ち上げる。この無料法人旅行ツールは、航空便とホテルのオプションを表示するメタエンジン。レンタカーについては後でメニューに追加される。企業は、トラベルポリシーと推奨承認のフロー(preferred approval flow)をシステムに揚げることができるので、出張者は旅程をポリシーに合致させることができる。中小企業やスタータップが対象で、他の法人管理ソリューションのLora, TravelPerk, TripActionsとは異なり、人によるアシスタントは利用できないが、今後オプトインのコンセルジュサービスが導入される予定である。
昨年は、法人旅行市場における動きが活発であった。LoraがAmerican Express Global Business Travelと11月に提携、そして今年3月には3,700万ドルの資金を調達した。TravelPerkは7月にシリーズCで1億400万ドルを、TripActionsは、6月に2億5,000万ドルをそれぞれ調達した。TravelBankは、9月に新しいプロダクトSuperItineraryを立ち上げた。フォーカスライトのU.S. Corporate Travel Report 2018-2022は、米国の法人旅行市場は2022年までに1,380億ドルに増加し、その86%がオンラインで取引されると予測している。(PWD 11/1 https://bit.ly/2Q89zi7)
2. メイクマイトリップ第2四半期決算増収
MakeMyTripの2020年第2四半期決算で調整収入1億8,110万ドルを計上した。アナリストの予想を109万ドル上回った。グロスブッキングは前年同期比20.6%増の15億ドル、マーケティングと販促費は10.5%減の4,010万ドルであった。その結果、損失は610万ドル減少し1,930万ドルとなった。最新の顧客ベースは、ロイヤルティー・プログラムが貢献して25%増の4,400万となった。Gold Rewards会員は、220万人。航空券調整収入は16.7%増の6,590万ドル、グロスブッキングは、Jet Airwaysの倒産などインドの航空業界の混乱が存在したにも拘らず、アウトバウンドが貢献し22.4%増の9億1,600万ドルであった。バスチケット調整収入は、37.4%増の1,660万ドル、グロスブッキングは33.4%増の1億9,200万ドル、ホテルとパッケージ調整収入は、1.9%増の8,700万ドル、グロスブッキングは9.6%増の3億8,300万ドルであった。(PWD 11/4 https://bit.ly/2Qdk0AX)
3. フェアーハーバー急成長、他社に脅威
2018年4月、Booking HoldingsがT&A予約システムプロバイダーのFareHarborを買収した。その時点で、およそ5,000あったT&A インベントリーが、現在、主要市場の米市場に加え、欧州、豪州、NZにおいて、わずか1年半で、10万以上に大幅増加した。そして世界で600人以上のスタッフを採用している。FareHarborは、Expedia、TripAdvisor、MakeMyTripとも提携している。その規模は、T&A業界で150以上の予約システムプロバイダーの中で、群を抜いて大きい。FareHarborは、予約ソフトウエア企業トップ14社合計よりも大きく、その上14社合計の成長よりも急速に成長している。そしてサプライヤーとの共生関係に配慮して、合理的な価格の6%のコミッションをサプライヤーから徴収している。FareHarborの急成長が、他のシステムプロバイダーに脅威を振りまいている。TripAdvisorは、2018年にBokunを買収した。Airbnbは、先週、Tiqetsに出資した。Rezdy, Peek, Checkfrontが、エキジットのオプションを心配している。(PWD 11/4 https://bit.ly/2NDoFKF)
4. NDC進捗状況
大手法人管理会社のAmerican Express Business TravelやCWTやFCMが、NDCスタンダードのライブのテストを始め、GDSと航空会社と共に予約を開始したと言っている。Travelportが、同社のSmartpointエージェンシーツール経由でQF航空の予約を開始したとか、Amex GBTが、オンラインNDCコンテンツのためにAmadeusとSabreと接続する新オンライン予約ツールNeoをリリースしたとかのニュースも流れている。しかし、だからと言ってNDCスタンダードを利用した予約が、これからどんどん増え続けると考えるのは早計だ。IATAは、2020年末までに21 航空会社の販売の20%をNDC API経由で流通させる目標に向かって、NDCプロジェクトは順調に進展していると言っているが、依然として解決すべき問題が多く存在する。
Travelportは、混乱が起きており、進展しているものの技術的の遅れが存在すると指摘。旅行会社からの視点で見ると、今年はとうとうNDCコンテンツの提供で進展し、顧客とその恩恵を分かち合うエキサイティングな年となったが、満足できる技術的サービスレベルには未だ達していない。大きな問題は、航空会社がNDCのバージョンアップ毎にきちんと対応していないことだ。自分に都合の良いバージョンに五月雨的に対応しているので、航空会社毎に異なるバラバラなバージョンがある期間動くことなる。現実は、これではNDCスタンダード(標準)とは程遠い。スタンダードの採用も強制されていないのだ。
一部の旅行会社(英Click Travel)は、提携航空会社と既に90%のNDC予約を実施、100%達成を目指しているがこれは例外だ。
技術的な問題以外にも問題がある。業界が早いペースで進化しているものの、旅行会社は、将来の流通戦略や新たな環境に向けた将来の商業的モデルのどちらも設定できていない。商業的見地から見て、GDSはNDCを彼らのフロントエンドに設置できていない。航空会社との協議も2年以上も合意ができずに継続している。正直言って、航空会社は、むしろ恣意的に遅らせているのかもしれない。市場は、より安いNDCオンリー運賃(より正確には、現在NDC経由で利用可能なサーチャージが付かないGDS運賃)へのアクセスを要求しているので、GDSが「paid-to-book」するモデルから、アクレゲーター(AirGateway, Farelogixなど)に「pay-to-book」するモデルへの転換を旅行会社に迫っている。ケーパビリティー、商業、効率性の間の相互作用がどのように決着するかが分からない場合、さまざまな利害関係者が投資に消極的なり、進歩を妨げている。テクノロジー以外の問題が、進展を阻んでいる、“人々と金と政治”(people, money, politics)が障害物となっている。
とどのつまり、最良の判断は、NDCは、来年の下半期まで皆が言っている通り、いわゆる配管工事が続くということだろう。技術的な進展が商業的な話し合いを促進させて、ひいては航空会社がそれをフォローすることになるだろう。大手航空会社のNDC採用がそれなりに成功した後で、小規模航空会社はどうなるのだろうか?技術的ソリューションが、どれだけスケーラビリティー(拡張性)を発揮するかが問題となる。それとは別に航空会社は、鼻先に人参のアプローチを試みるだろう。航空会社は、流通経費削減のために単一流通チャネルに莫大な投資をしている。これがNDC開発の主要な目標の一つだ。あるチャネル(GDS)経由の予約の意欲をくじくだろう。そして旅行会社のNDC経由予約に対してインセンティブを付けるだろう。コミッション復帰だって考えられる。GDS経由にXポンド払っているとしたら、旅行会社にインセンティブとして1/2X支払っても元が取れる話だ。(PWD 11/4 https://bit.ly/2CGyMIE)
5. ハーンエアーの新航空流通サービス
Hahn Air Group(独)が、航空会社のための代替流通チャネルを提供するために新会社Hahn Air Technologiesを設立した。この新会社の最初のプロダクトX1-Airは、間接的流通チャネルを持たないあるいは制限的にしか保有していない航空会社に対して、Amadeus, Sabreおよび旬日後にTravelport経由の販売を可能にする。GDS経由販売を可能にすることで、X1-Air参加航空会社は190市場における10万以上の旅行会社のグローバル流通ネットワークに接続できることになる。X1-Airは、スケジューリング、運賃ファイル、メッセジング、インベントリー管理、予約、チケッティングと決済機能についても提供する。初期の参加航空会社は、Air Panama, ASL Airline France, Azur Air Ukuraine, Jam Airlink Express, Mayair, Ulendo Airlink, Westair Aviation, Wildcat Touring。
Hahn Air Technologiesは、NDC、ブロックチェーン、モバイルベースのソリューションなどのその他の新流通システムを開発するイノベーションセンターとなる計画だ。(PWD 11/4 https://bit.ly/2QeXZC0)
6. トリバゴCEO交代
Trivagoの共同創立者兼CEO Rolf Shromegensが12月31日を持ってCFOと交代することとなった。彼は、2005年創立以来15年間CEOであった。CEO退任後は、監査役会(Supervisory board)メンバーとなる。
Trivago(本社Dusseldorf)の第3四半期の収入は、2億5,030万ユーロ(減収1%)で、アナリストの期待値を974万ユーロ ショートした。純益は前年同期の1,010万ユーロから30万ユーロに減少した。EBITDA利益は2,660万ユーロから1,090万ユーロに減少した。Qualified referralsは1億8,910万から1億6,200万に14%減少した。リフェラル収入が欧州で9%減、その他の地域で16%減少したが、米州では19%増加した。代替宿泊施設は、昨年より倍増して2,300万ユニットが9月30日時点でプラットフォームに掲載されている。販売とマーケティングコストは、主にTV広告の縮小により36%減少した。その結果採算性は向上した。(PWD 11/5 https://bit.ly/34XToIg)
7. ウーバー 3Q、依然損失計上継続
UberがQ3決算で12億ドルの損失を計上した。前期の52億ドルの損失から損失幅が減少した。調整EBITDA損益は5億8,500万ドルの損失であった。
CEO Dara Khosrowshahiは、決算発表で2021年までに会社トータルのEBITDA利益計上を約束した。採算性向上のために全雇用者の2%に及ぶ1,000名をレイオフした。カルフォルニア州は、9月、Uberのごとくの企業のインデペンデントコントラクターを、正式の雇用契約に基づく従業員とさせる法案を可決した。UberはLyftやDoorDashと組んで、この法の適用除外を求める住民投票を求めている。彼は、マジカル企業は、大幅増収、マージン改善、資本配分効率化と、全ての利害関係者に対して正しいことの全てを実行する企業であり、Uberはそのようなマジカル企業の1社になること目標としていると述べた。収入は30%増の38億ドルで、アナリストの予想34億ドル〜39億ドルの圏内に収まっている。グロスブッキング(取扱高)は29%増の165億ドルであった。Uber Eatsは73%増、Uber Freightは81%増であった。月間アクティブプラットフォーム消費者は26%増の1億300万であった。中核事業のライドでは、調整EBITDA利益6億3,100万ドル(52%増)を記録し、これでUberの人件費(corporate overhead)を完全にカバーしている。ライド以外のセグメントの全てはEBITDA損失計上であった。(PWD 11/5 https://bit.ly/34Y3J7g)
8.アビエーション、サイバーセキュリティーとクラウド最優先
SITA 2019 Air Transport IT Insights調査によると、航空会社と空港が、今年、ITに610億ドル(約6兆7千億円)を投資する。昨年の500億ドルより20%以上も増加する。IT投資のおかげで、航空会社のCIOの60%が、顧客満足度が20%向上したと言っている。45%が、旅客プロセスの向上率が20%上昇したと言っている。
空港のCIOの63%が、顧客満足度が20%向上し、44%が旅客プロセッシングの時間が短縮したと言っている。2018年IT投資の収入に対する割合は、航空会社で4.84%、空港で6.06%。2019年は、航空会社で5.22%、空港で6.26%と予測されている。IATAは、主要ハブ空港だけでなく二次的空港においても、航空旅客需要が今後20年間で倍増すると予測する。空港では、空港混雑に対応するためのAIと、旅客エクスペリエンス改善のためのビジネスインテリジェンスの投資が多くなる傾向がある。IT投資優先順位は、航空会社では1クラウド、2サイバーセキュリティ、3ビジネスインテリジェンスの順となる。空港では、サイバーセキュリティーがトップになる。新たなテクノロジーでは、航空会社の44%が、2022年までにAIの主要プログラムを計画すると言っている。ブロックチェーンについては、15%が2022年までに主要プログラムを計画する。57%がパイロットプログラムを現在動かしている。(PWD 11/6 https://bit.ly/2NN6HWu)
9. エクスペディア 3Q 減益
Expedia Groupの第3四半期決算が22%減益となった。収入は前年比9%増の35.6億ドル、アナリスト予測35.8億ドルを僅かに下回った。Googleのアルゴリズム変更に伴うSEOの量の減少により、高いマーケティングコストのチャネルへのシフトが減益の原因。Google依存を減少させるため、直販拡大努力に加え、ビデオ、インスタグラム、ソーシャルインフルエンサーとの関係を強化している。しかし、ソーシャルメディアの計測は難しく、真のROIの確保が困難とも言っている。グロスブッキング(取扱高)は、9%増の269億ドル。代替宿泊施設予約のVrboのグロブッキングは前年比5%増加した。期末の掲載数は65万軒。収入は14%増の4億6,700万ドル、前四半期の17%増より増率は低下した。TrivagoとVrboの利益は、期待していたよりも少ない。Vrboでは決済システム統合の追加コストが発生した。(PWD 11/6 https://bit.ly/2O9FbRZ)
10. アマデウス、2019年上半期増収
Amadeusの2019上半期決算が、収入420億ユーロ(15%増)(約5兆円)、EBITDA利益18億ユーロ(11%増)の増収増益となった。調整後利益は9億9,300万ユーロ(12%増)であった。流通部門収入は24 億ユーロ(5%増)、ITソリューション事業収入は18.4億ユーロ(31%増)であった。TravelClickとその全ホスピタリティー部門の収入は二桁成長を達成。
Amadeusは、2017年に結んだPremier Innとの提携から離脱した。IHGとの提携については、新たな機能のパイロット開発中であるとのコメント以外は話なされなかった。(PWD 11/6 https://bit.ly/2CJzTHj)
11.エアビー、安全確保のために全ホーム検証
10月31日のハロウイーンパーティーで、サンフランシスコのエアビーレンタルで5人が射殺された事件とその他の詐欺事件の発生を受けて、Airbnbが全掲載リスト700万軒の検証を行うシステムを2020年末までに構築することとなった。Airbnb CEO Brian Cheskyは、「人間は基本的には善良という考えに基づき、Airbnbは知らない人々同士が信頼できるシステムを作り上げた」と語り、信頼を確保するために“全リストの検証”という会社始まって以来の最重要課題に取組む。検証のプロセスは、全ホストと全ホームの、写真・住所・掲載内容の詳細・品質標準準拠の如何についてテクノロジーとゲストのインプットの両方で実施される。レビューのプロセスも、ゲストがリスティングについてより正確に評価できるように変更する。また来月からは、チェックイン時点でゲストが施設の不備を発見した場合は、他の同様の施設への再予約もしくは全額払い戻しのいずれかを提供する。また「Neighbor Hotline」の24/7対応の顧客サービス窓口を開設する。(PWD 11/7 https://bit.ly/2qVOb4X)
12. トリアド、トリップ・コムと中国合弁設立
TripAdvisorが、中国Trip.com Group(元Ctrip.com)と中国合弁企業TripAdvisor Chinaを設立する。Trip.com Groupは、中国市場におけるTripAdvisorビジネスのブランド・コンテンツライセンス・全ての資産の排他的利用が可能になる。見返りにTripAdvisorは、Trip.com GroupのSkyscannerを含めた全てのポートフォリオへのアクセスが可能なる。Trip.com Groupは、当局の承認を得た後、TripAdvisor の取締役1名の指名権利を獲得する。Trip.com Groupは、TripAdvisorの695万株を取得できることになる。一方TripAdvisorは新たな中国合弁企業の40%を保有する。この株式取引は、Trip.com Groupに、今後12ヶ月間で、3億1,800万ドルを負担させることになる。TripAdvisorは、2009年にDaoDaoブランドで中国で営業を開始したが、この事業を閉鎖して2015年からMau Tu YingにWebサイトを変更した。
この合弁設立は、TripAdvisorの3Q決算発表の直後の11月6日に発表された。TripAdvisorの3Qは総収入7%減の4億2,800万ドルでアナリスト予想を3,139万ドル下回った。調整後EBITDA利益は1億2,900万ドルに12%減少した。GAAPベースの純益は5,000万ドルに28%減少した。
セグメント別では、ExperienceとDiningが19%増収の1億4,100万ドル、ホテル・メディア・プラットフォームでは12%減収の1億9,700万ドルであった。TripAdvisorブランドホテル収入は、14%減少した。Google自身のホテルプロダクト検索増加が原因。TripAdvisorは、Google自身の積極的ホテル販売は予想されたことで、今後もこれは変更されないだろうと語っている。Expedia Q3決算も、このGoogleのアルゴリズムの変更に影響されている。TripAdvisorは、今後、メディア広告収入とホテルB2B販売による増収を期待する。(PWD 11/7 https://bit.ly/2Qkh0Ts)
13. デスペガー 3Q、EBITDA利益復帰
ラテンアメリカOTA Despegarの3Q決算が、グロスブッキング(取扱高)12億ドル(恒常為替ベース26%増)となった(通貨変動ベースでは8%増)。
収入は1億3,200万ドル(恒常為替ベース19 %増、通貨変動ベースでは9%増)であった。
今年初めのリブランド戦略が奏功しEBITDA利益計上に復帰した。先月、Trip.com GroupとAPI接続契約を締結した。同月、中国商工業銀行と10年間の排他的契約を締結しMastercardと共にアルゼンチンでコーブランドのクレジットカードを発行することとなった。Despegarの事業は、航空券販売と、ホテル・パッケージ・その他(総収入の61%)の2つに分類される。航空券販売収入は1%増の5,120万ドル、ホテル・パッケージ・その他の収入は14%増の8,100万ドルであった。モバイル販売比率は39%、アプリのダウンロードは5,700万回。販売とマーケティングコストは12%増加、収入比34.3%から35.3%に僅かに上昇した。(PWD 11/7 https://bit.ly/2OafTmL)
14. 英コックス&キング、売却先模索
Cox & King UKが11月8日、Cox & King Indiaと分離して、KMPGを指名して、幾つかの潜在的バイヤーと同社売却について協議していると発表した。この売却意志決定は、CAAから2019/20Atolの1万保証席確保のあとで決定された。Cox & King Indiaの6月IATA BSP決済不渡り以来、BSPでの取引が停止されている。Cox & King(India)が、49%保有するMalvern Groupへの資金供給を停止したために、その子会社であるSuper BreakとLateRoomsが8月1日倒産した。Cox & King UK(英国従業員80人)は、Cox & King Indiaの100%子会社であるPrometheon Enterprise Ltdが保有している。Cox & Kingは1758年創立の旅行会社。(ttgmedia.com 11/8 https://bit.ly/2Qhm1fr)
15. ブッキング3Q、増収増益達成
Booking Holdingの 3Q決算が、Googleのアルゴリズム変更の影響を物ともせずに、グロスブッキングが 4%増収し253億ドルとなった。調整後EBITDA利益は5%増益の25億ドルであった。BKNGのGoogle SEOチャネルは小規模で、そのアルゴリズム変更の影響は軽微であった。ルームナイトは11%増の2億2,300万泊、収入は4%増の50億40万ドル、アナリスト予想50億70万ドルを僅かに下回った。マーチャント収入は25%増の10億3,100万ドル、エージェンシーモデルの収入は3%減の34億3千万ドルであった。
最近の活動には、欧州一部地域における航空便予約開始、東南アジアにおけるGrabの配車サービス開始が挙げられる。代替宿泊施設のリスティングは620万軒。(PWD 11/8 https://bit.ly/2qPjr5K)
16. 航空会社の3つのテクノロジートレンド
これは、バンコックで2週間前に開催されたIATAの2019 Airline Industry Retailing Symposiumに出席した、AnsWairのPhilippe Arslanianのレポートである。彼は、このイベントで印象に残った以下の3つを指摘している。
(1)NDCの計画通りの進展 NDC target volume is on track
2020年末までに21航空会社の間接的販売の20%をNDC API接続の予約とする、“2020”のIATAの計画が順調に進展している。Swiss Air Linesでは既に20%を超えた。IATAは、中間目標である8%を超えて、2019年9月には9%に達していると報告した。今までサービシング、インターライニング、スケール拡大の3つの大きな障害が存在したが、これらの障害も取り除かれつつある。9月時点で、60社(航空会社、ITプロバイダー、アグレゲーター)が、フルサービシング実施できるLevel 4認証を取得した。インターライニングでは、Ordersの設定を利用したSwissとEdelweiss AirのE2E(エンドツーエンド)の概念実証が紹介された。最終的に航空会社6社が、NDC@Scaleの要求を充足する資格を取得している。NDC を補完するOne Orderも勢いを増している。UA航空は、専門性や特殊性(すなわちレガシー航空券・PNR・EMD/クーポン・SSR・その他)を排除するOne Orderによる単純化が、旅客のエクスペリエンスのみならず、スタッフの業務効率化にも良い影響を与えていると言っている。LH航空は、4月に200人旅行者を対象とした概念実証を実施、顧客中心主義と潜在収入が最も重要なビジネスドライバーとなる可能性があると付け加えた。
(2)加速がこのゲームの名前 Accelerate is the name of the game
この会議にはいくつかの新興企業が参加した。伝統的なグローバルな流通システムとは大きな違いがある。彼らの時間の観念は「日」であるのに対して旧来のシステムは「年」である。新興企業は、遍在(omni-present)であり、業界の破壊者であり、加速度的変化を引き起こしている。アグレゲーターのパネルでは、GDSに加えTravelfusionが登壇した。法人旅行においては潜在的プレイヤーが増えている。伝統的プレイヤー(GDS/TMC/OTA)、新規参入者(TripActions或いはAmTravのようなNDC装備TMC)、或いは消費者ブランド(GoogleやBooking.com)たちだ。これらのプレイヤーの利用可能資金と、彼らの市場参入に対する関心が、長期的には違いをもたらす可能性がある。
多分、最も興味深いのはプラットフォームの影響だ。Facebook, Trip.com Group(旧Ctrip.com), Hopperなどの登壇者が、リテーラーは、顧客の場所に、彼らが必要とする時に、居る必要があると述べている。本来的にユーザー中心かつモバイルで動く(或いはモバイルオンリーの)世界では、全旅程、特に旅行日における会話型の商業アプローチ(conversational commerce approach)が重要になると、彼らは強調した。多くの航空会社は、ショッピング時点のOfferとOrderの創造に注目したが、これらのネイティブなプレイヤーたちは、E2Eのエクスペリエンスに焦点を当てている。例えば1ヶ月で200億のメッセージを持つFacebookでは、同社のメッセジングシステムがサービスチャネルとしてだけでなく、コンパニオンセールスチャネルとして機能する。このリーチ“プラットフォーム”(reach “platform”)は、制御が難しいけれども、航空会社により多くの価値をもたらす可能性がある。監視続ける必要がある。
IATAはAccelerate@IATAにより、加速度的進展に活発に取組んでいる。IATAは、既に14以上のハッカソンを運営、25の最小実行可能プロダクトの開発と5つの人工知能(AI)の概念実証を実現した。現在Plug and Playとの協業で、年間3つ開発するアクセラレーターを立ち上げている。IATAは疑いなくこの変革をリードする1組織である。
(3)巨大な価値なるも単純なビジネスケースが欠落
Gigantic value but lacking simple business cases
NDCに取組む航空会社の3分の2以上が、NDCのROI目標或いはそれ以上の達成を期待しているが、このイベントではNDCとOne Orderの具体的なビジネスの実例の紹介は少々曖昧なものであった。ほとんどの登壇者たちは、ダイナミックと、継続したプライシングと、コスト/複雑性の削減の3つの結合による収入の増加に対する強い期待を有している。しかしながら、一つだけ欠けている。機密情報開示なしでも他のプレイヤーにコピーされてしまう可能性がある、目に見えるビジネスの実例だ。このリテールのイベントでは、ケーパビリティーの話に集中し、アカウンタビリティーが不足していた。しかし潜在力が無いということではない。IATAは、リテールの定義をNDCとOne OrderとDynamic Offersの組み合わせとしたMcKinseyの報告書(Where the Value in Airlines Retailing)を引用し、旅行プラットフォームのための大手航空会社の150億ドルまでの1回の投資が、年間400億ドル以上の巨大な価値を生み出すことができるだろうと予想している。この予測はいささか重複し過大な評価とも見えるが、それにもかかわらず、業界全体にわたってNDCと補完機能の真の価値を評価するための素晴らしいスタートである。
全体として、会議は非常に教育的で、洞察力に富み、NDCの将来とその補完的なドメイン(たとえばOne Orderと決済)についての理解を深めた。
会話型商取引、すべての法人旅行プレーヤー間の緊密なコラボレーション、具体的なマルチチャネルビジネスケース、およびデータとその派生ビジネスモデルの影響など、いくつかの興味深い側面を優先していなかったかもしれないが、昨年に比べて大きく前進した。(PWD 11/12 https://bit.ly/2XlFOfh)
17, カーニバル、決済オプション拡大
旅行ペイメント企業Upliftが、Carnival Cruises Linesと提携して、同クルーズ船客に頭金なし24ヶ月分割払いを可能にする。
今月初め、Uplift はUA航空とも提携した。現在の顧客にはKayak, AA Vacations, Norwegian Cruise Line, Universal Orlando Resort, Volarisが存在する。Carnivalは、インハウスのペイメントプログラムEasyPayに加えUplift Pay Monthlyを追加する。(PWD 11/12 https://bit.ly/2rGVwpu)
18. ホテルベッズ、従業員5%カット
HotelBedsは、テルアビブ、ロンドン、ドバイ、オーランド、チューリッヒで人員カットし、世界の従業員の約5%を削減している。この決定は、「最適化」計画の一部であると言われている。スペインに本拠を置くこのベッドバンクは、2017年初頭にTourico HolidaysとGTAを買収した後、それらをHotelBedsの1つの事業に統合した。声明では、「業界で最も効率的なベッドバンクプレーヤー」になることに焦点を当てていると述べている。
9月30日に終了する年度の業績は、EBITDA利益が2億3,350万ユーロ(前年比2億790万ユーロ)、現金ポジションが498百万ユーロとなった。
HotelBedsはまた、「1泊あたりのコスト」を現在の6.30ユーロから今後2年間で4.90ユーロに削減する戦略を開始した。
決算と人員削減を発表した声明の中で、同社は「自動化と最先端のテクノロジーに投資して」、顧客エクスペリエンスを改善し、統一されたビジネスをより有効に活用することを計画していると述べている。
HotelBedsは最近、大手ハイテク企業のアマデウスと、Booking.comやExpediaを含むOTAの買収ターゲットにされていると噂されていたが、今ではこの話は払拭されている。また、スペインのバレンシアに新しいテクノロジーハブを開設、将来のプラットフォームとプロセスを開発することも発表した。
2016年4月、HotelBedsは、TUIからCinvenおよびCPPIBに12億ユーロで売却された。(PWD 11/13 https://bit.ly/2O7Hche)
19. トリップ・コム 3Q、増収増益達成
Trip.com Group(以前のCtrip)は、2019年第3四半期の未監査決算によると、営業利益が前年比52%増の3億1,400万ドルを記録した。四半期の営業利益率は21%に達し、2018年の同期間の16%を超えた。上海に本社を置くOTAは、最近20周年を迎えたが、国際ホテル事業(中華圏を除く)の前年比が50%成長率した。また、国際航空の発券量は12四半期連続で3桁成長した。純売上高は、前年比12%増の14億7,000万ドルで、アナリストの期待値14億8,800万ドルをわずかに下回った。宿泊施設の収益は14%増の5億6,700万ドルで、これは同社のグローバルなリーチとプロダクトポートフォリオの広さによるものである。
パッケージツアーの収益は19%増加して2億2,900万ドル。これは、オフラインストアからのトラフィックの急増によるもの。この四半期で最も成長した分野は法人旅行で、26%増加して4,700万ドルであった。
トランスポーテーションチケット(航空および地上)は、当四半期に3%増加して5億1,200万ドルになった。第3四半期には、販売とマーケティングが8%減少した。(PWD 11/14 https://bit.ly/2qiSnMn)
20. スカイスキャナー、航空便予約開始
Skyscannerは、ビジネスへの「マーケットプレイス」アプローチと呼ばれるアプローチを導入し、オンライン旅行で最も成功した比較検索エンジンの1つとしての17年間を終了する。英国に本拠を置くこの会社は、OTAにはならないと主張している - その代わりに、航空券でユーザーをつなぐための3つのアプローチを提供する。それでも、決定的に重要なのは、メタ検索専用モデルからの移行の一環として、スカイスキャナーが初めて航空予約のマーチャントofレコードになることだ。
フライトから始めて、ブランドのアプリとモバイルWebサイトでのみ、ユーザーには検索結果が表示された際に航空券を購入する3つの方法が提供される。
選択肢の1つは、スカイスキャナーでの予約。Skyscannerはカスタマーサービスを処理し、支払いを確保し、乗客のすべての発券ロジスティックを所有する。
2つ目の方法は、既存の直接予約サービスで運賃を確保する。この場合、サイトで支払いは処理するが、航空会社またはOTAのパートナーは引き続き顧客を所有しチケットの責任を負う。元のメタサーチモデルは完全に削除されていない。3番目のオプションは、予約を行うためにユーザーがパートナーサイトに遷移するメタサーチの従来の方法だ。Trip.com Groupは、2016年11月に17億5,000万ドルでSkyscannerを買収した。
航空券販売の市場展開は、シンガポールの少数のユーザーグループを皮切りに、オーストラリアは6月に追加され、先月からは英国で別の小さなログインサブセットが追加された。他の英語圏市場はその次であり、その後、他の国は今後18か月の間に追加される計画だ。
導入は当初はフライトのみだが、ホテルやその他のプロダクトが今後追加される予定である。まもなく、デスクトップWebサイトにも拡張される予定。
航空会社のWebサイトでしか利用できないアンシラリー(座席の選択、食事、アップグレードなど)も、NDC接続によって含まれることが望まれている。(PWD 11/14 https://bit.ly/2QnFGdM)
21. ホッパー、GDXトラベル買収
運賃予測と予約アプリのHopper(Montreal)が、航空会社の流通スペシャリストGDX Travel(Bogota)を買収した。NDC開発を促進が目当て。GDX Travelは、同社のAPIによりNDC経由でラテンアメリカのリージョナルとLCC合計25社と接続している。そして、GDX TravelのBogotaオフィスをHopperのラテンアメリカ本社として兼用する。Hopperにとって、ラ米市場は米国市場につぐ2番目の大きな市場、年率倍増の勢いで成長している。現在Hopperは、310社の航空会社と接続している。その多くはGDSと接続していない。Hopperは、2018年10月にシリーズDによる1億ドルの資金調達を実施、世界市場への展開拡大を視野に入れている。今年1月には、LH GroupとAIに焦点を当てているLH Innovation Hubからの数百万ドル投資により、欧州市場展開を加速させつつある。(PWD 11/14 https://bit.ly/2Qnjb8P)
22. リファンドイットのデジタルVATリファンド
旅行者や小売業者に対するVATの払い戻しを自動化する新興企業であるRefunditが、980万ドルの資金を調達した。Amadeus Venturesがラウンドをリードし、Portugal Ventureと多くのシード投資家も参加した。イスラエルに拠点を置く払い戻しサービスは、ヨーロッパへの旅行者にVATの払い戻しを迅速に請求するデジタルサービスを提供する。
旅行者はモバイルアプリを使用して領収書、搭乗券、パスポートの写真を撮り、VATの払い戻しを申請できる。次に、各国の関連税務当局がリクエストを確認し、結果のデジタル確認を旅行者に送信する。
現在ベルギーで試験運用されているこのサービスは、空港や書類事務での長い行列の現在のVAT回収プロセスに終止符を打つだろう。
Amadeusによると、これはデータ会社のDawexや航空会社の収益最適化のスタートアップであるVolantioと共に、2019年に完了した4番目の投資だという。
(PWD 11/15 https://bit.ly/2NStJuW)
+++++